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古豪、大分商業の優勝で幕を閉じた高校野球の大分大会。甲子園で春夏優勝経験のある津久見との決勝は、幅広い年代のファンが球場に詰めかけ、近年にない盛り上がりを見せた。

【写真を見る】DH制で変化する高校野球「大谷様様でした」13年ぶりの甲子園に導いたベテラン監督の戦略 新ルールが救った球児の夏

41チーム中31チームがDH制を採用

今年も多くの熱戦が繰り広げられた大会で、例年とは異なる最大の変化は、初めて 導入された「指名打者(DH)制度」だった。

日本高野連は、投手の負担軽減や選手の出場機会増加を目的に、2026年春の公式戦から指名打者制度を導入。制度を使うかどうかは各チームに委ねられる中、今大会は、出場41チーム中31チームが採用と、新ルールを活用する学校が多数に上った。

大会期間中には、「3年生を試合に出してあげたいのでありがたい」(宇佐高校・三重野和人監督)「ピッチャーと野手と別々のメニューが組めるので、練習がしやすい」(大分雄城台高校・佐藤慎一郎監督)「バントのうまい選手や足の速い選手など、一芸に秀でた選手をDHで起用することもできるので、戦術の幅が広がった」(明豊高校・川崎絢平監督)など、各監督から制度の導入に好意的な声が多かく聞かれた。

「DH制はチーム事情にピタリとはまりました」

こうした中、制度の導入を見据えて、1年かけてチーム作りに取り組んだのが、13年ぶりの頂点に立った大分商業だった。

プロ注目の速球派右腕、平田玲翔(3年)を擁するチームは、夏の酷暑対策として、バッティングでも主軸を打つ平田をDHで出場させ、リリーフ待機させる起用法を選択。

その上で、練習試合や公式戦を通じ、先発、中継ぎとそれぞれの持ち場で力が発揮できるよう複数投手の底上げを図った。

大分商業高校 那賀誠監督(59):
「新制度は先発させた平田をそのままDHに残せる大谷ルールという選択肢もあったので、うちにとっては大谷様様でした。DHは守備に入らずブルペンで肩を作れるので、リリーフ登板した平田がすぐに出力を上げられました。DH制は今年のチーム事情にピタリとはまりました」

大分商業は今大会、5人の投手陣による継投で勝ち上がり、エースの平田は全試合でリリーフ登板。

3回戦の佐伯鶴城戦では6回からマウンドに上がり、自己最速の152キロをマークしたほか、準決勝でも150キロの速球とスプリットのコンビネーションで、6連覇を目指した明豊を破るなど、圧巻の投球でチームの勝利に貢献した。

大分商業 平田玲翔投手(3年):
「先発の米田がいい流れを作ってくれるので、その流れをつなぐ気持ちで投げました。夢がかなってうれしいし、大分県全高校の思いを背負って、甲子園でも大商旋風を起こし、日本一を狙います」

「この制度はありがたかったの一言です」

また、出場機会の増加によるメリットを受けた選手も。

明豊高校で指名打者として出場した宮元弾(2年)。去年の秋までレギュラー捕手として出場していたが、3月の練習中に右肩を負傷。送球できずに守備練習に入ることができなかったが、その時間を打撃練習に費やし大会に臨んだ。

明豊高校 宮元弾選手(2年):
「僕にとってこの制度はありがたかったの一言です。試合の中で守備をせず打つだけというのはこれまで経験がなかったので、自分自身のリズム作りが難しいところもありましたが、けがをして守れなくても打撃でチームに貢献できるチャンスをもらえて感謝しています」

宮元は主に1番打者として全4試合にスタメン出場。大会を通じて15打数6安打4打点と活躍し、県内屈指の選手層の厚さがあるチームの中で、大会のポイントゲッターとして貢献した。

「選手にいろんな選択肢を残してあげたい」

一方、選手の今後を見据えて、指名打者制度を採用しなかった高校も。

第1シードで大会に臨んだ県内屈指の進学校、大分上野丘。チームを率いる松田幸史監督(52)は、「進学後も野球を続ける選手も多く、高校生はまだ成長段階」との考えから、3年生ピッチャーの登板時はDHを採用せず、投手が打席に立つ選択をした。

大分上野丘高校 松田幸史監督(52):
「春はDHを使ってみたが、やはり投手はバッティングでも戦力と考えている。DHについての考え方はそれぞれのチーム事情で異なると思うが、うちは1人が2ポジション以上に入れる練習に取り組んでいるので、すべてができる選手になってほしいし、将来的にみても、選手にいろんな選択肢を残してあげたい」

変化する各校の戦略

制度を採用するか否か、指導者の考えは様々だが、導入によりチーム作りやメンバー選考など、各校の戦略が大きく変化したことは明らかだ。

明豊高校の川崎絢平監督(44)は、「大会前の強豪校との練習試合で感じたのは、指名打者として打力のある選手をあえて下位に起用して、9番まで息がつけない打順を並べていたところもあった」と語るなど、全国の代表校が集う甲子園では、その幅はますます広くなると推測される。

2024年からの低反発バット導入をはじめ、高校野球を取り巻く環境が変化する中、新たな制度を追い風に頂点に立った大分商業が、甲子園でどのような戦いを見せてくれるのか楽しみにしたい。