「Keighley」はカメラや映写システムの製造開発や映画製作、劇場配給などを行うIMAXコーポレーションが開発した新型70mmフィルムカメラです。開発にあたっては、クリストファー・ノーラン氏やホイト・ヴァン・ホイテマ氏といった著名な監督や撮影監督が協力しています。

Introducing: The IMAX Keighley Film Camera

https://www.imax.com/en/jp/news/introducing-the-imax-keighley-film-camera

Keighleyは「既存のIMAXフィルムカメラと同等の品質を、デジタルならではの機能性で実現すること」を目的に開発された70mmフィルムカメラです。従来のフィルムカメラと比較すると、電子機器やソフトウェア群のアップグレードが施されたほか、撮影現場におけるカメラの効率性を高める技術的改良が行われたとのこと。

撮影にKeighleyが使われたノーラン監督の『オデュッセイア』の撮影を追った動画を見ると、Keighleyによる撮影がどのようなものかわかります。

Why Christopher Nolan shot "The Odyssey" on IMAX film - YouTube

2026年9月11日(金)の日本公開が予定されている『オデュッセイア』は、全編がIMAXのフィルムカメラで撮影されました。



初の「全編IMAXフィルムカメラ撮影」の長編映画で、各フレームの画質はデジタルカメラの最大3倍だとのこと。



真ん中に映っているのがKeighley。右側にはノーラン監督の姿もあります。



さまざまな装置を取り付けて組み立てると、かなり大きな装置になります。しかし、IMAXのフィルム自体も巨大なので、およそ2分半撮影するごとにフィルムの交換が必要です。



また、フィルムカメラは高速でフィルムをシャッターに巻き込む必要があるため、撮影中に大きな音がしてしまうという問題もあります。



『オデュッセイア』主演のマット・デイモン氏は、従来のIMAXフィルムカメラではカメラ本体の音がうるさすぎたため、撮影は不可能だっただろうと述べています。



ノーラン監督の要望を受けたIMAXコーポレーションは、Keighley用の防音筐体(きょうたい)を開発しました。これは非常に大きくて扱いにくいものの、しっかりと防音の役割を果たすそうです。Keighleyや防音筐体を組み立てると全体重量は約136kgに達するため、台車に特別な鋼板を取り付けてレール上を動かさなくてはなりません。



しかし、これらの工夫によってKeighleyで『オデュッセイア』を撮影することができたというわけです。



70mmフィルムのプリントを担当したのは、アメリカ・ロサンゼルスのFotoKemというフィルム現像所兼ポストプロダクションスタジオです。



専門家の作業を真剣な表情で眺めるノーラン監督。



映画では1分間に数十回もシーンが切り替わることもありますが、ネガフィルムはすべて手作業でつなぎ合わされています。



専門の器具にフィルムを挟み込み、断面に接着剤を塗ります。



反対側のフィルムをくっつけます。



しばらく待つと、フィルム同士がくっつきました。



ノーラン監督は、「デジタル化やAIなどあらゆるものが普及した時代にあっても、これは人間によるアナログなプロセスです。フィルムは今までに考案された中で最高品質の画像フォーマットです。これに匹敵するものはありません。正しく露光・プリントされ、巨大なスクリーンに投影されれば、他では決して得られない画質になります」と語りました。



映画系メディアのY.M.Cinema Magazineは、Keighleyのユーザーインターフェースに着目した記事を公開しています。

IMAX Keighley: The New 15/70 Film Camera Has a Surprisingly Modern UI - Y.M.Cinema Magazine

https://ymcinema.com/2026/07/08/imax-keighley-camera-modern-ui/

以下の動画の52秒付近を見ると、Keighleyのデジタルモニターにさまざまな数値が表示されていることがわかります。

How 'The Odyssey' Was Created Completely in 70mm IMAX | Inside The Making - YouTube

拡大するとこんな感じ。中央のカウンターは撮影済みフィルム枚数を表示するフッテージカウンターです。右上に表示されている「24.000」という数値は設定フレームレートを表していますが、右下の実測フレームレートでは「24.001」と表示されています。つまり、Keighleyは実際にフィルム移動速度を測定してデジタル表示に反映しているというわけです。また、画面右下の「00:42」という数字は残りの撮影可能時間であり、直感的にあとどれほど撮影できるのかがわかるようになっています。



Y.M.Cinema Magazineは、「KeighleyのUI(ユーザーインターフェース)を最も正確に表現するなら、15/70アナログフィルム搬送システムをデジタルテレメトリ層で覆ったものと言えるでしょう」「デジタルセンサーでも、電子キャプチャーでも、ハイブリッドカメラでもありません。現代的で洗練された、データ豊富なインターフェースを通して動作状態を表示する、機械式のIMAXフィルムカメラなのです」と述べました。