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経理部長という立場を利用して、会社の預金5200万円を横領した罪に問われた50代男性に対し、大阪地裁は8月3日、懲役3年4カ月(求刑:懲役4年6カ月)の実刑判決を言い渡した。

横領した金は風俗店や不倫相手との遊興費、投資などに使われたという。

法廷では、前の勤務先でも横領して解雇されていたことが明らかになったほか、起訴されたのは5200万円だが、合計すると「1億円をはるかに超える額」を横領したと本人が認めた。

「見栄を張りたかった」。法廷で語られた弁明と、裁判所が実刑を選んだ理由を追った。(裁判ライター・普通)

●通帳を破り、15年かけて横領を繰り返した

スーツ姿の被告人は、長年経理部門で勤務してきた会社員らしい落ち着いた雰囲気だった。しかし、その印象とは対照的に、法廷で明らかになった犯行は大胆だった。

起訴状によると、被告人は経理部長として会社の預金口座を管理する立場を利用し、4回にわたって計5200万円を自身の口座へ送金したとされる。起訴内容は認めている。

検察官の冒頭陳述などによると、被告人は約15年前に入社。社員数1000人を超える大きな会社である。

3年目ごろには社員の積立金を管理する福利厚生制度の口座に手を付けた。

毎月1回10万円ずつ着服し始めたが、その回数は徐々に増えていった。担当を外れる際は、通帳を破って取引履歴を隠そうとした。

係長、次長、部長と順調に昇進。経理担当者が実質的に1人だった体制を悪用し、会社の資金移動が多い時期を狙って1度に2000万円を送金するなど犯行を重ねた。

その後、社内調査によって犯行が発覚した。会社の認識によると、被害額は1億7000万円に上るという。

●「前の会社でも横領」妻も知らなかった裏の顔

法廷では、以前勤務していた会社でも経理業務で横領を繰り返し、解雇されていたことも明らかになった。

今回の横領金は、風俗店の利用、不倫相手との遊興費、投資、妻と別居するための費用などに充てられていたという。

情状証人として出廷した妻は、横領している事実について知らなかったが、家に帰ってこない時期があり、羽振りがいいとは感じていたという。だが、理由を聞いても「大丈夫」と言われていた。

犯行に気付けなかった責任を感じており、離婚せず、自ら金銭管理を担う考えを示した。被告人も保釈後、日雇いの仕事で弁済資金を工面しているという。

妻によると、被告人には「いいカッコしたがる」性格があったという。

検察官:なぜ今回の犯行をしたか、被告人自身の言葉で聞いていますか。
妻:自分ではよくわからない、と。

検察官:事件の原因について、被告人自身の言葉で聞いていますか。
妻:お金に困っていることを知られたくなく、隠したかった、と。

●性的目的でなく風俗店に通った理由とは

弁護人からの被告人質問では、冒頭から本題に迫った。

弁護人:​​今回、犯行を行ったきっかけは何だったのでしょう。
被告人:最初は、「自分が見栄を張りたい」「いいカッコをしたい」という思いがあり、なぜしたのか今でもずっと自問自答しています。

弁護人:横領したうち、かなりの額を風俗店に使っていますが、これも見栄なんですか。
被告人:情けない姿を見せられない思いがあり、仕事のストレスとか家族や友人に話せず。風俗店では客として扱ってくれるので…。

性的な目的でなく、精神的な拠り所だったという趣旨の説明だった。

●1億円超の横領を認めるも…弁済は3割届かず

また、起訴された5200万円についても、実際には「1億円をはるかに超える額」を横領したと証言。通帳を破ったためか、総額も把握できていないという。

前の会社で横領した700万円は母親が返済し、今回も母親から借りた金銭と生命保険の解約金などで1293万円を返済した。

このうち10万円は、保釈後に日雇いの仕事でなんとか捻出したものだった。しかし、5200万円の3割にも届かない。

被告人は何度も声を振り絞りながら、1日でも早く被害弁済できるよう努める意思を示した。しかし、その道のりはなお遠い。

●「会社の管理体制が甘かった」は通用しなかった

弁護側は、1000人規模の会社で経理業務を実質1人に任せ、チェック機能が働いていなかったことも事件を拡大させた一因だと主張した。

そのうえで、被害弁償のために、家族の生活管理の下、社会内で更生させるべきと執行猶予付き判決を求めた。

しかし、大阪地裁は、隠蔽工作を伴う犯行の巧妙さや、多額の被害額、長期間にわたる常習性、十分と言えない被害弁済などを踏まえ、実刑を選択した。

また、会社の管理体制に問題があったとしても、「被告人の刑を軽くする理由にはならない」として、この主張も退けた。