今季の「ビッグ6」で、昨季開幕時と同じ監督が率いるのはアーセナルだけだ。元チェルシーのパット・ネビンは「これは6か月のチーム作りではない。6年間の積み上げだ」と話した。強みは補強した選手の能力だけではなく、すでにある骨格に必要な力を加えられていることにある。

 対照的に、ジョゼップ・グアルディオラ退任後の初公式戦に臨んだシティは、攻守が嚙み合わなかった。プレスを外されるたびに中盤がむき出しになり、ボールを持っても試合を落ち着かせられない。グアルディオラ時代には当たり前だった安定感が失われていた。

 1億1600万ポンド(約231億円)で獲得したエリオット・アンダーソンは中盤で影響力を示せず、60分に交代。アーリング・ハーランドも怖さを欠き、53分に退いた。2人にとって北中米W杯後、この夏初めての実戦だったことや、チーム編成がまだ途中であることは考慮すべきではある。エンツォ・マレスカ監督も「痛い敗戦だが、まだ始まったばかりだ」と強調した。
 
 1試合で新体制の成否は判断できないが、攻守の基準を作り直しているシティと、6年間の蓄積に新戦力を組み込んだアーセナル。両クラブの明暗は鮮明だった。

 コミュニティ・シールドは、リーグの行方を占う確かな物差しではない。プレミアリーグ創設後、この大会を制して同じシーズンにリーグも優勝したのは、34例中8例にすぎない。

 それでも、ツォリスが2点を演出し、ウーデゴーが躍動し、ギマランイスが45分間で中盤に新たな強さを加えた事実は残る。3−0が示したのは、シーズンを通した実力差ではなく、8月16日時点での現在地の違いだった。その差がリーグ終盤まで続くかは分からないが、より整った状態で開幕戦を迎えるのがどちらかは明らかだった。

文●田嶋コウスケ

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