ヘビ産業

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2026年8月16日、シンガポールメディアの聯合早報は、中国広西チワン族自治区で発生した豪雨による毒ヘビ脱走事故をきっかけに、現地の巨大なヘビ養殖産業と複合的リスクが露呈したと報じた。

記事は、今年7月に同自治区横州市で豪雨による洪水が発生した際、ヘビ飼育場が壊れて毒ヘビを含む約900匹が脱走したことで住民1人が死亡、複数人が負傷する事故が起きたと伝えた。

その上で、同自治区が年間3000万匹超を産出する中国最大のヘビ養殖拠点であり、その市場規模は数百億元に達すると紹介。危険を伴うヘビ養殖に頼る背景として、農業だけでは収入が不十分な地方における就業先の不足と低コストでの高い収益性を挙げた。

養殖業者の話によると、1000匹を養殖すれば10万〜15万元(約240万〜360万円)の収入になる上、村の空き家を活用できるため参入しやすいという。品種改良で3年間に3000万元(約7億2000万円)を稼いだ成功例もあるとのことだ。

記事は、こうした特殊動植物の養殖が農家の収入を増やし地方経済を支える重要な役割を果たしており、地方政府も脱貧困や地方創生策の一環として後押ししてきたと専門家が指摘していることを伝えた。

一方で、ヘビ養殖産業では日常的にヘビに噛まれるリスクに加え、自然災害による設備破壊とヘビの大量脱走という物理的リスクを抱えていることにも言及。業界関係者の話として、養殖農家がコスト削減を優先して二重ネットやワイヤーメッシュなどの脱走防止設備の設置や対策を怠っていたことが、今回の脱走事故を引き起こした要因の一つだと紹介している。

さらに、政策変更や市場構造による経済的リスクにも触れ、2020年に「野生動物食用禁止令」が施行されたことで食用市場が消滅し、薬用や健康食品向けへの転換を余儀なくされて利益が半減したことや、供給過多による価格暴落のリスクも存在することを説明した。

記事は専門家らの見解として、産業の全面禁止ではなく安全確保と生計維持の両立が必要であるとし、安全確保基準の厳格化や緊急時の対応マニュアルの策定、自然災害に備える農業保険制度の導入などを通じ、適切なガバナンスを構築することが今後の課題だと伝えた。(編集・翻訳/川尻)