《新宿立ちんぼ・2026夏》「公園から消えた」大久保公園にいた売春女性はどこへ? 取り締まり強化でひっそり別の場所で“客待ち”…外国人観光客はカメラ片手に徘徊
かつて売春目的で客待ちをする、いわゆる「立ちんぼ」の女性たちが多く集まっていた東京・歌舞伎町の大久保公園周辺。警視庁による取り締まりや官民によるパトロールが続くなか、2026年夏に現地を訪れると、かつての光景は一変していた。しかし、女性たちが歌舞伎町から消えたわけではないという。大久保公園から姿を消した「立ちんぼ」は、いまどこにいるのか。
【画像】「ヘイ!」といきなり腕をつかんできたかつての立ちんぼの現場写真と、誰も立たなくなった現在の大久保公園
大久保公園から「立ちんぼ」が消えた?
「お姉さん、いくら?」
「ホ別1、生なら2」
2019年ごろから、お金を求めて路上売春を行なういわゆる「立ちんぼ」の女性と、性を求める男性との交渉が、東京・歌舞伎町にある大久保公園周辺を中心に連日繰り広げられていた。とりわけ2023年には、警視庁が客待ちしていた140人を逮捕。公園周辺には多くの女性と、声をかける男性たちが集まる光景が見られた。
しかし、2026年の今、立ちんぼ女性の「主戦場」である大久保公園周辺ではある変化が起こっている。
「2~3年前は、多い時で50人くらい立ちんぼが並んでいたけど、1年ぐらい前からめっきり見なくなりましたよ」
そう語るのは、大久保公園にほど近いお店で働く飲食店スタッフだ。
立ちんぼがあふれかえっていた状況から一転、現在ではほとんど見かけなくなったという。
Xでも、
〈新宿のホテル街って立ちんぼがほぼ消えたね 代わりにおじさんがいっぱいいる〉
〈大久保公園の立ちんぼほんとに消えたんやな〉
と、立ちんぼの「消滅」について触れる声が上がっている。
「警視庁は、売春防止法違反の疑いで、立ちんぼの一斉取り締まりを行いました。警視庁の発表によると、2023年は140人、2024年は97人、2025年には112人を検挙し、年代別では20代が多くを占め、中には未成年もいました。
立ちんぼを行なっていた理由ですが、コロナ禍で生活が困窮したことや社会問題にも発展したホストクラブでの売掛金(ツケ)を支払うため、ホストから路上売春を行なうように指示された女性もいたようです」(社会部記者)
7月某日、実際に現地を訪れてみると、大久保公園周辺はかつての喧騒が嘘のように落ち着き、辺りには飲み屋帰りの酔客の声だけが響いていた。
また、立ちんぼの姿を撮影しようと、手持ちカメラを携えて訪れた外国人観光客とみられる配信者の姿も多く見られたが、あまりにも「撮れ高」のない想定外の光景に、呆然としている様子が見られた。
取り締まりと官民パトロールを強化…客待ちが減った背景
警視庁による立ちんぼの一斉取り締まりをはじめ、悪質なホストクラブの売掛対策、トー横キッズのたまり場だった新宿東宝ビル周辺への柵設置や見回り強化など、歌舞伎町ではさまざまな対策が進められてきた。大久保公園周辺で、かつてのような客待ちの光景が目立たなくなった背景には何があるのか。
新宿区役所危機管理課に問い合わせると、要因は地道な取り組みの成果だという。
「地元町会さん、警視庁さん、東京都さん、新宿区の委託警備員など官民合同でパトロールを強化しています。また、警視庁さんの方にも継続的に取り締まりを行なっていただいており、2~3年前に比べ、立ちんぼの絶対数は確実に減っています。
時間が経つと、また戻ってくる可能性もありますので、引き続き地道にパトロールを行ないながら、撲滅に向けて対策を強化していきたいと思います」
実際に取材中、大久保公園周辺や新宿東宝ビル周辺では、背中に「SECURITY」と書かれた警備員が周辺を巡回している姿が見られた。
しかし、冒頭に出てきた飲食店スタッフいわく、取り締まりが強化された一方で、立ちんぼ女性は完全に0になったわけではないという。
「減ってはいるものの、まだ立ちんぼは見かけますよ。彼女たちは、おじさんサラリーマンが仕事が終わる日没から、終電間際まで活動し、最近は取り締まりが強化されているので、大久保公園周辺というよりはホテル前に待機していますよ。平日の夜より、人が集まる週末によく見かけます」(前出・飲食店スタッフ)
週末に改めて現地を訪れてみると、親子ほど年齢が離れた中年男性と若い女性が2人でホテルに入っていく姿や、歌舞伎町周辺のホテル前に女性が1人たたずむ姿が確認できた。
大久保公園から消えた女性たちは、“すぐ近く”に
歌舞伎町の日常をSNSで配信する30代の男性に、かつて大久保公園周辺にいた立ちんぼ女性たちの行方を尋ねると、今もすぐ近くにいるという。
「今は警察が厳しいので、ホテルの前に立っていてもすぐに注意されます。そのため、以前のようにずっと立ち続けている女性は少なくなりました。大久保病院の前に座っていたり、ホテルの建物の隙間に隠れていたりすることが多いですよ。警察に注意されても“待ち合わせ中”と言って、座り込んだままスマホをいじり続ける女性もいます」
では、取り締まりが強化されたことで、立ちんぼ女性たちの行動パターンにも変化はあったのか。
ホテルの敷地内で座り込む女性は、移動を繰り返すことで摘発から逃れていると話す。
「昼も夜も関係なく警察がいるので、同じ場所には居づらくなりました。立ち退けと言われたらコンビニで時間を潰します。あとは周りを歩いたり、動いたりしていると(立ちんぼと)判断されにくいのかなって思います」
女性は、周囲の様子を気にしながら、「今待ち合わせしてたんで」と言い残し、近づいてきた中年男性のもとへと向かった。
「売春防止法第5条によると、売春目的で勧誘行為を行った場合、6カ月以下の拘禁刑又は2万円以下の罰金に処されます。2025年の検挙人数112人は延べ人数です。2024年は97人でした。再犯数が増えないためにも、抑止力という意味で、売春防止法の見直しは必須でしょう」(前出・社会部記者)
大久保公園から姿を消したように見えた「立ちんぼ」たち。しかし実際には、取り締まりを避けるように場所を移し、その姿が見えにくくなっただけなのかもしれない。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部ニュース班
