「比例復活のくせに」と怒鳴りつけ…国民民主党の代表選の裏で玉木雄一郎氏が見せた「器量の小ささ」

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勝てるはずの代表選でせこい裏工作を

「なんで推薦人になったんですか。あなたは比例復活でしょ。降りるべきだ」

7月24日と8月9日の両日、とある人物からすさまじい剣幕の電話が2人の衆議院議員にかかってきた。かけてきた相手は玉木雄一郎国民民主党代表(57)だ。電話を受けた衆議院議員は国民民主党所属でその玉木氏と代表選を争う橋本幹彦衆議院議員(30)の推薦人たちである。

8月22日、国民民主党の代表選が幕を開けた。玉木氏自身の代表任期満了に伴うもので、’20年9月の結党以来、代表を務める玉木氏と当選2回の橋本氏による一騎打ち。2週間にわたり、2人の候補は全国を遊説し、9月6日の臨時党大会で新たな代表が選出される。

ただ、国民民主党は玉木氏の「個人商店」と呼ばれるほど玉木カラーが強い政党だ。榛葉賀津也幹事長(59)、古川元久代表代行(60)など結党時の議員が中核を担い、方針や運営を固めてきた。都市部の現役世代という大きな政党がフォーカスしていなかった層に目をつけて飛躍した。

「売れない実力派地下アイドル」ーー玉木氏はそう揶揄されながらもユーチューブを早くから駆使し、現役世代に向けて、「手取りを増やす」「年収103万円の壁を打ち破る」と訴え続けた。結党時は15人だったが、現在は衆院28人、参院25人の計53人まで拡大。衆院では中道改革連合(49人)に次ぎ、参院では中道の議席はないため、野党第一党も視野に入る。

「ここ数年間は政界再編のキーマンとして幾度となく玉木氏の名が持ち上がり、与党からも野党からも担ぎ上げられそうな機運があった。とくに昨年の石破政権瓦解から高市政権誕生までの間、政界は流動化し、『玉木総理』の可能性も取り沙汰された。

’24年、写真週刊誌で女性スキャンダルが起きるも3ヵ月間の代表役職停止処分で乗り切る底力も見せた。玉木氏の発信力あってこその党で今回の代表選も結果は見えている」(野党担当記者)

代表選前日の21日、候補者合同会見を開き、玉木氏は「飲食料品に限って消費税減税を推し進めるのは反対」と高市政権に釘を刺し、こう説いた。

「減税が適応されない飲食店では外食離れが進む。いま居酒屋の倒産件数はコロナのときを越えています。今回の減税は外食離れ促進減税にもなるし、街の居酒屋倒産促進減税になる。肥料や苗など仕入は減税で安くならず、農業事業者にも3800億円の負担増になるといわれ、離農促進減税にもなる。さらに2年後増税するならいま下げなくていい。レジの税率を変えて、商品ポップも変えてと現場が混乱するだけ。

年間の飲食料品の一人あたりの消費税の負担額は3万6000円と推計されています。もし3万6000円の減税をしたいのであれば、36万円の住民税控除額を上げればいい。住民税は年金受給者でも負担してますから、住民税控除を行えば幅広く、迅速で簡素に解決できる。われわれはこのように解決策も示している。飲食料品の消費税減税を推し進めるなら連立に入ることはない」

キャッチーな言葉も踏まえて淀みなく語る。片やもう一人の候補者の橋本氏は元幹部自衛官で’24年の衆院選で埼玉13区で初当選。当時28歳の最年少で当選するも、今年の衆院選では「高市旋風」に押しやられ小選挙区で落選し、比例復活となった。橋本氏は会見でこう述べた。

「いま国民民主党は壁にぶち当たっている。私はここで〝対決より解決〟ではなく〝解決のための対決〟と考えています。脱皮をしていかないと、私は国民民主党がさらに国民から広く支持されるような政党にならないと考えます」

「玉木一強」の弊害

結党時から長らく代表を務める玉木氏と当選2回の若手の橋本氏では埋めがたい差があるようだ。

代表選出馬には、国会議員8人と地方議員8人の推薦状を集めねばならない。橋本氏は代表選の届出日の7日朝、何とか推薦人を確保し、出馬へ漕ぎ着けた。一方の玉木氏は国会議員も地方議員も各20人の推薦状を集め、格の違いを見せつけた。

「玉木氏の再選が確実視される中で、代表選を実施すればそれなりの費用もかかるので執行部はできることなら無投票再選を狙っていた。ただ、代表選を行えば党勢拡大にもつながる。約380名の地方議員の大半が来年春の統一地方選を控え、代表選を通じてまたとないアピールの場となる。無投票再選となればそのチャンスも逸してしまう」(同記者)

玉木氏は懐事情を知る代表として出馬取り下げ電話をかけたのであろうか。はたまた「玉木一強」を誇示するためにかけたのだろうか。

「推薦人取り下げ電話の意図は?」

22日の出馬会見で玉木氏にそう尋ねると、それまでの笑顔から一転した。

「推薦人を降りるように迫ったことはありません」

仏頂面でそう切り返した。

記者が「他の議員も電話は聞いているが」と重ねて尋ねると、玉木氏はこれ以上は話さないと虚空を見つめ知らぬ顔。すると、司会の鍋島勢理衆議院議員(35)が「更問(更に質問すること)は認めていませんので」と打ち切った。

橋本候補推薦人はこう憤る。

「7月24日にある議員にかかってきた玉木氏からの連絡をスピーカー機能で複数人で聞きました。代表は怒鳴るような声音で『なんで推薦人になった。降りろ』と迫ってきた。玉木代表の裏の顔というか、街頭演説やユーチューブで浮かべる別の顔も知った上で判断してもらいたい」

自民党の総裁選を彷彿するような権力闘争の厳しさを身を以て伝えようとしたのか。政治ジャーナリストの安積明子氏はこう嘆息する。

「親子のような年齢差で、政治キャリアも玉木代表が圧倒し、再選は約束されたようなもの。代表選は橋本氏を売り出すチャンスでもある。発信力のある議員が増えれば個人商店脱却にもつながる。党の未来を考えて若手を育成する。この代表選を有効に使うなら正々堂々、選挙に臨み、ウィンウィンの関係にすべき」

世代交代、若手の登用ーー。玉木氏は繰り返しそう述べている。仮に再選されたのならば、橋本氏、その推薦人にもチャンスを与えると信じよう。

取材・文・PHOTO:岩崎大輔