任侠キャラと編み物というギャップで話題を集めるアイパー滝沢さん(51)は、あるとき「エゴサをいっさいやめる」と決断。そして、自分自身が好きで始めた任侠キャラも、自分には他にも伝えたい面があると、素顔も公表。「どっちの俺もいい」という51歳の境地とは?

【写真】素顔ヤバッ!任侠キャラとは正反対なマイルドな顔はかなりギャップあり(14枚目/全16枚)

ウケた日に見たひとつの批判コメント

── お笑い芸人のアイパー滝沢さんはアイパー頭にサングラスという任侠キャラで活動する一方で、インスタグラムやブログ、YouTubeなどを通じて、ネタや編み物作品などを長年コツコツと発信。近年はNHKの手芸番組出演や編み物本出版をするまでになり、いまや編み物芸人としても話題です。ただ、気になるのがアンチコメントへの対応です。 ネットでの発信を続けていると、知らない人からの批判コメントに接して 、傷つく人が少なからずいます。滝沢さんの場合はどう対処していましたか?            

滝沢さん:ネット上で自分に関する書き込みを探す「エゴサ」みたいなことはいっさいしないことにしています。前はしてたんですけどね。

昔、ライブでめちゃくちゃウケた日があって、ワクワクしながらエゴサしたんですよ。みんなどんな感想を書いているかなって。そうしたら、「面白かった!」「アイパーすごかったね」っていう多くの書き込みのなかに、たった1件ですけど、辛辣なコメントを見つけてしまって。「アイパーってキャラだけじゃん。あの(任侠)キャラを使えば誰でもウケるわ。キャラへのツッコミで成り立っている笑いで、本人の実力じゃない」みたいな内容だったかな。

── たった1件の批判コメントでも、イヤな気持ちになってしまいますよね。

滝沢さん:刺さりましたよ、めちゃくちゃ。せっかく「面白かった」と100人が書いてくれても、ひとつでもマイナスなコメントがあると、そのマイナス意見がすべての評価に思えてきちゃうんですよね。こんなの健康的じゃないなって思って、エゴサを完全にやめました。それからずっとエゴサはやってないです。

XなどのSNSで不特定多数の人がその人のアカウントであれこれ言うのはその人の自由だし、それについては俺は気にしないことにしたんです。どんなにおもしろい芸人だって、いい話だって、必ずマイナスの意見はあるものだし、それをわざわざ探しに行ってイヤな気持ちになるだけ損だなって。

── いっぽうで、自分のYouTubeチャンネルやインスタのリールなどにはファンから応援コメントが寄せられるかと思います。そちらについてはどう対応していますか。

滝沢さん:自分が上げた動画などにつくコメントは、ほとんどが俺に応援の気持ちを伝えたくて書いたものでしょうから、「見てますよ」「ありがとう」という意味を込めて、すべて「いいね」を押すようにしています。ファンの方も、ノーリアクションよりは嬉しいかな、っていう思いです。

── 他人がその人のページで書いたことについてはエゴサなどはしない。ただし自分のアカウントを見に来てくれたファンには「いいね」で応える…、そうやって適度な距離感を保つことが、ネットでの発信を長続きできる秘けつなのかもしれませんね。

滝沢さん:最初はウケなくても何年も何年もネットでの発信を続けて、そのうちに、編み物の動画の再生回数が少しずつ伸びて行って。それがここ数年の編み物芸人としてのテレビ出演や編み物本出版につながったのかもしれないね。

キャラ作りよりも素を出すのもありかなと

── 10年以上、インスタなどで作品を発表し続け、ついには編み物本を出すまでの存在に。任侠キャラとは真逆の趣味が話題となり、アイパーさんのなかで何か変化はありましたか?

滝沢さん:自分をさらけ出しやすくなりましたね。以前は、自分自身が映画『仁義なき戦い』のような任侠の世界観が好きで、男らしさへの憧れも本物。近づきたい一心で外見からでも、任侠感を出していたつもりです。実際、こわもての任侠キャラが好きな人がファンの多くを占めていると思っていたので、そのためにつねにキャラとして気張ってなきゃいけないと。素なんか出したら、がっかりされるんじゃないかって。

今はYouTube配信では髪をアイパーにせず、下ろしたままやったりもしてますし、もう何にも考えずに素でやってます。任侠の世界観もいまだに好きだし、憧れも失っていません。でもいっぽうで、俺、キティちゃんも本当に好きなんですよ。かわいいものや甘いものが好き、それも本当のこと。

任侠キャラの自分、編み物やスイーツな好きな自分、自由に行き来している

── どちらの自分も受け入れられるようになったんですね。

滝沢さん:編み物で注目してもらえたことで、「任侠キャラじゃない部分を出しても大丈夫なんだ」って思えるようになったんだと思います。「これで離れるファンがいるなら、それでいい」って思えて。51歳にしてようやくですけど(笑)。

編み物は根気さえあればやり直せる「人生も同じ」

── そんな編み物では、任侠キャラならではの「チャカカバー」をはじめ、恵方巻やちくわを模した「アイコスケース」など、ユニークな作品を数多く発表しています。そのアイデアはどうやって湧くのですか。

滝沢さん:アイコスケースを作るときは、口元に持っていくもので何かないかなと考えて、「ちくわを口元に持っていったらかわいいな」とか、「マイクならどうだろう」とか連想していきます。お笑いのネタ作りに近い感覚かもしれません。任侠キャラならではの、他と被らないものを編みたいよね。

恵方巻きと思いきやアイコスを吸うための編み物アイテム

── 編み物に限らず、いろいろなことに「なんだか楽しそう。でも不器用だからムリかな」と思ってしまう人は多いと思います。上達のコツはありますか?

滝沢さん:俺もどちらかというと不器用な方。だから大丈夫!編み物はとにかく同じ動作をひたすら繰り返して、最後まで編み続ける根気さえあれば完成しますから。「やり得」「やったもん勝ち」です。俺はポシェットみたいな立体的なものを作るときも、毛糸の部分はちくちく編むけど、ファスナーを取り付けるときはボンドを使って貼り合わせたりして、手を抜けるところは抜いてますよ。みんな、手芸をするときに「編み図」の通りに完璧に編まなきゃいけない、立派なものを作らなきゃって思い込んで、尻込みしてるんじゃないかな。

編み物に限らず、なんでも「いいな」と思ったら、難しいことを考えず、まずはやってみたらいいと思いますよ。続けていけば何か形になるかもしれませんし、失敗したらほどいてやり直せばいいだけなんですから。

取材・文:鷺島鈴香 写真:アイパー滝沢