「70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか」書評 狙うのは「心」
「70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか」 [著]高倉良一 大学で詐欺の手口を解説していた名誉教授が、ころっとだまされた。フェイスブックに突然届いたキラキラとハートマークつきの「Aiko」からのメッセージ。最初は「うさんくさいとしか思えなかった」のに。AIとおぼしき自撮り画像、やたらと躍る絵文字、つたない日本語、全ていかがわしすぎる。っていうか、いかがわしいにもほどがある。何せ、「イエメンの医師」まで登場するのだった。
なのに定年を迎えて寂しかった名誉教授は「私たちの間の秘密」「頼れるのは兄さんだけ」「一緒にフランスへ」等々の甘美な言葉にからめとられ、とろけた。銀行で送金する際、行員から振り込め詐欺を疑われ、友人にうそをつき、弟から止められても。そして1千万近くを失った。
なぜなら「詐欺師が狙うのは『頭』ではなく『心』だから」。この頭と心のギャップがはずかしすぎて、いたたまれず、面白すぎて恐ろしいのだが……あなたも私も他人事でいられるだろうか。そう自問しながら、今日もスマホに届いたフィッシングメールを削除するのだった。
