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北海道江別市で2024年10月に起きた男子大学生への集団暴行死事件で、札幌地裁は8月7日、主犯格とされる特定少年の川口侑斗被告人(当時18歳)に対し、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。

判決はまだ確定しておらず、今後、控訴する可能性もあるが、仮にこのまま無期懲役が確定した場合、10代で無期刑を科された被告人が将来、社会に戻る可能性はあるのだろうか。

●法律上は「10年」で仮釈放できる

日本には、社会復帰の可能性を完全に閉ざす「終身刑」は存在しない。

刑法28条は、無期刑の受刑者について、刑の執行開始から10年を経過し、本人に罪を悔い改める「改悛の状(かいしゅんのじょう)」がある場合には、仮釈放できると定めている。

なお、2025年6月に懲役刑と禁錮刑が「拘禁刑」に一本化され、今後は「無期拘禁刑」と呼ばれることが増えていくことになる。

ただし、江別市の事件は拘禁刑の導入前に発生しているため、川口被告人には従来の「無期懲役刑」が言い渡された。

●仮釈放より「獄死」が多い現実

ただ、条文上の可能性と実際の運用には大きな隔たりがある。

7月末に公表された最新の矯正統計年報によると、2025年に仮釈放された無期刑受刑者は、わずか4人だった。

2024年はさらに少なく、1人だけ。この受刑者の在所期間は38年1カ月に及んでいた。

一方、2024年に服役中に死亡した無期懲役囚は32人だった。過去10年間で見ても、仮釈放された人数に比べ、服役中に死亡した人数は約3倍にのぼる。

無期刑が「事実上、終身刑化している」とも指摘されるゆえんだ。

●服役中の無期受刑者、50年以上も12人

長期の服役は珍しいことではない。

無期刑受刑者について、法務省は現在、刑の執行開始から30年が経過したときは1年以内に仮釈放の審理を開始すると説明している。許可されなかった場合も、10年後に再び審理が始まる仕組みだという。

ただ、審理が開始されることと、仮釈放が認められることは別の話だ。2005年の法改正で有期刑の上限が20年から30年に引き上げられて以降、無期刑の受刑者も実際には、30年以上服役した後に仮釈放されるケースが一般的な運用になっている。

法務省が今年1月に公表した資料では、2024年末時点の無期受刑者の在所期間は「10年未満」が180人、「10〜20年」614人、「20〜30年」535人、「30〜40年」224人、「40〜50年」85人。さらに、50年以上服役している人も12人いた。

高齢化も進む。年齢別では、70代が379人(23%)、80代以上が152人(9.2%)で、70歳以上が全体の約3割を占める。

●チャンスがあっても「50歳以降」か

では、事件当時18歳だった川口被告人の場合はどうなるのか。

仮に判決が確定して刑の執行が始まれば、刑法上、仮釈放が可能になる「10年」を迎えるのは30歳前後となる。

しかし、これはあくまで法律上の最短ラインにすぎない。近年の運用を前提とすれば、仮釈放されるとしても50歳前後、あるいはそれ以上になる可能性がある。

筆者のこれまでの取材では、服役中に親やきょうだいなどが亡くなり、時間の経過とともに身元引受人を確保するのが難しくなることで、仮釈放の条件が整わないことも珍しくないという声も聞く。

また、仮釈放の判断にあたっては、被害者の遺族の心情なども考慮される。

たとえ仮釈放が認められたとしても、無期刑の場合、原則として生涯にわたって保護観察が続く。

筆者が手紙のやりとりを続けている無期受刑者の中には、先が見えない生活を続ける中で、自らの刑を「時間をかけて行われる死刑」「死刑よりきつい」と表現する人もいる。