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スペインの工場設備を活用

フォードの新型マルチエネルギー車と、ジーリー(吉利汽車)の電動SUVがスペインのバレンシアで生産されることになった。両社の新たな提携により、フォードが50年前に開設したバレンシア工場の運営を引き継ぐ合弁会社が設立される。

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来年、正式に承認が得られれば、フォードは新会社の株式の66%を、中国のジーリーは34%を保有することになる。同工場の年間生産能力の上限である約50万台をフル活用することが目標であり、欧州フォードのジム・バウムビック社長によれば、従業員を追加で採用するという。


フォードとジーリーが欧州事業で新たな提携を結んだ。

2028年に新型クロスオーバー投入

現在、バレンシア工場で生産されているモデルはフォードのSUV『クーガ』のみだが、2029年までに4車種の新型車が加わる予定だ。その1つが、2028年に登場予定の欧州市場向けSUV『ブロンコ』で、クーガと同じC2プラットフォームを採用するとみられている。

また、フォードとジーリーが共同開発するマルチエネルギー対応の「ファミリークロスオーバー」も2028年に登場する予定だ。バウムビック氏は、この新型車を「Cセグメントのラリー由来のクロスオーバー」と表現している。


スペインのバレンシア工場で生産されているフォード・クーガ

このクロスオーバーがどのプラットフォームをベースにするかはまだ明らかにされていないが、単なるバッジエンジニアリング車にはならないという。

「フォードの製品は完全に独自のモデルとなります。単に外観を変更するだけではありません。退屈なクルマは作りません。完全に独自設計された、紛れもないフォード車であり、ジーリーの製品とは一線を画すものです」とバウムビック氏は強調した。

ブロンコとこのクロスオーバーは、欧州フォードが2029年までに発売を予定している、ラリーにインスパイアされた5つの新型車のうちの2つだ。これに加え、ルノーが生産する2車種の小型EVと、別のマルチエネルギークロスオーバーも投入する。

現地化するジーリー、2車種を生産へ

ジーリーはグローバル展開計画の一環として、バレンシア工場で2種類の電動SUVを生産する予定だ。生産開始は2028年と見込まれている。ジーリーブランドのモデルが欧州で生産されるのは今回が初めてとなるが、グループ傘下のボルボ、ロータス、LEVCなどを通して、欧州での生産経験を有している。

ジーリーの上級副社長、ビクター・ヤン氏は、スペインでどのモデルが生産されるかについては明言を避けつつ、次のように述べた。


ジーリーブランドから欧州で販売されているEX5

「当社は常に、欧州に根を下ろすためには、欧州の一部にならなければならないと考えてきました。当社にとってそれは、現地化と、当社の専門知識をバレンシア工場の世界最高水準の伝統と融合させる長期的な取り組みを意味します」

「当社は、欧州の産業的卓越性に対する信念をさらに強めています。単に販売するためだけではなく、現地の人材に投資し、サプライチェーンを強化し、フォードと協力して、欧州のお客様が求めているマルチエネルギーソリューションを提供するためにここにいるのです」

ヤン氏はジーリーの目標として、約5年以内に欧州市場での販売台数の3分の1から半分を欧州で生産することを挙げた。

なぜ今回の提携に至ったのか

バウムビック氏は、「ジーリーを非常に特別な企業だと考えており、これは実に特別なパートナーシップになるでしょう」と述べた。その理由の1つとして、両社の歴史が2010年に遡ることを挙げた。同年、ジーリーがフォードからボルボを買収したのだ。

バウムビック氏によると、フォードは数多くのパートナーを検討したが、「ジーリーのEV技術と幅広い能力」を理由に同社を選んだという。


フォードはジーリーのEV技術に注目したようだ。

「共同開発を行う理由は、製品の差別化を実現し、スケールメリットを最大限に活用するためです。わたし達が直面している競争環境や欧州の市場環境は、もはや以前とは根本的に異なります。コスト面では新たなレベルに突入しています」

「わたし達が目指しているのは、欧州のお客様向けに欧州で製品を生産しつつ、可能な限り低いコストを実現することです。これは、ジーリーが中国で実現しているコスト水準を欧州でも実現しようとしていることと何ら変わりません。そしてわたし達は共に、『メイド・イン・ヨーロッパ』の理念に沿った選択を行っているのです」

バウムビック氏は、バレンシア工場での操業体制の詳細については言及を避けた。同工場で生産される5車種のうち2車種は既存のフォード製プラットフォームを採用し、残りは共通のマルチエネルギープラットフォームを採用することになっている。

「わたし達の目標は、この工場を最大限に活用することであり、それによって固定的な制約が生じることはありません。工場の柔軟性を最大限に活用すれば、関係者全員にとってコストが最小限に抑えられます。それが目標です」