山里亮太「被災地ヘリ取材に疑問」発言はなぜ共感を呼んだのか イオン爆発映像の繰り返しにも批判が上がった“納得の理由”
熊本地震の報道のあり方について、南海キャンディーズの山里亮太(49)の発言が話題を呼んでいる。7月30日放送の「DayDay.」(日本テレビ)で、被害を伝えるテレビ局のヘリコプターに関して疑問を投げかけたのだ。
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【写真を見る】30年以上前、山里と同じ「報道ヘリ問題」を指摘していた大物芸能人
その発言が放送されたのは、熊本で震度7の地震が発生した2日後のことだった。番組ではイオンモール熊本の爆発や倒壊した家屋、避難所の人々などの映像と共に、MCの武田真一アナが被害状況を伝えていた。
山里:捜索が続いている中、テレビで見ていてすごく心配になるのが、今もそうですけど(画面には上空から撮影した映像)、ヘリコプターを飛ばして撮っているじゃないですか。あの音って結構、中継の時も、歩いている時も、ヘリの音がすごい入ったりするんですけど。瓦礫の下に埋まっている人がいて、ギリギリ助けを求める声とか、そのせいで聞こえなくなったりとか……。そういうのって、今ここでは捜索していないから、その上を飛んでいるとか、ちゃんと約束の下にやるものなんですかね。

武田アナ:ヘリコプターの取材には規制コードがありまして、相当、上空を飛んでいます。で、望遠レンズで撮ることをしていますが、やっぱり極力、救助活動に影響がないよう報道機関と捜索に当たっている当局としっかり連携を取りながら伝えてほしいと思いますね。
さすが元NHK、池上彰氏を彷彿とさせる即答ぶりだ。そしてネット上に、は山里の発言に共感する声が溢れた。民放プロデューサーは言う。
「視聴者の目線で“テレビの正義”に疑問を呈した発言が好感を持たれたように思います。“テレビだから許される”に違和感や嫌悪感を持つ視聴者が増え、報道番組への信頼感が薄らいでいる中での報道批判ですから、より共感を集めたのだと思います。もっとも、ずいぶん前ですが、同じことをテレビで言った人がいました」
怒りのパペポ
記憶にある方もいるだろう。今から31年前の1995年1月27日深夜に放送された「鶴瓶上岡パペポTV」(日本テレビ系/読売テレビ制作)での上岡龍太郎の発言だ。台本なしで60分、笑福亭鶴瓶と上岡の二人だけでトークする公開収録の番組だが、1月17日に発生した阪神・淡路大震災から間もない23日に、観客を入れずに収録された。
兵庫県在住の鶴瓶が被災者の一人として堰を切ったように喋りまくる一方で、大阪府在住の上岡は震災報道を見ていた視聴者として語り、“怒りのパペポ”と呼ばれた伝説的な放送だった。
上岡:テレビはあかんね。こんなにテレビのレベルが低いとは、今さらながら……。我々がやってることは、さほどレベルが高いとは自分らで思ってなかった。でも、ちゃんとしている部分がテレビにはあると、僕は信じてた。ところが、今度の報道を見てて、まったく駄目。もうテレビ局には芸能レポーターしかいてないね。ワイドショーしかよう作らんね。
鶴瓶:テレビってホントにガラスの中のね、ホンマにちょっとしたもんで、俯瞰で撮れば小さくなるし、寄せりゃそこしか映らないというね……。ほんで、しばらく経ってマスコミの人間にも、事の重大さが分かり出したんでしょうな。それでも、なんでこんなこと言うことが必要? 「すごく燃えてます」――そんなこと言うたって……。
上岡:ヘリコプターで火災現場の上空を旋回しながら、「まるで死者を弔う送り火のようです」って言うてね。その日は風向きがどうで、どこが燃えてて、これから先、どの辺に燃え移りそうだから、どこに逃げたほうがいいとか、まったくやらない。生(放送)でなんでやらないかんかったのか……。ジャーナリストとか報道番組というのは、テレビにはもう期待したらイカンね。作り手もいなけりゃ送り手もいない。テレビが映すと全部芸能になってしまう。
――話題はさらに取材ヘリに及ぶ。
日本のテレビにヒューマニズムはない
上岡:取材陣のヘリコプターが、あの被災地の上を飛び回るでしょ。あの爆音のために、生き埋めになっている人たちに外からどんなに声をかけても、その人たちの声は爆音のために聞こえない。
鶴瓶:(ボランティアに行っている)息子さん、そう言うてはったんでしょ?
上岡:(頷きながら)あれは報道陣が何百人、殺してますよ、ヘリコプターで。その爆音のために、「誰かいますか?」「声出してください!」言うても、(瓦礫の)下で何日もこうなってたら声も出せん。その弱い声を聞き取って「いたぞ! よし助けよう」という行動に出るために、ヘリコプターがなんぼ飛び回って邪魔しているか。そういうのに気がつかんのでしょうね。だから日本のテレビにヒューマニズムというものはないんですよ。人間愛というのはね。変なセンチメンタリズムはあるんですよ。悲しがろう、思い切り悲しがろう、悲惨さを喜ぼうという……。
30年以上前の発言である。阪神・淡路大震災以降、震度7を記録した地震は、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(11年)、平成28年熊本地震(16年4月14日と16日の2回)、北海道胆振東部地震(18年)、能登半島地震(24年)、そして令和8年熊本地震――。
「そんな中、テレビの報道姿勢が今も変わっていないことが、山里の発言で改めて露呈したわけです。報道番組のメインキャスターが現場から生中継する“現地入り”に対しても『邪魔』とか『混乱の元』などと批判が寄せられています。番組のメインキャスターが現場の今を自分の目で見て肌で感じて伝えることが、もはや批判の対象になっています」
イオンモールの爆発映像が繰り返し流されることにも批判がある。
自分の番組を批判するMC
「“強い画へのこだわり”や“ドラマありきの取材”が感じられても嫌悪されるようになりました。イオンモールの爆発映像も擦りすぎで、何度もリピートさせる演出は死者多数の事故ということを忘れているかのようです。まるでバラエティの“衝撃映像”のような感覚で見せているのでは?と思うこともあります」
山里の発言には大きな意味があった。ただし、心配もあるという。
「彼は報道する側の立場でありながら、報道姿勢を批判することが目立ちます。京都の小学5年生殺人事件の際は、メディアが警察の捜査ルートをなぞりインタビューなどで独自のストーリーを描いていくという典型的な手法に、『それを流すことに何か意味はあるのかな?』と率直な疑問を呈したこともありました」
他の報道番組ではあり得ない発言だろう。
「それだけに山里の報道姿勢に対する批判は反響も大きく、彼にとって武器にもなっています。しかし、彼の立場はMCです。自分の番組の報道姿勢を批判していては、スタッフの信頼を失う可能性もある。身内からの反感を買わないことを願います」
デイリー新潮編集部
