「なんだか頭が疲れている」「考えがうまくまとまらない…」と感じたことはありませんか? 脳神経科学を専門に研究する、お茶の水女子大学・助教の毛内拡さんによると、これらは「脳が混乱しているサイン」なのだとか。今回は毛内さんに、脳が混乱する原因と、本来の力を発揮させるコツについて教えてもらいました。

※ この記事は『自分をつくる脳の仕組み』(オレンジページ刊)に掲載された内容を一部抜粋・再編集して作成しています

頭がごちゃごちゃして考えがまとまらないのはなぜ?

「なんだか頭がごちゃごちゃして、考えがまとまらない…」

そんなときは、脳が「混乱」しているサインかもしれません。では、どうして脳が混乱
してしまうのでしょう。そして、それを防ぐにはどうしたらいいのか、一緒に見ていきま
しょう。

まず、脳の混乱が起こる大きな原因のひとつは、「情報の多さ」です。現代の生活では、
スマホやテレビ、インターネットなどから毎日のように大量の情報が流れ込んできますよ
ね。とくに、SNSなどを通じて短時間でたくさんのニュースや意見、映像を見ていると、脳はそれを処理しきれなくなってしまうのです。その結果、思考がまとまらなくなり、「なにを考えていたのかわからない」という状態に。

音楽を聴きながら宿題、スマホを見ながら食事はNG

また、「マルチタスク」も脳を混乱させます。

たとえば、音楽を聴きながら宿題をしたり、スマホを見ながら食事をしたりすると、脳は同時に複数の情報を処理しようとします。すると、ひとつひとつの作業に集中できなくなってしまい、効率も下がり、情報もうまく記憶に残らなくなる。

「ちゃんとやっているつもりなのに、頭が疲れる」と感じるときは、脳が過剰に働いて混乱しているのかもしれません。

さらに、「強いストレス」も脳に混乱を引き起こす大きな原因となります。緊張する場
面や、心配事があるとき、脳は「戦うか、逃げるか」のモードに入ってしまいます。

このとき、脳は冷静に考える前頭前皮質よりも、感情をつかさどる扁桃体という部分が強く働くようになります。これによって、論理的に考える力は弱まり、感情的になったり、思考が散らばったりしやすくなるのです。つまりストレスが続くと、脳のバランスが崩れて「考えすぎて疲れる」「落ち着かない」という状態になってしまうのです。

脳の混乱を防ぐには

「睡眠不足」も脳の混乱に深く関係しています。睡眠がたりないと、脳の情報整理がうまくいかなくなり、注意力や判断力が低下します。これはまるで、デスクの上に資料が山積みになっている状態と似ているかもしれません。どれを手に取っていいかわからなくて、結局なにも進まない…そんな経験、ありませんか?

では、どうすれば脳の混乱を防げるのでしょう?

まずはマルチタスクをやめて、目の前の作業に集中することで、脳は余計なエネルギー
を使わずにすみます。それに、ひとつのことをしっかりやりきると、達成感もあって気分
もスッキリします。

次に日記を書く、やること(ToDo)リストをつくるなど、頭の中を「見える化」す
るのがおすすめです。また、深呼吸や目を閉じてなにも考えない「ぼーっとする時間」を意識的にとるのも効果的です。脳はずっとフル回転しているわけではなく、適度に休ませることで本来の力を発揮できるのです。混乱したときこそ、脳を「休ませ、整える」ことを意識してみてくださいね。