「がん」死亡リスクは肉の種類と性別で明暗 男女それぞれ“注意したい肉”を医師が解説

焼き肉やハンバーグなど、肉料理が食卓に並ぶ機会は多いのではないでしょうか? このほど、韓国の梨花女子大学校とソウル大学校の共同研究チームが、肉の摂取とがんによる死亡リスクとの関連を調べた研究結果を報告し、注目を集めています。この内容について浅川先生に伺いました。

監修医師:
浅川 貴介(医師)

【経歴】
2004年私立海城高等学校卒業
2010年私立東邦大学医学部卒業医師免許取得
2012年公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科
2018年医療法人社団七福会ホリィマームクリニック
2022年浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医

研究グループが発表した内容とは?

編集部

梨花女子大学校とソウル大学校の共同研究チームが発表した内容を教えてください。

浅川先生

梨花女子大学校とソウル大学校の共同研究チームは、韓国人成人を対象とした研究で、肉の総摂取量と全体のがん死亡率には男女ともに明らかな関連は見られなかった一方、肉の種類や性別によって異なる傾向が見られたと発表しました。
研究では、韓国の大規模な住民コホート研究(特定の集団を長期間追跡し、生活習慣と病気の発症との関連を調べる研究)のデータを用い、肉の総摂取量や赤身肉、内臓肉、加工肉などの種類別の摂取量と、がんによる死亡との関係を分析しました。その結果、男性では赤身肉の摂取量が多いほど胃がんによる死亡率が低い傾向がある一方、加工肉の摂取量が多いほど直腸がんによる死亡率が高い傾向が示されました。女性では内臓肉の摂取量が多いほど膵臓がんや乳がんによる死亡率が高い傾向が見られました。特に、肥満域ではない女性や高齢の女性、喫煙しない女性でその傾向が強く見られました。

がんのリスクを高める要因とは?

編集部

今回のテーマに関連するがんのリスクを高める要因について教えてください。

浅川先生

がんのリスクを高める要因には、喫煙や飲酒、偏った食生活、運動不足、体重の増減、感染などがあります。特に喫煙は多くのがんの危険性を高めることが分かっており、受動喫煙にも注意が必要です。また、飲酒や塩分の多い食事、野菜や果物の不足、熱い飲食物の摂取もがんのリスクと関連しています。さらに、運動不足や肥満、痩せすぎにも注意が必要です。感染によって発症リスクが高まるがんもあるため、検査やワクチン、適切な治療を活用してください。日頃からできる対策を取り入れ、がんになるリスクを少しでも減らせる生活を心がけましょう。

内容への受け止めは?

編集部

梨花女子大学校とソウル大学校の共同研究チームが発表した内容への受け止めを教えてください。

浅川先生

今回の研究では、肉を多く食べること自体とがんによる死亡リスクとの間に、一律の関連は見られませんでした。一方で、男性では加工肉の摂取と直腸がん死亡リスクの上昇との関連が、女性では内臓肉の摂取と膵臓がん・乳がん死亡リスクの上昇との関連が見られました。これらの結果から、肉の種類によって影響が異なる可能性があります。
ただし、これは食習慣とがん死亡との関連を調べた観察研究です。特定の肉ががん死亡の直接的な原因になった、あるいは赤身肉が胃がんを予防したと証明したものではありません。また、韓国人を対象とした研究結果を、そのまま日本人に当てはめられるとは限りません。
今回の結果だけを理由に赤身肉を増やしたり、内臓肉を完全に避けたりする必要はありません。加工肉や内臓肉に偏らず、魚、野菜、果物なども取り入れ、食事全体のバランスを整えることが大切です。

編集部まとめ

今回の研究では、肉の摂取量そのものよりも、種類や食べ方の偏りが健康に影響する可能性が示されました。加工肉や内臓肉に偏らず、魚や野菜、果物などもバランスよく取り入れることが大切です。毎日の食事内容を少し見直すことが、がんのリスクと向き合う一歩になるかもしれません。