『武甲酒造 柳田総本店』宝暦3年の創業から使う酒蔵の井戸は平成の名水百選「武甲山の伏流水」で、現代では地震などがあったときに「災害時飲料水」として地域に開放される

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真夏を思わせる日々に、涼やかな場所を訪れたい。清らかな流れに癒されたい……そんな風に願う人も多いはず。2026年の夏は東京から抜け出して、埼玉の涼なる流れに出合う旅でひと休みはいかが? 今回の旅の行き先は秩父山系がもたらす、ミネラルを豊富に含んだ名水の郷、秩父長瀞エリア。名水百選にも選ばれた湧き水はもちろん、豊かな水資源を活かした食文化まで。水と涼を巡る旅に出かけてみませんか。

清らかな水源がもたらす美味なる恵みに舌鼓「長瀞・秩父」

かき氷、酒、蕎麦……まるで蛍になったかのように甘い水に引き寄せられて、シンプルな贅沢さに辿り着いた。彩りと香りが、旅先の体に染み込んでいく。

『武甲酒造 柳田総本店』宝暦3年の創業から使う酒蔵の井戸は平成の名水百選「武甲山の伏流水」で、現代では地震などがあったときに「災害時飲料水」として地域に開放される

名水あるところに、美味たっぷりとあり

かき氷の町、長瀞(ながとろ)。昔、養蚕が盛んだったことに起因する。山奥から氷を切り出して卵を冷やし、孵化の時期を制御した。安定して生糸の生産ができるようにだ。やがて、繊維業は様変わりし、氷産業は途絶えるかと思えたが「かき氷」として阿左美冷蔵が伝統を残し、町おこしとして、かき氷の手法を指導している。

『喫茶 山草』氷メニューによって削り方を細かく変えるため、最後まで飽きず疲れず。秩父名物の小昼飯(こぢゅうはん)「みそポテト」もぜひ

宝登山(ほどさん)の参道(登山道)の入り口の一軒にお邪魔すると、地元の秩父いちごと越生(おごせ)梅のおいしい氷にありついた。ふぅと一休み。出がけに、おいしい豆腐屋を教えてもらった。

かき氷からの豆腐のコンボは、水のおいしい土地ならではの愉悦。早速、店番のお母さんから一丁買って、すぐさまコンビニで箸とミニ醤油を買い、待ちきれずに駐車場ですくうと、なんとも柔らかみのある、大豆の味が強い絹ごし豆腐だった。

『武甲酒造 柳田総本店』山に興味を持ってもらうため楓の樹液をボトリングする活動にも取り組んでいる

『武甲酒造 柳田総本店』@秩父

[店名]『武甲酒造 柳田総本店』

[住所]埼玉県秩父市宮側町21-27

[電話]0494-22-0046

[営業時間]8時〜17時半

[休日]元日

[交通]西武鉄道秩父駅から徒歩15分、秩父鉄道秩父駅から徒歩3分

『喫茶 山草』秩父名物の小昼飯(こぢゅうはん)「みそポテト」もぜひ

『喫茶 山草』@長瀞

[店名]『喫茶 山草』

[住所]埼玉県秩父郡長瀞町長瀞718-2

[電話]0494-66-0583

[営業時間]10時〜22時

[休日]月

[交通]秩父鉄道長瀞駅から徒歩8分

『よこまち 津』

『よこまち 津』@長瀞

[店名]『よこまち 津』

[住所]埼玉県秩父郡長瀞町野上下郷2108-1

[電話]0494-66-3888

[営業時間]火水金土日:11時15分〜15時、17時15分〜23時、月:11時15分〜15時

[休日]木

[交通]秩父鉄道野上駅から約1キロ

一級河川”荒川”源流を辿る初夏の散策へ「奥秩父」

森に分け入ると、自然と神聖な気持ちが湧き立つ。日陰は想像以上に涼しく、木々の覆いは道を暗がりにする。線路跡に人の営みを見て、ホッとした想いがしているとやがて雨が落ちてきた。

『入川渓谷』夕暮キャンプ場(標高約700m)から先はゲートを越えて徒歩で進む。東京大学農学部が管轄を担当する秩父演習林(国有林)だ。林道は整備されていて歩きやすいが、異界に入る感覚と森の涼気を存分に感じられる

癒しを求めて奥秩父の山中へ

いよいよ、山の中へ。山中にぽっかりと栄えたハイパー文化圏、商圏が秩父である。アニメの舞台に頻繁に登場するのもさもありなん、「転生」した先の別世界が展開するような風情がたまらない。

今回は人気の三峯神社を通り越して、県境の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)方面に足を延ばす。千曲川(信濃川)、笛吹川(富士川)、荒川の3本の大河の水源だ。

『入川渓谷』

その途中、降雨。山の天気は変わりやすい。トロッコ道の際まで進んで、後ろ髪をひかれながら、引き返してきた。アンラッキーと嘆くことなかれ、途端にしっとりと暗くなり、森が色気を増したのが心に残る。水の別の横顔を満喫できた。

雨に濡れた後は、秩父駅近くの古い銭湯「クラブ湯」に身を沈めて、小さな旅を締めたのである。

『入川渓谷』@奥秩父

[名称]『入川渓谷』

[交通]秩父鉄道三峰口駅下車、西武観光バス中津線川又バス停下車、夕暮キャンプ場までは徒歩約30分

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

※画像ギャラリーでは、秩父名物のかき氷やそばの画像をご覧いただけます。

※月刊情報誌『おとなの週末』2026年7月号発売時点の情報です。

『おとなの週末』2026年9月号

【画像】森の涼気を存分に感じられ奥秩父の散策ルート(13枚)