北陸新幹線ルート「桂川案」決定 その背景と今後の課題
上野キャスター
スタジオには北陸新幹線を長年取材している数家さんです。敦賀・新大阪間のルートが「小浜・京都ルートの桂川案」に決まりました。
数家キャスター
桂川案は、京都市を通るルートですが、中心市街地を西にう回して、駅も現在の京都駅ではなく、およそ5キロ離れたJR桂川駅付近の地下に設ける計画です。
なぜ「桂川案」が選ばれた背景は何だったのでしょうか。
数家キャスター
自民と維新による連立政権が発足したことがあります。北陸新幹線の整備委員会にも維新のメンバーが入り、米原ルートなどを含めた8つの案を提案して再検討を進めてきました。
上野キャスター
そして、最終的に絞り込まれたルート案はこちらです。
・東海道新幹線に米原で乗り入れる「米原ルート」と
・小浜・京都ルートのうち現在の京都駅に接続する「南北案」
・そして京都市街地を西にう回する「桂川案」の3つです。
数家キャスター
このうち、米原ルートは建設区間が短いため建設費が比較的少なく、開業も早まるとして推す声がありました。
一方、地元の滋賀県は、建設費を負担することに見合うメリットがないとして反対しました。また東海道新幹線乗り入れについても、JR東海は「東海道新幹線のダイヤの込み具合を考えると乗り入れは到底困難」としました。
また、小浜・京都ルートのうち、京都の中心市街地の地下を通る「南北案」に対しては、街なかで大規模な工事が必要になり、地下水にも大きな影響が及ぶ可能性があるとして、地元・京都が反発したうえ、京都で大きな影響力を持つ仏教会も歴史的建造物に影響が及ぶ可能性があり「千年の愚行」だと反対していました。
上野キャスター
その結果、選ばれたのが「桂川案」ですね。
数家キャスター
今回の決定について地元・京都の反応です。
京都府 西脇知事
「引き続き、施工上の課題については国、(鉄道・運輸)機構に対して対応をきちっと求めていきたいと思っています」
京都市 松井市長
「例えば、財政1つをとってみても、これが市にとってどれくらいの負担になるのか、書札がついているわけではないんですね。具体的にどういう負担になるのかを精査しないと、我々は市民にしっかりと説明する、その務めが果たせないので」
また、京都仏教会は「桂川案を容認しているという認識ではない。地下水や残土、財政に対しての懸念が払拭されるのか、京都市は引き続きしっかり検討し、主体となって調査をしてほしい」とコメントしています。
上野キャスター
そして、福井県の小浜を通るルートになった背景には、歴史的な経緯も影響していますね。
数家キャスター
北陸新幹線は1973年に示された国の整備計画で、既に「小浜市付近」が経由地として記されていました。小浜を含む若狭地方の振興を求めた福井県に対し、ルート選定に大きな影響力があった当時の田中角栄総理大臣が赤鉛筆で小浜経由の線を引いたという逸話があります。
さらに、福井県の石田知事は先月25日の県議会で、若狭地方が国策として原子力発電所を受け入れてきた貢献度を踏まえて、小浜・京都ルートの早期開業を求めました。
上野キャスター
こうしたことも背景に「桂川案」を選んだ今回の決定は、「消去法による政治的な落としどころ」とも言えそうですね。
数家キャスター
ただ、ルートは決まりましたが、今後に向けては課題が山積しています。
先月の整備委員会で国土交通省が示した試算では、桂川案の工期は26年、建設費はおよそ5兆5000億円とされています。
北陸新幹線の建設費は、線路を借りるJRが支払う「貸付料」を除いた分を、国が3分の2、都道府県が3分の1の割合で負担する仕組みです。
京都府や大阪府は、この財政負担が最大の懸念だとしています。
整備委員会はきょうの会合で、地元負担を減らすため、負担割合の変更や地方財政措置を増やすことなどを提言するとしました。また国の負担分も財政状況が厳しい中、どうやって財源を確保していくかが課題です。
上野キャスター
また、桂川に新幹線の駅が設けられるとなると新高岡と同じく現在の京都駅とは分離した駅になりますね。
数家キャスター
京都の街なかへのアクセスや東海道新幹線との乗り継ぎなど、利用者の利便性の面でも開通までに解決すべき課題があります。
上野キャスター
北陸新幹線の整備計画が定められてから半世紀以上、そして県内の区間が開通してからも既に11年が過ぎました。
数家キャスター
東京と大阪を日本海側経由で結ぶという本来の役割を発揮するために、着工、そして全線開通に向けた課題を一つ一つ解決していく必要があります。
上野キャスター
北陸新幹線のルート決定について数家さんとお伝えしました。

