《福岡県議会のドンが急転直下の議員辞職》“福岡県警の動き”との関係は…地元政界関係者は「捜査員が来て話を聞かれた」
「議員辞職は必要ない」と強気だった"福岡県議会のドン"こと蔵内勇夫氏が一転、8月24日に辞意を表明したが、態度を一変させた理由は謎に包まれている。
「若い期の議員にこれ以上迷惑はかけられない」と周囲に述べたとされるが、本音とは考えにくい。
17日、臨時議会に提出された議長辞職勧告決議案は自民党県議団が党議拘束をかけるなどして中止させている。中止のための動議に賛成した計49人の県議に対してSNS上では批判が集中したが、こうなることは事前に分かっていたはずだ。
蔵内氏が議員辞職願を議会事務局に預けたのはその2日後の19日。それまでに「県選出の大物、麻生太郎氏が動いたのではないか」(県政関係者)との見方もあるが、麻生氏は「1人の政治家が決めたことに論評することはない」と地元紙に回答している。
麻生派で、正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑を告発した吉松源昭・県議も、「麻生先生が動いたという話は聞いていません」と否定的だ。
蔵内氏の判断に影響を与えた可能性があるもう一つの存在は福岡県警だ。
そもそも高額海外視察については、県民から背任容疑で刑事告発されている。この問題を議会で追及した吉松氏は、意見聴取に来た捜査員が吉松氏に「これはあらゆる犯罪の端緒と考えている」と述べたと語る。
さらに蔵内氏の地元・筑後市の政界関係者も、「県警本部や地元の筑後署から捜査員が来て話を聞かれた」と述べた。
長年、警察委員会に所属した蔵内氏は、警察との太いパイプを持つ。初の県警出身の副知事・生嶋亮介氏は筑後署の署長経験者でもあり、「蔵内氏主導の人事」と県政関係者たちから見られてきた。
近すぎる関係への疑念払拭に焦る県警が何かを掴んだのか。進退の決断の背景と関係があるかを直撃するべく、25日、最後の公務となる都内の講演会場に向かったが、蔵内氏は講演後、何も語らぬまま、地下駐車場に待たせた車に乗り込んで去った。
蔵内氏本人と事務所に質問書を送ったが期限までに回答はなかった。
「第三者委員会には積極的に協力する」と述べた蔵内氏だが、疑惑の解明は、これからである。
●取材・文/広野真嗣(ノンフィクション作家)
※週刊ポスト2026年9月11日号
