広島テレビ放送

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 千利休から学んだ茶道「上田宗箇流」が、400年の時を経て今も広島に根づいています。これまでの常識にとらわれず、お茶文化を広める17代目の家元の挑戦を追いました。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁(そうこう) さん(48)
「ここからがスタートなので、浮かれる気持ちはなく、今から自分がどこまでできるか、スタート地点に立ったというのが正直な気持ちです。」

■先代 上田 宗冏 さん
「基本的に茶は“座”の文化。座れない(正座できない)ということは、代が変わったときの家元としては初めてのこと。その状況からどうやっていくか。」

 400年の歴史をもつ武家茶道・上田宗箇流。17代目の宗篁さんが目指すのは、茶の湯文化をより身近にすること。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「自分の命をこの伝統文化の継承に使い切る。文化とは今を生きる人々にとって、意味のある価値あるものでないといけない。これからも広島、日本、世界に武家茶道文化が息づく活動ができるよう看脚下の精神で取り組んでいきます。」

 常識にとらわれない発想で、挑戦を続ける宗篁さんを追いました。

 5月、家元を継承した宗篁さん。本名が流祖と同じ「重安」なのは、茶人になる宿命だったのかもしれません。

 しかし、30代で突如その身に異変が・・・。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「8年前に右足にがんを患い、命や右足を失う危機を経験しました。」

 2017年、右太ももに7センチほどの悪性腫瘍「がん」が見つかりました。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「そこから急転直下ですね。外科手術は12時間かかって抗がん剤治療は、つらくて殺してほしいほどしんどかった。今の自分にとっては意味のある出来事だったと思う。」

 右足を切断せずにすんだものの、正座ができなくなりました。この逆境を逆手に、宗篁さんは茶道の堅いイメージを取り払うことにつなげました。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「ここが自分でも点前(てまえ)ができて、お客も楽に茶の空間を楽しめる意図でつくり直した部屋。」

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「お茶に慣れている人だと、ここから向きを変えて座ることも可能なんですけど」

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
 足が悪い人は、そういう動きが難しいので、取り外しができる手すりを作った。」

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「足が悪い人は下りが怖いので、これを手掛かりにして上り下りできるようにした。」

 正座ができなくてもいい茶室をつくりました。「来てくれた客を楽しませたい」そこに絶対的なこだわりを見せるのは、異色の経歴を持つ宗篁さんならではのことかもしれません。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「やっぱりプロダンサーだったことが大きく影響していると思う。ダンスをやったことで家業に役立つことがたくさん出てきている。(ダンスは)喜んでもらうために何か月もリハーサルや準備をして作品をつくる。お茶も人を迎えるうえで、どれだけ準備できるか考えて動く。考え方としてはダンスをやっていたころの脳の使い方で家業に向き合っている。」

 6月、宗篁さんが蔵から茶道具を運び出していました。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「すごい(車に)載るね。もう俺ら向かう?」
「あす、縮景園でお茶会なんです。」

 縮景園で、この時期に行う茶会は今年で63回目。主催するのは上田宗箇流を学ぶ50歳以下の「和風会」で、これまで上田家の家元は招待客として参加してきました。宗篁さんが運営に関わっているのは異例のことだと言います。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「一時期『和風会』に元気がない時期があって、このままにしておくのは良くないと思って運営に関わり始めた。危機感ですね。助けたいというより、やらないとヤバい。(お茶は)大人がやるものという印象を持たれると、文化の継承という面ではあまりプラスではない。」

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「(和風会は)若い人もやっていると発信してくれる人たちなので、こういう人たちを大事にしないといけない。堅苦しい、難しそうというイメージを取り払いたい。知識がなくても“キレイ”や“かわいい”は分かるので、茶道具もカジュアルなものを使うようにしている。」

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「いったん締めます。あすは8時集合。何かあっても慌てずに、ゆっくり落ち着いてやりましょう。」

 古くは田植え作業をねぎらってお茶を出していたことから、初夏のまつりに合わせて開催するようになったこの茶会。

 着物という常識にとらわれず、浴衣姿で接客するようにしたのは、お客さんに親しみを感じてもらうためでした。

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「浴衣で茶席というのは昔だと良くなかった。和装の中でも相当カジュアルなので、着物は持ってないけど浴衣は持っている人でも参加できる。(お茶の)文化を残すために必要な手段なら、今までと違うやり方も選択していきたい。」

 今回が初参加だったという女性は・・・。

■参加者(30代)
「水差しや茶器ひとつとっても納涼を感じられた。心配りや日本の所作を学んでみたいと思いました。」

■上田宗箇流 17代目家元 上田 宗篁 さん
「茶の湯という文化を通じて人生を豊かにしたり、幸せな気持ちになれたらいいと思います。」

【テレビ派 2026年7月2日 放送】