「メタボ」はBMIを正常値まで下げなくても改善? 体重の3%減から始める食事を医師が解説
「健康のために痩せたいけれど、どこまで体重を減らせばよいのか分からない」と感じる人も多いのではないでしょうか? 中国・湖北省疾病予防管理センター慢性・非感染性疾患予防管理研究所の研究員らが、過体重や肥満で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪の蓄積に加え、高血圧や血糖値、脂質などに異常が見られる状態)のある成人7340人を調査したところ、BMI(身長と体重から算出する肥満度の指標)を完全に正常値まで下げなくても、一定の減量によってメタボリックシンドロームの改善が期待できる可能性が示されました。この内容について五藤先生に伺いました。
監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
湖北省疾病予防管理センター慢性・非感染性疾患予防管理研究所の研究員らが発表した内容を教えてください。
五藤先生
湖北省疾病予防管理センター慢性・非感染性疾患予防管理研究所の研究員らは、過体重や肥満で、メタボリックシンドロームがある成人7340人を対象に、どの程度の減量でメタボリックシンドロームの改善が期待できるかを調査。その結果、BMIを正常範囲に近づけるほど、改善する可能性が高くなることが分かりました。また、BMIを完全に正常値まで下げなくても、一定の減量で改善が期待でき、過体重では2~8%、肥満では3~9%程度の減量が目安となる可能性が示されました。今後は、こうした減量目標が実際の医療現場でも有効か、さらなる検証が必要です。メタボリックシンドローム予防の食事法とは?
編集部
今回のテーマに関連するメタボリックシンドローム予防の食事法について教えてください。
五藤先生
メタボリックシンドロームを予防するには、極端に食事量を減らしたり、特定の食品を抜いたりするのではなく、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事を基本にしましょう。食材の選び方や調理法を工夫し、菓子やアルコールなどの摂取量を見直すことも大切です。また、食事記録を付けることで、食べる時間や内容、食事の傾向を把握し、改善点を見つけやすくなります。減量に取り組む場合は、まず現体重の3%程度(体重80kgの人なら約2.4kg)を一つの目安として、無理のない目標を立てましょう。ただし、高度肥満や合併症がある場合には必要な減量幅が異なるため、医師や管理栄養士と相談してください。「夕食後の間食を控える」「甘い飲み物を水やお茶に置き換える」「アルコールを飲む日や量を減らす」など、実行しやすく具体的な目標を決め、無理なく続けられる食習慣を身に付けていきましょう。内容への受け止めは?
編集部
湖北省疾病予防管理センター慢性・非感染性疾患予防管理研究所の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。
五藤先生
今回の研究は、「BMIを正常値まで下げなければ意味がない」という考え方ではなく、数%の減量でもメタボリックシンドロームの改善につながる可能性を示した点で、患者さんにとって前向きな内容だと受け止めています。実際、日本の肥満症診療でも、治療の目的は単に見た目やBMIの数値を変えることではなく、内臓脂肪を減らし、血圧、血糖、脂質などの健康障害を改善することにあります。一方、今回示された過体重で2~8%、肥満で3~9%という数値は、中国人を対象とした観察研究から探索的に導かれたものであり、すべての人に一律に当てはめられる目標ではありません。年齢や筋肉量、持病、肥満の程度によって、適切な減量幅は異なります。特に高齢者では、急激な食事制限によって筋肉量が減少し、サルコペニア(加齢に伴い筋肉量や筋力が低下した状態)やフレイル(加齢によって心身の機能が衰えた状態)につながることにも注意が必要です。
大切なのは、最初から大幅な減量を求めるのではなく、まずは現体重の3%程度を一つの目安として、継続できる食事や運動の改善に取り組むことです。体重だけでなく、腹囲、血圧、血糖値、脂質の変化も確認しながら、患者さん一人ひとりに合った目標を設定することが重要だと考えます。
編集部まとめ
メタボリックシンドロームの改善や予防では、「できるだけ体重を落とす」ことだけを目標にする必要はありません。今回の研究からも、まずは無理のない範囲で減量に取り組むことの重要性が示唆されています。食事は主食・主菜・副菜を基本に、菓子やアルコールなどの摂取量も見直しましょう。食事記録を付けながら、自分に合った具体的な目標を設定し、無理なく続けていくことが大切です。
