山形放送

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木曜特集です。上山市のコメ農家酒井正樹さん。就農11年目で現在は、加工品や菓子製造販売も行っています。使っているのは、多くが捨てられていた規格外の野菜や果物です。

5月、1面に水が張った田んぼで田植えが始まりました。

コメ農家酒井正樹さん「例年暑くなっているけどことしはこの時期に30度。珍しいと思う」

就農11年目、上山市のコメ農家酒井正樹さん(47)。市内の7ヘクタールの田んぼで「はえぬき」を栽培しています。

コメ農家酒井正樹さん「田植えは長時間田植え機に乗っているので農作業のことも来週何をしようとかいろんなことを考える時間があって田植えをしながらいろいろ考えている」

上山市の住宅街に建つ「のら農園」。酒井さんがここで取り組んでいるのが…。

のら農園酒井正樹さん「農産物を使った加工品と菓子製造許可を取りスイーツなどを作って販売している。こちらが作ったお菓子を冷凍して保管する施設。百貨店で販売するので毎日作っている」

1次産業のコメ作りから2次産業の加工、さらには3次産業の販売まで、6次産業に取り組む酒井さん。福井県出身で、以前の仕事はレディース商品を扱うアパレル経営。およそ20年、東京や山形で洋服を販売してきましたが、36歳で農業の道に進むことを決意します。

のら農園酒井正樹さん「農業ののの字も知らない。野菜がどうやって出来るのかも分からない。妻の実家が農家だったので古い道具も残っていたのがきっかけ。最初は機械も無いので近所のおばあちゃんに『ナスを植えると誰でも簡単になるからナスを植えておけ』と。ナスを2000本スコップ1本で植えた。おばあちゃんを師匠と仰ぎいろいろ聞きながら」

古くなった機械を少しづつ買いそろえ、コメ作りも始めました。野菜もスーパーや産直などに直接出向いて販売するなど、数年かけて徐々に売り上げを伸ばしていきました。そんな中、酒井さんが目にしたのが傷がついて販売できない、「規格外」の野菜や果物。

のら農園酒井正樹さん「生産者が規格外を誰かに無償であげたり破棄していることを聞きどうにかしないとだめな問題」

そこで始めたのが、加工品にして販売すること。6年前にリンゴやラフランス、紅柿などのドライフルーツに取り組みました。そして、サクランボも県の担当者からアドバイスを得るなどして、何度も試作を重ね商品化につなげていきます。生まれ変わった上山の果物を「1年中食べてもらいたいー」。そんな思いも込めました。
のら農園酒井正樹さん「自分が作ったドライフルーツがみなさんのもとに嫁いで行くような気持で」
「娘を持つ父親の心境?」
「うちは息子3人ですけど。世の中に出て行く商品という気持ちで丁寧に作っている」

去年2月、上山市内の産直施設。販売されていたのは、かわいらしい焼き菓子。食品ロスの削減に取り組む上山明新館高校の生徒たちとのら農園が共同で開発しました。

上山明新館高校2年高橋芽生さん「農家さんが生産しても販売できなくなった農作物に注目しそれを減らせないかと野菜を粉末にしてお菓子の生地に混ぜ込んで販売することにした」

使ったのは、地元の生産者が提供してくれた、規格外や売れ残りのレタスやハクサイ、それにホウレンソウ。乾燥させて粉末にし、米粉に混ぜてクッキーの生地に仕上げました。

買い物客「少し野菜の感じもする。バランスが良くておいしい。すごい取り組みで食べられるSDGS。食べる方としてはうれしい」

100個限定の販売、わずか1時間で売り切れました。
田植えから1か月が経った6月19日、酒井さんはある場所に向かいました。

のら農園酒井正樹さん「アパレルをやっていたことがいま役に立っている。生産者と話す時も自分の思いを伝えたり。アパレルをやってきた時のコミュニケーション能力が生かされている。こここです」

やってきたのは、上山市の里見果樹園。収穫したサクランボのパック詰め作業に追われていました。

のら農園酒井正樹さん「サクランボ取りに来ました。うるみとか双子とか生食で出荷できないサクランボ」
やりとり「大きい 佐藤錦?紅秀峰?」「佐藤錦」
里見果樹園里見祝佳さん「規格外のサクランボを買わせてほしいと。新しいものに変えてもらい私たち農家としてもうれしいこと」

サクランボのドライフルーツは、試行錯誤の末、おととし商品化されました。
酒井さんは、市内8軒の農家から規格外のサクランボを1シーズンでおよそ2トン、仕入れています。

のら農園酒井正樹さん「きょう1日で100キロぐらい。もったいないの一言」

仕入れたサクランボは、専用の機械で一粒一粒種を取っていきます。

「毎日ひたすら種取り」

そして、シロップに漬け込み保存。乾燥させれば、サクランボのドライフルーツが完成です。
このドライフルーツと自家製「はえぬき」の米粉を使った、「さくらんぼサンド」は、妻・秀美さんが考案。県の加工食品を集めたコンテストで、味と山形らしさが評価され最高賞の県知事賞を受賞しました。取り引き先は、県内のスーパーや道の駅などおよそ30か所。そして、県外の百貨店などに出向き自ら販売するなど、サクランボのおいしさを発信しています。

のら農園酒井正樹さん「山形の果物を1年通して加工することで全国に発信していけるのが1番だと思う。生産者が一生懸命作った物を冬の間も販売し収入を1円でも多く得る環境づくりが出来て農家の所得向上につながればいい」

捨てられていたものを農家の力に…。山形の野菜や果物を1年中食べられるように…。のら農園の挑戦が続きます。