《高市政権の数のおごり》「個人情報保護法改正」も「皇位継承問題での失言」も…福島みずほ氏が主張する「女性の皇族が結婚しても皇族のままで構わない」のワケ
国旗損壊罪や改正皇室典範、改正個人情報保護法など、重要法案が次々と可決・成立している。社民党党首の福島みずほ参院議員は、こうした現状に対して「個人の内心の自由を抑圧する」「国民の生活ではなく国家主義的なものが前面に出ている」と強い危機感を示し、「政権を変えるしかない」と訴えている。
作家で俳人の日野百草氏も、そうした考えに共感する1人だ。高市政権に意義を唱える2人のロジックとは──。【前後編の後編。前編から読む】
個人情報保護法改正で問題であり、恐ろしいこと
――人工知能(AI)にまつわる改正個人情報保護法について、与野党内で危惧する声があります。
〈デジタル技術の急速な進展に伴い、個人情報を含むデータの利活用に対する需要が高まっている一方で、個人情報の違法な取扱いにより個人の権利利益が侵害されるリスクも高まっている。これらを踏まえ、「データ利活用制度の 在り方に関する基本方針」(令和7年6月13日閣議決定)等に基づき、個人の権利利益の適切な保護を図るとともに、AI活用にも資する円滑なデータ連携を促進するための所要の措置を講ずる。〉
日野:法案の概要にこうありますが、そもそもAIは関係ないという話も専門家からはあがっていますね。
福島:私も行政監視委員会で質問したのですが、例えば病院にある医療データも全部含めて匿名化せずに一旦業者に送られてしまいます。
日野:その段階で匿名化の統計処理をAIでし、取得情報自体は削除する、ということですよね。
福島:でも、本当に削除したかどうかは誰も確認しないのです。次世代医療基盤法だと、各病院から、大学など承認審査を受けた登録業者へ送られるわけじゃないですか。そこから本当に個人情報が漏れないのいか、十分に精査されたのか。
日野:適用除外規定もなく、内部告発や公益通報が恣意的な刑事罰のリスクを負う可能性があるし、政治家のスキャンダルを暴いた者が罰則を根拠にこれも刑事罰という脅しを政治家やその周辺から受けかねませんね。
福島:今回の法案は制限も何もない、病歴はもちろん思想信条もそのまま匿名化されたかどうかもわからないまま行ってしまうことが問題なんですね。カルテとかもともとあるのだからその提供元でやればと言えば手書きもまだあるから無理と言う。
日野:それも同意もなく、ということですね。
福島:健康診断のデータとかもありますから、まったく反対というわけではないのです。本人の同意なく本人のセンシティブな情報が病院などから第三者へ行くというところに何の歯止めもない、そこが問題であり、恐ろしいことだと思います。
小選挙区中心になることの弊害
──議員定数削減法案は今国会では先送りとなりましたが、改正皇室典範は可決、成立しました。ほかにも賛成多数で可決という国会運営が目立ちます。野党の存在感が薄い印象です。
日野:こうした状況は加速していくかもしれませんよね。国旗損壊罪、憲法改正審議、個人情報保護法改正案など高市政権は次々と数の力で押し通している現状があります。衆議院の議員定数削減法案もそうですね。
福島:仮に45議席削るとして、小選挙区では51対49でマジョリティが勝つばかりになる。
日野:それでは少数意見が反映されなくなると。
福島:ヨーロッパの国々は比例が中心で、その方式で先の衆議院選挙をシミュレーションしたところ社民党は6議席、その他の政党も結果が違うとされています。つまり小選挙区中心になることの弊害がこの議員定数削減でより強くなることを危惧しています。
日野:皇室典範改正においてもすでに国民の意思が反映しづらくなっていると感じます。女性皇族が結婚後も皇室に残ることについての是非も合理的理由は示されなかった。
福島:私は個人の意見として女性の皇族が結婚しても皇族のままで構わないと思っています。それより女性皇族や女性天皇について、きちんと議論をしないことが問題です。
日野:自民党の中曽根弘文憲法改正実現本部長の皇位継承問題に関する「愛子さまはありえない」「愛子さまと結婚する人いない」発言は、思想信条関係なく人間としてどうかと批判に晒されています。それでもすんなりと可決されてしまった。
福島:森英介衆院議長も旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることについて「男の子が生まれれば皇位継承権を持つ」と言って非難を受けて釈明しましたけど、そういう姿勢もまた自民党、高市政権の数のおごりだと思っています。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
福島 みずほ/社会民主党党首。参議院議員(5期目)。元・内閣府特命担当大臣。東京大学卒業後、弁護士として選択的夫婦別姓、婚外子差別などに取り組む。1998年初当選。環境・人権・女性・平和を4本柱に活動。現在、参議院外交防衛委員会委員、同・行政監視委員会委員、同・北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会委員。
日野 百草(ひの・ひゃくそう)/出版社勤務を経て、内外の社会問題や政治倫理、近現代史のルポルタージュや文芸論、芸術論を手掛ける。一般社団法人日本ペンクラブ広報委員会委員、同・言論表現委員会委員。現代俳句協会会員。MFA(芸術修士)。
