工藤静香 ロックで描いた「マイウェイ」 来年デビュー40周年 たどり着いた人生賛歌
工藤静香(56)が全編ロックの新アルバム「Dynamic」を引っ提げ、全国ツアーを展開中だ。結婚して26年。来年でデビュー40周年を迎える中、本紙の取材に「実は歌詞を見ただけで泣いちゃったの」と明かした。芸能界のド真ん中で我が道を突き進んできた唯一無二の女性シンガーが、円熟期を迎えて出合った“マイウェイ”な一曲とは――。
「今度のアルバムはロックで作りたい。私にあったのはそれだけです」。創作の始まりは静かな衝動だった。
それが音楽ユニット「スキマスイッチ」やダンス&ボーカルグループ「Da―iCE」の花村想太(36)ら才能あふれるアーティストたちが、工藤静香をロックで塗りたくってやろうと冒険的作品をぶつけてきたことで火が付いた。
「一筋縄じゃいかない曲だらけで。アルバムタイトルになった“Dynamic”は異空間をつくりたくてレコーディングに夢中になり、コーラスまで全部自分で歌ったら3日くらいかかってしまい…。おかげで総勢何百人の工藤静香が聴こえてきます(笑い)」
歌い手に徹して作り上げた多種多様な色彩の全10曲。図らずもそこから浮かび上がってきたのは、弱さを見せることはできない一人の女性像。ロックという絵の具を塗り重ねるうちに描かれていったのは「工藤静香」自身であったように思う。1曲目の「supercar」は次女Koki’(23)が作曲。ワイルドなサウンドの幕開けで静香が叫ぶ、♪I am a supercar――はその真骨頂だろう。
「出来上がった曲を聴きながら娘がニヤニヤしていて。作曲者として満足していただけたみたいです(笑い)。私の役割は作っていただいた曲の魅力を最大化すること。その曲に一番似合う服を着せたい!それだけです」
そんなアルバムの最後を飾る歌が「凛」。現在ドームツアーを敢行中の人気ロックバンド「SUPER BEAVER」のギタリスト柳沢亮太(37)が作詞作曲。
♪心ない言葉だとか態度 無関係では暮らせないけど
あなたが健やかであるように 私も笑顔でいたい
人生の多事多難を乗り越えてきた彼女が来年デビュー40周年を迎える中、大切な家族とともにたどり着いた境地をそのまま歌にしたかのような作品。「何げない一言でもグッとくる凄い人だと思っていたので依頼しましたが、歌詞を見ただけで泣いちゃいました。しかも、私をイメージして書いたと知りビックリした」と言う。特に最後が秀逸だ。
♪大事な人がいて 生かされている 凛としていたいのです
疾走感ある軽快な曲に乗せた「…です」の締めの言葉は、ロックには釣り合わない丁寧語だからこそ柔らかくも力強い。「大切な誰かのためでも、あれもしなきゃこれもしなきゃの毎日では大変で。自分がやりたいからやっている、君のためは自分のため。そんな互いを大事に思う気持ちを持つことで、凄く楽になれるんです。その境地に柳沢さんが若くして達せられていることに驚きました」
歌手として、妻として、母として――。年齢を重ねた今だからこそ歌える人生賛歌に出合えたという意味では、フランク・シナトラが54歳で出合った代表曲「My Way」のような存在になる歌かもしれない。
「私もそう感じています。そんな存在がロックというのもうれしい」。現在展開中のツアーは来月5日のNHKホールが最後。全国で歌い重ね、どんなロックな“マイウェイ”になっているか楽しみだ。 (阿部 公輔)
◇工藤 静香(くどう・しずか)1970年(昭45)4月14日生まれ、東京都出身の56歳。84年、中学2年で芸能界デビュー。86年「おニャン子クラブ」に参加して人気が爆発。翌87年「禁断のテレパシー」でソロデビュー。89年「黄砂に吹かれて」がオリコン6週連続1位を記録。「嵐の素顔」「慟哭」などヒット曲多数。00年に木村拓哉と結婚。翌01年に長女Cocomi、03年次女Koki’を出産。

