「ここは藏内王国ですから。藏内に批判的な勢力に対しては、完全に恐怖政治ですよ」

【画像】“圧力”告白の北島氏と藏内氏が並んだ選挙公報

 そう語るのは、藏内勇夫・福岡県議会議長(72)の地元・筑後市で副市長を務めていた北島一雄氏(69)だ。2023年、県議選(筑後市選挙区)に藏内氏の対抗馬として出馬した北島氏が、地元で感じた“圧力”を「週刊文春」に明かした。


藏内勇夫氏 ©︎時事通信社

約2000万円を要求されたとして「カツアゲ」だと告発

 福岡県議会を巡る騒動は、落ち着く様相を見せていない。

「一部県議らの海外視察において、ここ数年で億単位の公金使用が発覚。県庁幹部が組織的に県議のパーティ券を買っていたことも明るみに出た。さらに吉松源昭県議(58)が、議長就任の見返りに藏内氏らへの約2000万円を要求されたとして『カツアゲ』だと告発したのです」(地元記者)

 8月17日には、県議会の「ドン」である藏内議長への辞職勧告決議案が提出されたが、自民党県議団の議員が緊急動議を出し、採決は中止された。

 ドンを巡る騒動のさなか、冒頭の北島氏はこう続ける。

「藏内氏は議員辞職しかないでしょう。政治家として相応しい人物だとはとても思えません」

 北島氏は筑後市議を経て、副市長を約2年間務めた人物だ。

 まず、2021年11月の筑後市長選では、現職の西田正治市長と、藏内氏らが支援する新人候補との一騎打ちとなった。西田氏の応援をしていた北島氏は、すでにドンとして影響力を持っていた藏内氏らから“圧”を感じたと振り返る。

「厚意で陣営の後援会事務所の看板を掲出してくれた地元住民がいたのですが、後日訪ねると、看板がなくなっていたんです。理由を聞くと、『藏内さんから言われて……すみませんが外させてください』と。そんなことにも圧力をかけるのかと驚きました。選挙事務所を借りるのも、不動産会社から『藏内氏からの視線が気になる』とのことで断られたり。苦労しましたよ」

 そして2023年、北島氏は副市長を辞職し、無所属新人として県議選に出馬。自民現職・藏内氏の選挙区に挑んだ。藏内氏は当時過去4回連続で無投票当選しており、20年ぶりの選挙戦となった。

東ドイツが解放されたときのような気持ち

福岡県内では『麻生太郎氏、武田良太氏、藏内勇夫氏の選挙には(対抗馬として)出てはいけない』というのは常識です。睨まれたらどうなるかわからない、と。事実、藏内氏は10回の当選のうち7回を無投票で終えています」

「王国」での選挙は厳しかったという。

「友達なんかも、藏内陣営に見られていることを怖がってか、事務所に挨拶にも来てくれないんですよ。だから選挙に挑戦するっていう発想自体を持ちにくい環境でした。それでも、‟反藏内”的な感情も地元には存在すると感じていたので、立候補したんです」

 藏内氏の圧勝かと思われたが、結果は藏内氏9889票に対して、北島氏が8237票と大善戦。1600票ほどの差まで迫ったが惜敗したのだった。

 いま、藏内氏を巡る問題が次々と発覚する中、北島氏は率直な心境を口にする。

「マスコミも何もかも、藏内氏に握られていると感じ、ずっと信じられない状態でした。こうして彼の政治手法を問題視する声が広く報道されるようになり、ようやくベルリンの壁が崩壊したような、東ドイツが解放されたときのような気持ちです」

「王国」の崩壊も始まるのだろうか。

「週刊文春」では福岡県議会に関する取材を続けています。情報提供は「文春リークス」にお寄せください。

(「週刊文春」編集部/週刊文春