「エビの食べ過ぎ」で現れる”3つの症状”はご存じですか?管理栄養士が解説!
エビの食べ過ぎで出る症状とは?メディカルドック監修管理栄養士が一日の目安量やアレルギーのリスク、対処法、健康効果や効率的な食べ方、保存方法を解説します。
監修管理栄養士:
田中 純子(管理栄養士)
保育園、小学校、特別養護老人ホーム、障害者支援施設で調理・献立作成の経験を経て、現在は総合病院に勤務。NST業務、栄養指導(外来・入院)、治験等に携わっている。
エビとは?

えびは、日本では長いひげや腰が曲がった姿が長寿や縁起の良さを象徴することから、お正月や桃の節句、結婚式などのお祝い事には欠かせない代表的な食材として親しまれています。たんぱく質が多く脂質が少ないため、健康的な食生活に取り入れやすい食材です。天ぷら、寿司、刺身、塩焼きなどさまざまな料理に使われています。
エビは1日何尾以上食べると食べ過ぎ?

エビにはプリン体が含まれていますが、健康な人を対象としたプリン体の一律の摂取上限や、エビを何尾以上食べると食べ過ぎになるという明確な基準はありません。なお、プリン体を1日400mg以下に抑えるという目安は、主に高尿酸血症や痛風のある方に対する食事療法で用いられるものです。エビは大きさによって1尾あたりの重量が異なるため、尾数ではなく重量で考え、成人が主菜として食べる場合は可食部50~100g程度をひとつの目安にするとよいでしょう。ただし、適量は年齢や活動量、ほかの食品の摂取状況によって異なります。尿酸値が高い方や痛風の治療中の方は、エビだけでなく肉類、魚介類、アルコールなどを含めた食事全体を見直し、医師や管理栄養士の指示に従ってください。
エビに含まれる栄養と健康効果

エビに含まれる栄養素
えびに含まれる代表的な栄養は、たんぱく質です。例えば、バナメイえび/養殖/生の場合100gあたりのたんぱく質は19.6g含まれています。たんぱく質は、体をつくる重要な栄養素で、筋肉や臓器、皮膚、髪などの材料となります。
エビの健康効果
えびは良質なたんぱく質を含む食材で、体づくりや筋肉の維持に役立つ栄養源です。魚介類に多く含まれるタウリン(含硫アミノ酸の一種)は、脂質の消化吸収を助ける働きがあることが報告されており、胆汁酸と結合して脂質代謝に関わる成分のひとつです。また、えびにはうま味成分であるグルタミン酸やグリシンなどが含まれ、これらが組み合わさることでえび特有の深い味わいが生まれます。さらに、さけやえびなどの魚介類に見られる赤色の色素成分アスタキサンチンは、抗酸化作用を持つ成分として注目されています。また、えびの殻にはキチンという食物繊維が含まれています。キチンの構成糖であるN-アセチルグルコサミンは、関節や皮膚の健康維持に関わる成分です。えびは、これらの栄養成分によって健康的な食生活をより豊かにしてくれる食材です。
エビを食べ過ぎて現れる症状

食物アレルギー
食物アレルギーとは、食物に含まれるたんぱく質などをアレルゲンとして免疫が過剰に反応し、さまざまな症状が現れる状態です。エビを一度に多く食べたことだけで新たにアレルギーになるとは限りませんが、すでにエビに感作されている人では、摂取量が症状の出る基準を超えたことで、初めて症状が現れる場合があります。また、体調不良、運動、飲酒、入浴、解熱鎮痛薬の服用などが重なると、少量でも症状が誘発されることがあります。主な症状は、口や喉の違和感、かゆみ、じんましん、唇やまぶたの腫れ、腹痛、嘔吐、咳などです。呼吸困難、声のかすれ、繰り返す嘔吐、ぐったりする、意識がもうろうとするといった症状は、アナフィラキシーの可能性があります。
消化不良・胃腸の負担
たんぱく質は加熱によって構造が変化(熱変性)します。これにより消化酵素(ペプシン、トリプシンなど)が働きやすくなり、消化・吸収が促進されます。生の状態では熱変性が起こらないため、酵素が働きにくく、消化されにくい場合があります。そのため生の魚介類を多く摂取すると、胃腸に負担がかかり、消化不良や胃もたれを起こすことがあると考えられています。
食中毒
食中毒は、エビを食べ過ぎたことで起こるものではなく、細菌やウイルスなどに汚染されたエビを生で食べたり、十分に加熱せずに食べたりすることで起こります。特に腸炎ビブリオは海水中に生息する細菌で、魚介類を介した食中毒の原因になります。症状が現れるまでの時間は原因によって異なりますが、腸炎ビブリオの場合は食後4~96時間ほどで、激しい腹痛、水のような下痢、吐き気、嘔吐、発熱などが現れることがあります。多くは数日で軽快しますが、下痢や嘔吐が続くと脱水を起こすおそれがあります。水分が取れない、血便が出る、激しい腹痛や高熱がある、意識がもうろうとするといった場合は、速やかに医療機関を受診してください。乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は重症化する可能性があるため、特に注意が必要です。
エビを食べ過ぎた時の対処法

食物アレルギーの対処法
食物アレルギーは、人によって原因となるアレルゲンや反応を起こす量が異なります。また、同じ人でも体調によって症状が変化することがあります。医師から処方された医薬品(例:エピペンや内服薬など)を携行している場合は、指示に従って使用してください。症状が強い場合や呼吸困難、意識の低下などが見られる時は、速やかに医療機関を受診しましょう。
消化不良・胃腸の対処法
くるまえびのガーリック炒めなど殻付きで調理する料理は、うま味が逃げにくく食べ応えがあり、食欲をそそる一品です。えびの殻には、キチンという食物繊維が含まれていますが、キチンは消化されにくい性質を持つため、殻を多く食べると胃腸に負担がかかることがあります。食後に胃もたれや不快感等を感じた場合は、胃腸を休めるために温かいスープやおかゆなど、消化にやさしい食事を選ぶことが大切です。
食中毒の対処法
腸炎ビブリオは10℃以下の低温ではほとんど増殖できませんが、25~37℃の範囲では増殖しやすいことが知られています。そのため、食品の温度管理は食中毒予防の重要なポイントとなります。魚介類などは冷蔵保存を心がけ、調理の際は十分に加熱することが大切です。
エビの栄養素を効率的に摂取する方法

バナメイえび
バナメイえびは養殖に適した種類で、近年では東南アジアを中心に生産量が増えています。日本国内では主に無頭のものが冷凍で流通しており、価格が手ごろなため、加工食品や外食産業などで広く利用されています。
ブラックタイガー・くるまえび
ブラックタイガーは標準和名をウシエビといい、身が引き締まり、加熱しても食感が残りやすいことから、えびフライや天ぷら、炒め物などに向いています。生の状態では灰黒色ですが、加熱によって色素と結び付いているたんぱく質が変性し、アスタキサンチン由来の赤色が現れるため、鮮やかな赤褐色に変化します。くるまえびは上品な甘みとうま味があり、高級食材として知られています。国内で流通するものには養殖品も多く、天ぷら、塩焼き、寿司、刺身など幅広い料理に利用されています。
あまえび
あまえび(標準和名:ホッコクアカエビ)は、近年では北欧産のホンホッコクアカエビが多く流通しています。国内でも広く販売されており、身はやわらかく甘みがあるのが特徴です。刺身やお寿司などの生食用として人気があります。
さくらえび
さくらえびは、食塩水で短時間加熱した後、水切りして冷却した釜揚げの形で流通しています。えび類の中でもカルシウムを多く含むことが知られており、栄養価の高い食材です。お好み焼きやかき揚げ、和え物など、さまざまな料理に利用されています。
エビの保存方法や期間

冷蔵庫で保存する方法
エビは購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れ、パッケージに記載された保存方法と消費期限に従いましょう。開封後や量り売りのエビは、頭や背ワタを取り除いて流水で手早く洗い、キッチンペーパーで水分を十分に拭き取ります。清潔な保存容器や保存袋に入れて密封し、汁が他の食品に付かないよう、冷蔵庫内の温度が低い場所で保存してください。保存できる期間は、購入時の鮮度や保存温度、包装・開封の状態などによって異なるため、一律には判断できません。期限内であっても早めに調理し、強い臭い、変色、ぬめりなどの異変がある場合は食べないようにしましょう。
冷凍庫で保存する方法
すぐに調理しない場合は、鮮度が良いうちに冷凍します。頭や背ワタを取り除き、水分を十分に拭き取ってから、使用する量ごとにラップで包み、冷凍用保存袋に入れて空気を抜いて密封しましょう。保存袋に冷凍した日付を記載しておくと、保存状態を管理しやすくなります。家庭で冷凍した食品の品質は、冷凍前の鮮度や冷凍庫の温度変化などに左右されるため、期間を一律に定めず、なるべく早めに使い切ることが大切です。解凍は冷蔵庫や電子レンジなどで行い、解凍後は速やかに調理してください。
「エビの食べ過ぎ」についてよくある質問

ここまでエビについて紹介しました。ここでは「エビの食べ過ぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
エビを食べ過ぎるとどんな症状が現れますか?
田中 純子(管理栄養士)
エビを一度に多く食べると、胃もたれや腹部の不快感など、胃腸の症状が現れることがあります。
また、塩焼きや炒め物、加工食品など味付けの濃い料理を多く食べた場合は、塩分の摂取量が増え、喉の渇きやむくみにつながる可能性があります。バナメイエビは、養殖・生の場合、100g当たりの脂質が0.6gと少ない一方、コレステロールを160mg含むため、脂質異常症の方に一律に適した食品とはいえません。特にLDLコレステロール値が高い方は、エビだけでなく、食事全体のコレステロールや飽和脂肪酸の摂取量に配慮しましょう。
1日何尾以上食べると食べ過ぎになりますか?
田中 純子(管理栄養士)
えびは、主菜や副菜など使う目的によって摂取量が異なります。
1日の目安としては、主菜として食べる場合は約50~100g、サラダや副菜の具材として使う場合は約30~50g程度が適量です。
編集部まとめ
えびは種類によって食感や用途が異なるため、料理に合わせて選ぶことで、よりおいしく楽しむことができます。栄養面でもバランスが良く、日々の食事に取り入れることで健康的な食生活の維持に役立つ食材です。
「エビ」と関連する病気
「エビ」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
高尿酸血症
痛風脂質異常症食中毒食物アレルギー「エビ」と関連する症状
「エビ」と関連している、似ている症状は16個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
口や喉の違和感
かゆみ
じんましん唇やまぶたの腫れ
腹痛嘔吐咳
下痢
発熱血便呼吸困難
意識の低下
声のかすれ
胃もたれ脱水
むくみ
参考文献
日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省
食品成分データベース|文部科学省
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|文部科学省
食物アレルギー|消費者庁
えび|農林水産省
公益財団法人痛風・尿酸財団

