涙に暮れたブラジル戦から一夜、背負い込んだ田中碧「誰のせいでもなく自分の責任」
涙に暮れたブラジル戦から一夜明け、日本代表MF田中碧(リーズ)がヒューストン市内のホテルで取材に応じ、悲痛な思いを口にした。
「悔しいのと、申し訳ないなというのがずっとある。昨日だろうが、今日だろうが、これから先ずっと考えるんだろうなと思う。やっぱりシンプルに自分の力がまだまだ足りなかった。もっとやらなくちゃいけないんだな、シンプルに力が足りないんだなというのを感じた」
田中が悔やんだのは後半アディショナルタイム6分の失点シーンだ。素晴らしい出足の良さでFWラヤンからボールを奪い切った矢先、チームに一息つかせようと斜め後ろへのバックパスを選択したものの、これがDFダニーロに奪われた。日本守備陣はいったん足が止まり、一転守勢に。これがFWガブリエル・マルティネッリの決勝ゴールにつながった。
失点後はピッチに崩れ落ち、味方に起こされるまで立ち上がれなかった田中。その苦しみは試合後も薄れることはなく、チームメートから励ましを受けながらも涙は止まらない様子だった。さらに約1時間後、取材エリアを通り過ぎる際にも取り乱した様子は変わらず、スタッフに付き添われながらスタジアムを後にした。
敗戦から一夜明け、報道陣の前には気丈に姿を見せた田中だったが、終始うつむきながら後悔を口にした。
「僕は一回も映像を見ていないので。ああ、一回くらいか……。でもまだちゃんと見ていないので。自分がどうすれば良かったとは特段詳細には言えないけど、もちろんクリアすれば良かったなとは思うし、つなげていて思い切りクリアしてもらえていれば良かったなと思う。それは誰のせいでもなく自分の責任。サッカーである以上、自分で取り返さないといけない」
サッカーの世界において、味方に託したパスが相手に奪われるシーンはそう珍しくないし、そのミスが失点に繋がるのもよくあることだ。続くチームメートの対応にも細かく見れば課題はあり、客観的に言って、一人で責任を背負い込むようなミスでは決してなかった。それでも田中は敗れた責任を自らにぶつけた。
「やっぱり勝ちたかったんで。別にあそこでクリアして、あの瞬間に負けなかったというところはできたかもしれないけど、別にあれでカウンターをしたかったわけでもないんですけど、ただあの時間帯に失点したことに責任を感じた。それは今も感じている。それが一番大きい。プレー選択とかどうこうよりは、あの時間帯にゴールにつながってしまったのが。あれが入っていなければどうも思っていなかったかもしれないけど、サッカーは結果論なので。入ってしまえば自分たちがアドバンテージを取られる。シンプルにゴールを決められたということですごく責任を感じた」
試合後は周りの選手から励ましの言葉を受けていたが、「みんないろんな声をかけてくれたけど、そんなに頭に入ってきていなかった部分もあった」という。周囲の声にも田中は「改めて結果が全てだなというのは特にW杯では思う。いい意味でも悪い意味でもあれが(失点に)繋がったのが結論。自分のせいじゃないと言われて嬉しいわけでもないし、自分が足りなかっただけ。だからこそ自分に腹が立つし、責任を感じた」と静かに思いを吐露した。
ベスト16敗退で「バケモノになりたい」という言葉を残したカタールW杯から3年半、田中にとって2度目のW杯は悲痛な幕切れとなった。しかし、ドイツ2部からプレミアリーグにステップアップし、世界最高峰の舞台で認められた実力はW杯でも健在。チュニジア戦とスウェーデン戦ではその基準の高さが広く日本国民に知られることとなった。
田中はこの日、「前回大会よりもこういう舞台で何ができるかは少し成長しているなという実感はあった」といった前向きな言葉を口にするたびに「改めてまだまだだなと感じた」と自身に責任を突きつけ続けた。その上で「毎日このこと(W杯のこと)ばかり考えて歩んできたつもりだったけど、まだまだ足りなかったのでもっと歩むスピードを上げていかないといけない」という危機感も口にした。
いまは3年半の歩みを誇るよりも、目の前の絶望に向き合うことしかできない様子。それでも「いまは4年後ああだこうだという気持ちじゃない」と言いつつ、次のように決意を語った。
「でもW杯で感じた悔しさはW杯でしか晴らせないし、W杯は特別な舞台だと思う。そこにまたプレーできるように、4年後を目指すというわけではなく、毎日毎日、本当に優勝できるようなチームの一人としてのプレーヤーの実力をつけられるかだと思う。そこに自分は全力で向き合いたい。W杯どうこうより、世界トップオブトップと肩を並べられるようなプレーヤーに、それに値するようなプレーヤーになれるように成長したい」
そして最後は自ら切り出し、ファン・サポーターへの感謝を口にした。
「このW杯期間中、初戦から昨日の試合もそうだけど、本当にたくさんのサポーターの方がスタジアムに足を運んでくれて、応援してくれたし、テレビ越しでもたくさんの人が力をくれた。そういうものがまた次に繋がると思う。僕だけでなくいろんな人に悔しい思いをさせてしまったなというのがある。そういう人たちの応援が力になったので心の底から感謝したい」
2度目のW杯で自らに突きつけた責任と、絶望の中でも脳裏に浮かんだ応援してくれた人々への思い。全てを背負い込んだ背番号7はきっと、まだまだ強くなる。
(取材・文 竹内達也)
「悔しいのと、申し訳ないなというのがずっとある。昨日だろうが、今日だろうが、これから先ずっと考えるんだろうなと思う。やっぱりシンプルに自分の力がまだまだ足りなかった。もっとやらなくちゃいけないんだな、シンプルに力が足りないんだなというのを感じた」
失点後はピッチに崩れ落ち、味方に起こされるまで立ち上がれなかった田中。その苦しみは試合後も薄れることはなく、チームメートから励ましを受けながらも涙は止まらない様子だった。さらに約1時間後、取材エリアを通り過ぎる際にも取り乱した様子は変わらず、スタッフに付き添われながらスタジアムを後にした。
敗戦から一夜明け、報道陣の前には気丈に姿を見せた田中だったが、終始うつむきながら後悔を口にした。
「僕は一回も映像を見ていないので。ああ、一回くらいか……。でもまだちゃんと見ていないので。自分がどうすれば良かったとは特段詳細には言えないけど、もちろんクリアすれば良かったなとは思うし、つなげていて思い切りクリアしてもらえていれば良かったなと思う。それは誰のせいでもなく自分の責任。サッカーである以上、自分で取り返さないといけない」
サッカーの世界において、味方に託したパスが相手に奪われるシーンはそう珍しくないし、そのミスが失点に繋がるのもよくあることだ。続くチームメートの対応にも細かく見れば課題はあり、客観的に言って、一人で責任を背負い込むようなミスでは決してなかった。それでも田中は敗れた責任を自らにぶつけた。
「やっぱり勝ちたかったんで。別にあそこでクリアして、あの瞬間に負けなかったというところはできたかもしれないけど、別にあれでカウンターをしたかったわけでもないんですけど、ただあの時間帯に失点したことに責任を感じた。それは今も感じている。それが一番大きい。プレー選択とかどうこうよりは、あの時間帯にゴールにつながってしまったのが。あれが入っていなければどうも思っていなかったかもしれないけど、サッカーは結果論なので。入ってしまえば自分たちがアドバンテージを取られる。シンプルにゴールを決められたということですごく責任を感じた」
試合後は周りの選手から励ましの言葉を受けていたが、「みんないろんな声をかけてくれたけど、そんなに頭に入ってきていなかった部分もあった」という。周囲の声にも田中は「改めて結果が全てだなというのは特にW杯では思う。いい意味でも悪い意味でもあれが(失点に)繋がったのが結論。自分のせいじゃないと言われて嬉しいわけでもないし、自分が足りなかっただけ。だからこそ自分に腹が立つし、責任を感じた」と静かに思いを吐露した。
ベスト16敗退で「バケモノになりたい」という言葉を残したカタールW杯から3年半、田中にとって2度目のW杯は悲痛な幕切れとなった。しかし、ドイツ2部からプレミアリーグにステップアップし、世界最高峰の舞台で認められた実力はW杯でも健在。チュニジア戦とスウェーデン戦ではその基準の高さが広く日本国民に知られることとなった。
田中はこの日、「前回大会よりもこういう舞台で何ができるかは少し成長しているなという実感はあった」といった前向きな言葉を口にするたびに「改めてまだまだだなと感じた」と自身に責任を突きつけ続けた。その上で「毎日このこと(W杯のこと)ばかり考えて歩んできたつもりだったけど、まだまだ足りなかったのでもっと歩むスピードを上げていかないといけない」という危機感も口にした。
いまは3年半の歩みを誇るよりも、目の前の絶望に向き合うことしかできない様子。それでも「いまは4年後ああだこうだという気持ちじゃない」と言いつつ、次のように決意を語った。
「でもW杯で感じた悔しさはW杯でしか晴らせないし、W杯は特別な舞台だと思う。そこにまたプレーできるように、4年後を目指すというわけではなく、毎日毎日、本当に優勝できるようなチームの一人としてのプレーヤーの実力をつけられるかだと思う。そこに自分は全力で向き合いたい。W杯どうこうより、世界トップオブトップと肩を並べられるようなプレーヤーに、それに値するようなプレーヤーになれるように成長したい」
そして最後は自ら切り出し、ファン・サポーターへの感謝を口にした。
「このW杯期間中、初戦から昨日の試合もそうだけど、本当にたくさんのサポーターの方がスタジアムに足を運んでくれて、応援してくれたし、テレビ越しでもたくさんの人が力をくれた。そういうものがまた次に繋がると思う。僕だけでなくいろんな人に悔しい思いをさせてしまったなというのがある。そういう人たちの応援が力になったので心の底から感謝したい」
2度目のW杯で自らに突きつけた責任と、絶望の中でも脳裏に浮かんだ応援してくれた人々への思い。全てを背負い込んだ背番号7はきっと、まだまだ強くなる。
(取材・文 竹内達也)

