暴力団の資金源はこうして奪われた…ヤクザが”新興の半グレ”や”特殊詐欺グループ”に取って代わられた理由

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かつて20万人もの構成員を擁した暴力団。

覚せい剤の輸入や賭博、みかじめ料の徴収で莫大な収益を上げ、1980年代の年間収入は推計8兆円に達したと言われる。だが平成に入って以降、暴対法の制定や警察の行き過ぎた捜査、メディアによる批判的な報道が原因となり、暴力団は衰退の一途をたどってきた。

では、暴力団が社会から消えていくことは、我々一般国民にとって「良いこと」だけなのだろうか?しばし「必要悪」として語られてきた“やくざ”の実態を、『やくざは本当に「必要悪」だったのか』より一部抜粋・再編集してお届けする。

【前編を読む】地上げに賭博、管理売春…かつて「我が世の春」を謳歌した暴力団が“シノギの消滅”により凋落した歴史

失われた暴力団の資金源

カネが大きく流れている分野に参入できればカネになるというのはシノギの真実だろう。

たとえば、かつて総会屋は大企業の総務部に名刺を置くだけで多少のカネをもらえた。与党総会屋になれば、企業からの礼金は億の単位になったし、野党総会屋でも顔が売れればそれなりにカネに恵まれた。

総会屋は1981年と1997年、二度の商法改正でほぼ絶滅した。以後、企業からカネを引き出すことが難しくなったわけだが、ご存じの通り、末期の総会屋は暴力団とイコールだった。総会屋の絶滅で暴力団のカネづるとしての企業はほぼカットされることになった。

同様にパチンコ業界には巨額のカネが流れていた。最盛期、30兆円産業といわれたが、その呼称に偽りはない。暴力団はパチンコホールにたかり、開業時には設置台数1台につき100万円の挨拶料とか、用心棒代で月500万円とか、景品買いで年商何億円とかは夢物語ではなかった。建設の下請けや不動産関連の地上げ、生コンなどの資材でも一立米当たり5,000円とか、暴力団やその組員は巨費を得ることができた。

だが、これらはパチンコ不況や不動産不況、警察の取り締まり、暴力団排除の世論などでほぼ雲散霧消した。暴力団は主要な資金源をここ何十年かであらかた失ってきた。

その間、暴力団の首領が何をしていたかといえば、首領同士で紅白の胡蝶蘭を贈ったり贈られたりしていただけである。彼らより後の世代がどう食っていくか、まるで考えなかったこともあり、この間、暴力団が生み出した新しいシノギは皆無である。

暴力団が生き残る道はあるのか

これに比べ新興の半グレや匿流はオレオレ詐欺などの特殊詐欺やSNS利用の投資詐欺、危険ドラッグの密輸と密売、金インゴットの密輸など、その時々に食えるシノギを工夫してきた。

今では一部暴力団も特殊詐欺などを手がけているが、それは半グレの始めたシノギのいわばマネ乞食としてやっているだけだろう。ただ詐欺の被害者は詐欺のやり手側に暴力団組員が一人でもいると判明すれば、民事法廷で「使用者責任」を問うことができる。すなわち組長は被害者側の損害を賠償するハメに陥る危険が伴う。よって多くの暴力団では組員が特殊詐欺に関わることを禁止している。トップが損害賠償という被害を被らないためである。

暴力団の手がけるみかじめ、用心棒代は今1万、10万円の単位である。最近のニュースによれば、大分市で山口組と関係のある35歳の男が同市都町の飲食店の女性に因縁をつけた上、月6万円のみかじめを払えと要求して警察から中止命令を受けたという。

かと思えば、名古屋市の男(73)は警察官をかたる詐欺犯から1億円以上を騙し取られたあげく、自ら特殊詐欺の受け子になって、愛知県警に逮捕された。

やくざの仕切るみかじめでは6万円、他方半グレや匿流が手がける特殊詐欺では1億円--、明白に流れるカネの額が違うのだ。

暴力団がカネに詰まり、終焉を迎えるのは当然だが、生き残り策として残るのは覚醒剤の密輸・密売だけだろう。乱用者の心身を損なう薬物を商うのは倫理的に問題が多すぎるが、それでも特定の人が欲する物を売って何が悪いと開き直ることは可能だろう。

カナダやオランダ、ニュージーランドなどにはハームリダクションといって、依存者に少量の薬物を摂らせながら薬物依存から抜け出させようとする法律と施策がある。やくざはそうした例を心頼みに覚醒剤密売を自分の中で合理化するかもしれない。

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