退職金2000万円が入り、銀行から資産運用を勧められましたが、元本割れも怖く迷っています…。今の時代、普通預金だけでは厳しいでしょうか?
普通預金だけではお金が増えにくい時代になっている
以前は、「銀行に預けておけば安心」という考え方が一般的でした。しかし、現在の普通預金金利は低く、2000万円を預けていても、1年間で受け取れる利息はわずかです。税金が引かれることも考えると、「増える」という実感を持ちにくい状況といえます。
さらに気を付けたいのが、物価上昇です。例えば、100円で買えた商品が120円になると、同じ金額でも買える量が減ってしまいます。これは、お金の価値が実質的に下がる状態です。
最近は、食品や電気代など生活費の上昇を感じる場面も増えています。もし預金金利がほとんど増えない状態が続けば、将来的には「思ったより老後資金が足りない」という事態も起こりかねません。
普通預金には「すぐ引き出せる」「元本保証がある」という大きな安心感があります。そのため、生活費や急な出費に備える資金としては非常に有用です。ただし、全額を普通預金だけに置くと、インフレへの対応が難しくなる可能性があります。
退職金の運用で大切なのは「増やす」より「減らしにくくする」こと
銀行で資産運用の提案を受けると、「資産を大きく増やす必要があるのでは」と感じる方もいます。しかし、退職金運用で最も重要なのは、無理に利益を狙うことではありません。まずは、大切な資産を大きく減らさないことが優先です。
例えば、退職金の全額を株式投資に回してしまうと、相場下落時に大きな損失を抱える可能性があります。特に、短期間で値動きが大きい商品は、精神的な負担が大きくなる可能性もあります。
そのため、初心者の場合は「分散」が大切です。分散とは、複数の商品や資産に分けて保有する方法です。例えば、一部は普通預金、一部は定期預金、さらに一部を投資信託に分けることで、リスクを抑えやすくなります。
投資信託とは、多くの投資家から集めたお金を、運用会社が株や債券などに分散投資する商品です。自分で個別株を選ぶ必要がなく、少額から始めやすい特徴があります。
また、価格変動が比較的穏やかな「債券型」の商品を選ぶ方法もあります。債券とは、国や企業にお金を貸し、その利息を受け取る仕組みです。株式より値動きが小さい傾向があります。
ただし、どんな商品でも元本保証ではない場合があります。銀行で勧められた商品をそのまま契約するのではなく、「どのくらい値下がりする可能性があるのか」を必ず確認することが大切です。
「全部運用」ではなく、一部だけ始める方法もある
資産運用に不安がある場合は、最初から大きな金額を投資する必要はありません。例えば、2000万円のうち、1500万円は安全性重視の預金に置き、残り500万円だけ運用に回す方法もあります。
さらに、その500万円も一度に投資するのではなく、時期を分けて少しずつ投資する方法があります。これを「積立投資」といいます。価格が高い時も安い時も一定額ずつ購入するため、高値掴みのリスクを減らしやすい特徴があります。
また、最近は新NISAを活用する方も増えています。NISAとは、投資で得た利益に税金がかからない制度です。通常、投資利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えば非課税になります。
ただし、NISAを利用しても、元本割れリスクがなくなるわけではありません。そのため、「生活費として必要なお金」と「長期的に運用できるお金」を分けて考えることが重要です。
もし運用に不安が強い場合は、ファイナンシャルプランナーなど中立的な専門家へ相談するのもよい方法です。金融機関ごとに取扱商品や提案内容は異なるため、複数の意見を聞くことで、より納得感のある判断がしやすくなります。
退職金は「安心して使い続けられる形」で管理することが大切
退職金は、老後生活を支える大切な資金です。そのため、「増やしたい」という気持ちだけで大きなリスクを取る必要はありません。一方で、普通預金だけに全額を置いておくと、物価上昇によって実質的な価値が下がる可能性もあります。
大切なのは、「預金」と「運用」をバランスよく組み合わせることです。すぐ使う生活費は安全性を重視し、当面使わない資金だけを長期的に運用することで、不安を抑えながら資産管理を進めやすくなります。
また、退職直後は大きな判断を急がないことも重要です。銀行で勧められても、その場ですぐ契約せず、商品内容やリスクをしっかり理解してから決めましょう。
老後のお金は、「大きく増やす」よりも「長く安心して使える」ことが大切です。無理のない範囲で少しずつ知識を身につけ、自分に合った資産管理の方法を考えていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
