GRMNカローラ登場、開発秘話は?

写真拡大 (全3枚)

実戦データが導く走行性能の進化 「GRMNカローラ」を発表

 モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりを推進するGAZOO Racingより、限界領域での操縦性を追求した究極の「GRMNカローラ」が登場しました。

 マスタードライバーのモリゾウ氏が掲げた目標のもと、ドイツのニュルブルクリンクや日本のスーパー耐久シリーズで徹底的に磨き上げられた車両です。

【画像ギャラリー】これがGRMNカローラです。(26枚)

 公式に発表された詳細なスペックや特別装備の内容とともに、開発担当者たちがトークセッションで明かした生のエピソードをあわせて解説します。

 GRMNカローラは、ドライバーがドイツのニュルブルクリンク(以下、ニュル)の過酷なコースを安心して全開で走り切れることを目指して開発されました。

 通常のテストコースでは現れない路面変化や入力があるニュルで走り込むことにより、低速域からレーシングスピードに至るまで、意のままに操れる一台へと仕立てられています。

 開発にあたっては、日本のスーパー耐久シリーズ(以下、S耐)への参戦や最新のドライビングシミュレーターも活用されました。

 評価を担当した大阪氏は、シミュレーターでの事前の感覚とニュルでの実際の走行データが非常に高い精度で合致していたことを確認しながら熟成を進めたと明かしています。

 また、実戦を通じて得られた知見はベースとなるGRカローラの進化にも生かされており、構造用接着剤の塗布延長によるボディ骨格の強化や、高負荷走行時の吸入空気温度の上昇を抑えるクールエアダクトの装備へと繋がっています。

 高速走行時に4輪をしっかりと接地させるため、外装には専用設計のエアロパーツが多数投入されました。

 フードダクトやフェンダーダクト、フロントサイドスポイラー、そして5段階の角度調整機構を設定したリヤウィングは、S耐に参戦している水素エンジン搭載のGRカローラで培われた専用パーツです。

 フードやフェンダー、スポイラー、ウィングにはカーボン素材が採用されており、フェンダーダクトなどの空力効果について、石浦氏は「最初は士別(しべつ)の試験場で『これ分かるわけないでしょう』と思いながら乗せていただいたら、『おおっ』とみんな感動する」と述べ、体感できるレベルの性能向上があることを説明。

 内燃機関も進化を遂げており、耐久レースでの知見から基本コンポーネントのポテンシャルを向上させ、最大トルクはベース車比プラス15Nmの415Nmへと高められています。

 サーキットでの立ち上がり加速を重視し、3600から4800rpmの中速域でトルク向が図られたほか、クロスミッションやサブラジエーター、さらには約150秒間の連続噴射が可能な3.7リットルの水タンクを備えたインタークーラースプレーも特別装備され、全開走行時でも安定した高出力を維持します。

GRMNカローラの評価を担当した大阪氏

 足回りには、高速旋回性能を引き上げるためにリバウンドスプリングを前後に内蔵した、専用のモノチューブショックアブソーバー(フロント倒立・リヤ正立)が採用されました。

 ニュルの過酷なストローク環境に対応するためバウンドストッパー特性の最適化が行われ、フロントのクリアランスをベース車から4mm短縮する設定に関して、大阪氏は「ターンインの時にクルマの姿勢を決めやすい」と解説し、コーナー進入時の挙動が最適化されていることを示しました。

 タイヤは幅を10mm拡げた245/40ZR18サイズのミシュラン製「Pilot Sport Cup 2」を装着し、マットブロンズのGRロゴ入り鍛造ホイールやダーク色のトヨタエンブレムが足元を引き締めます。

 駆動系や操舵系も専用チューニングが施され、電動パワーステアリングは高いGを受ける旋回時でも適切なアシストトルクを発生するように制御を変更したほか、4WD制御では直進時のリヤ側トルク配分を最適化し、超高速域におけるステアリング切り始めの安定性を高めています。

 室内は徹底的な軽量化を目的にリヤシートを撤去した2シーター仕様で、2シーター専用剛性ブレースも備わります。

 専用設計されたフルバケットシートについて石浦氏は「本気でモータースポーツからいい車を作るってなった時にシートはものすごい重要」と語り、クラッチ操作のしやすさやヘルメット着用時のホールド性までプロドライバーの意見が反映されました。

 空間演出にもこだわり、専用の植毛加工を施したインストルメントパネルやフロントピラートリムを採用し、助手席側にはカーボン製オーナメントとモリゾウ氏のサイン入りパッド、さらにドアトリムやシフトノブへのアルマイトレッドの差し色や専用シリアルナンバープレートを装備。

 一方、会場では8速オートマチック(GR-DAT)を搭載した5シーターのコンセプトモデル「MORIZO RR」も公開され、モリゾウ氏が後部座席に自ら座って確認したことで急遽5シーター仕様として製作されたというユニークな開発秘話も語られました。

開発に携わったプロドライバーの石浦氏

※ ※ ※

 この究極のGRMNカローラは日本、北米、豪州を中心に台数限定で販売されます。

 日本国内においては、2026年秋頃からスマートフォン向けアプリ「GR app」を通して商談に関する申し込み受け付けを開始し、2027年内に発売される予定です。

 なお、今回公開されたプロトタイプ車両およびコンセプトモデルのMORIZO RRは、2026年6月28日まで富士モータースポーツフォレストのウェルカムセンターにて一般展示が行われます。

 モータースポーツの現場と過酷なテストコースを往復して限界領域を徹底的に磨き上げた本モデルは、クルマとドライバーが一体となって対話できる特別な一台として、ファンの期待を集めています。