「おせち商戦」早くも本格化、一人暮らしもターゲットに…弁当サイズで価格抑えめ
来年の正月に向けた百貨店のおせち商戦が早くも本格化している。
「個食」のニーズを捉えた一人でも楽しめる商品のほか、物価高でも価格を抑えて節約志向に応えた商品を充実させるなど、各社が消費喚起につなげようと工夫を凝らしている。(奈良橋大輔)
一人向け
そごう・西武は24日に都内で開いた発表会で、一人用弁当サイズの「BENTO おせち」をお披露目した。定番のエビやカニに加え、押しずしなど21品が入り、少しずつ様々な食材を楽しめるおせちの醍醐(だいご)味を感じられる内容にした。価格も税込み5980円と一般的なおせちより手頃に抑えた。
一人暮らしの高齢者や若者がターゲットだが、家族でも、例えば夫婦それぞれで楽しむなど、一定の需要があるとみている。おせち担当の西沢大輔氏は「新しいスタイルのおせちとして、これ一つでお正月の食事を完結できるものにした」と話す。
単身世帯は晩婚化などを背景に増加傾向にあり、総務省の統計では2020年に全体の約4割を占めた。単身世帯を取り込む個食向けは広がりを見せており、松屋でも能登半島の旅館が監修した一人前のおせちを販売。高島屋は今回、前年に始めた和風の「ソロ活おせち」に、和洋を加えた2種類を展開する。
試行錯誤
国内のおせち市場は堅調だ。調査会社富士経済によると、26年の正月向けは前年比1・3%増の858億円だった。ただ、近年の物価高は「おせち離れ」につながりかねず、各社は「お値頃感」の打ち出しに苦心している。
大丸松坂屋百貨店では、2段に46品が入る「天禄」の価格を1万1880円(税込み)に据え置いた。前年の売れ筋商品だ。一部の食材の価格は上がっているが、保冷剤や重箱を大量発注して一つ当たりのコストを低減したほか、製造工程を効率化するなどした。
幅広い食材の価格が高騰するなか、松屋が取引先などのおせち事業者を対象に行った調査では、おせちを値上げするとの回答は約4割にとどまった。いくらの味付けを塩漬けからしょうゆ漬けにしたり、フォアグラムースをホタテ焼きに変えたりと試行錯誤を重ねているという。
松屋の担当者は「手頃なおせちを選ぶ人と、特別感のあるおせちを求める人がいて二極化が進んでいる。多様なニーズに応えていきたい」と話している。
