「アキバ絶対領域」のメイド、あむさん

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 東京・秋葉原のメイドカフェ「アキバ絶対領域」のメイド「あむ」さんは、他のメイドには真似できない高度な技術をもっている。それは「ケチャップアート」だ。

 秋葉原のメイドカフェといえば、メイドがオムライスにケチャップで「萌え〜」などと描くのが定番のパフォーマンスになっている。ところが、あむさんは一味違う。リクエストがあれば、オムライスにアニメのキャラを描いてしまうのだ。しかも、とんでもなく上手いのである。

 SNSでも、あむさんの“作品”はたびたび話題になる。「マツコの知らない世界」でもそのテクニックが紹介され、あのマツコ・デラックス氏から絶賛されたほどだ。どんなキャラクターのリクエストでも対応可能というあむさんに、その職人技を披露してもらいつつ、インタビューを実施した。【取材・文=山内貴範】

【写真実況】秋葉原の人気メイド「あむ」さんがオムライスにケチャップで絵を描く様子

あっという間に絵が完成

 秋葉原エリアに4店舗を構える「アキバ絶対領域」。今回向かったのは本店で、白とピンクを基調としたかわいらしいインテリアが特徴の路面店だ。なお、「アキバ絶対領域」ではメイドが猫耳をつけているのが特徴であるが、それは“にんげんに恩返しをしたい猫たちがかみさまの創った「絶対領域」で、にんげんの姿になってお給仕しているメイドカフェ”というコンセプトがあるためだ。

「アキバ絶対領域」のメイド、あむさん

 笑顔がかわいらしいあむさんは、メイド歴6年のベテラン。「おかえりにゃさいませ〜!」のセリフも明るくかわいらしいトーンで、まさにアニメのキャラクターのような雰囲気がある。メイドのセリフやメニューも、猫が給仕しているという世界観に合わせて作り込まれているのが魅力的だ。

 今回、あむさんに「デイリー新潮」のロゴと、筆者作のメイドのイラストを描いてもらうことにした。ケチャップの容器を巧みに操り、みるみるうちに絵を描いていく。なんと、ロゴは2分、イラストは5分程度で完成させてしまった。しかも、会話をしながら、下描きもせずに“一発描き”してしまったのだから、凄すぎる。

一皿一皿、心を込めて

――ケチャップアートの技術はどのように身につけたのでしょうか。

あむ:「アキバ絶対領域」は、海外から秋葉原を訪れたご主人様、お嬢様がたくさんご来店されます。通常のケチャップアートでは猫ちゃんの顔やメッセージなどを描くのが基本なのですが、日本のアニメがお好きな方から、「このキャラクターを描いてほしい!」とリクエストをいただくことがよくあったんですよ。

 せっかく日本に来てくださったご主人様、お嬢様に楽しい思い出を持ち帰っていただきたい――という気持ちで、リクエストにお応えし、一皿一皿心を込めて描いてきました。その積み重ねが、現在のケチャップアートに繋がっているのだと思います。

――あむさんを見ていると、絵を描くのに慣れているなあと感じました。もともとイラストを描くのはお好きなのですか。

あむ:好きでしたね。アナログでも、デジタルでも描いていました。ケチャップアートはアナログで描いていた技術が役に立っている気がしますね。

力加減と、特徴を捉えるのが難しい

――絵を描く上でのこだわりや、難しいポイントなどはあるのでしょうか。

あむ:ケチャップアートは赤一色で描くので、様々な色を使って表現することができません。そのぶん、目や髪形などのパーツの形や配置、そのキャラクターらしい表情を意識して、「一目見て誰なのかわかる」絵になるように心がけています。限られた条件の中で特徴を捉えることが一番難しくもあり、一番こだわっているポイントですね。

 また、オムライスは立体なので、平面と違って思うように絵を描くのが難しいんです。容器を押したときの強さによってケチャップの出る量が変わりますし、残っている量によっても変わってくる。そのへんの絶妙な力加減も難しいですね。

――描くのが得意なキャラクターなどは、いるのでしょうか。

あむ:特定のキャラクターが得意というよりは、参考になる画像などを見せていただければ、ジャンルを問わず幅広く描くことができます。私自身が知らない作品のキャラクターでも、その特徴をしっかり捉えられるように心がけています。

 ご主人様、お嬢様が推しのグッズを持ってきてくださり、オムライスと一緒に推し活を楽しんでいる姿を見ると、とても嬉しい気持ちになりますね。大切な推しとの思い出づくりの一つに、私のケチャップアートがお手伝いできていることにやりがいを感じています。

マツコさんの神対応に感動

――これまで、膨大な数のケチャップアートに取り組んできたと思いますが、依頼のなかで、特に印象深かったものはなんでしょうか。

あむ:一番印象に残っているのは、「マツコの知らない世界」に出演したとき、マツコ・デラックスさんの似顔絵を描かせていただいたことです。スタジオという特別な場所だったのでとても緊張しましたが、完成した作品をご覧になったマツコさんから「上手くてこれじゃ怒れない」と言っていただけたことがとても嬉しく、今でも忘れられません。

――マツコさんの神対応が素晴らしいですね。

あむ:実は、リハーサルのときはマツコさんがスタジオにいらっしゃらなかったので、本番で何を描いてほしいと言われるのか、わかっていませんでした。本番までずっと緊張していましたが、心の中で「せっかくならマツコさんの似顔絵を描かせていただけたら嬉しいな」と思っていたので、本番で実際にお願いされたときは本当に嬉しかったです。

 ぶっつけ本番でしたので緊張しましたが、心を込めて描かせていただきました。メイドカフェにはたくさんのメイドがいるなかで、私を見つけていただき、スタジオで描かせていただくという貴重な機会をいただけたことは、本当に光栄に思っています。

大変だった依頼は、あのロボット

――今の時代は、漫画・アニメの好みも様々だと思いますが、これまでにもっとも多く依頼を受けたキャラクターは誰でしょう。

あむ:SPY×FAMILY』のアーニャです。4年ほど前に「アキバ絶対領域」の公式TikTokにアーニャのケチャップアートをUPしたところ、多くの方に見ていただけました。これをきっかけに、「アーニャを描いてほしい」という依頼が増えたんですよ。

 あと、自分が好きなキャラクターをご主人様、お嬢様にリクエストしていただけたときは、内心嬉しくて、ついニヤニヤしてしまうことがありますね。

――素敵なエピソードですね。逆に、描くのが大変だった依頼はありますか。

あむ:海外の方に、ガンダムを描いてとお願いされたときは大変でしたね。キャラクターは描き慣れているのですが、ロボットは初めてで、苦戦しながらも頑張って描きました。

――その場で即興で依頼に応じるのですから、緊張感が凄いと思いますが、あむさんは実戦で技術を鍛えている感じですね。これからはケチャップアートにどのように取り組んでいきたいと思っていますか。

あむ:キャラクターにはそれぞれ大切に応援しているファンの方がいらっしゃいますから、その思いを大切にしながら、「お願いしてよかった!」と思っていただけるお絵描きができるように、これからも技術を磨いていきたいですね。

 また、オムライスはできたての一番おいしい状態で召し上がっていただきたいので、完成度を保ちながら、より短い時間で描けるようになることも目標の一つですね。

描いている間もコミュニケーションの時間

――お話をしながら描くのも凄いですよね。

あむ:お絵描きをしている時間も、ご主人様、お嬢様との大切なコミュニケーションの時間だと思っています。描くことだけに集中するのではなく、会話も楽しみながら、思い出に残るひと時をお届けできるメイドでありたいと思っています。

――最後に、ご主人様、お嬢様にメッセージを。

あむ:マツコの知らない世界」への出演や、SNSで話題になったときには、私以上にご主人様、お嬢様が喜んでくださいました。そのことがとても印象に残っていますし、温かい気持ちが嬉しかったですね。「これからも皆さんと一緒にいる時間を大切にしたい」という思いが一層強くなりました。

 放送やSNSを通じて私のことを知り、「アキバ絶対領域」に足を運んでくださった方もたくさんいましたし、実際にケチャップアートを楽しんでいただけたことも嬉しかったです。「アキバ絶対領域」には、個性豊かなメイドがたくさんいますし、ライブパフォーマンスなどの魅力も満載です。

 これからも「また来たい!」と思っていただけるようなお給仕を心がけていきますので、ぜひお気軽に遊びにいらしていただけたら、嬉しいです。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部