60代、人生が充実する自分時間の過ごし方。“小さな自信”がつくひとり旅もおすすめ
子育て、仕事など忙しい日々を送るなかで、「人生を楽しむ」心の余裕なんてなかなかない、という人も多いのではないでしょうか。著述家の中道あんさんも、60代になり、生き方に「遊び」を取り入れることで人生が変わった、といいます。今回、中道さんに、60代からの「自分時間の楽しみ方」について話を伺いました。

60代で考えた「これからの人生」
私は、人生を楽しむために生まれてきたと思っています。とはいえ、そういう境地に立てたのは50代に入ってから。それまでは、専業主婦をやっていた頃は節約にはげみ、仕事をはじめてからは、家族のために仕事をすることで精一杯の毎日でした。
しかし、60代になった今、「60代ってあっという間に終わってしまう」ということをまさに実感しています。
この60代という年代は、じつはとても恵まれているように思えます。さまざまな役割から卒業し、ようやく自分のために時間とお金を使えるようになる。気力も体力もあり、これまで身につけてきた経験もある。まさに、この時期は「大人のゴールデンエイジ」なのではないでしょうか。
人生の終わりがいつかはわかりませんが、そのときに「あー、楽しかった!」と満足して言えたら、それが人生のすべてではないか、と考えています。
こうして、私は「60歳からは遊ぶように生きよう」と決めました。
60代でやってよかった「初めてのひとり旅」

子どもの頃に好きだったことや若い頃にやり残したことを、改めてできるのも60代の特権かもしれません。
還暦を迎えた私が手始めにやったことは、パリへひとり旅に出ることでした。
20代の頃、ファッション誌に掲載されるパリ特集にメロメロになった。私もかわいいカフェのイスに足を組んですわり、気分だけでもパリジェンヌになってみたい。
実際にひとりで行くと決めたときは、正直、不安もありました。でも現地で、テラス席を指さして朝のカフェの特等席に座り、行きかう人をぼんやり眺めているうちに、「あ、やったらできるんだ」。そんな小さな自信が、胸にじんわりと広がったのを覚えています。
興味のあることを追いかけ、深めていくことが、そのまま仕事や収入につながる可能性もあります。私自身も、旅の体験を書きとめたことがエッセイ本として生まれ変わり、思いがけずに仕事につながりました。
そういった体験を通して私が感じているのは、60代はこれまでの経験を活かして、遊ぶように働き、遊ぶように学び、おもしろがりながら人生を広げていける年代なのだということ。
幼い頃、秘密基地をつくったり、探検したり、時間を忘れて夢中になった経験は、だれにでもあるはずです。ただ目の前のことをおもしろがる。その感覚を思い出せば、大人だって遊ぶように生きられると感じています。
「後悔しない」旅のプランづくりのコツ
最近気づいたのは、「大人になるほど選択に慎重になる」ということ。情報を集め、比較・検討をかさね、できるだけ完璧な答えを選ぼうとする毎日。でも、時間をかけて選んだはずなのに「もっとよいものがあった」と後悔することも。
とくに、私の場合、旅行のプランづくりでそれを痛感することが多いです。調べれば調べるほど選択肢は増え、迷ってしまう。
そこで私は、「この旅の目的はなに?」「やりたいことは?」「いやなことは?」だけを明確にするようにしました。多少高くなっても、ムダがあっても、自分で決めたならそれでいい。
自分が選択した答えをあとから比較や検討せず、それよりも、その旅を楽しもうと思えた時点で「もう成功」と考えるようにしています。
●「うまくやる」より「自分らしく楽しむ」を大切に
完璧な選択など、じつは存在しないのかもしれません。大切なのは、絶対にゆずれない条件をはっきりさせること。それさえ満たしていれば、「これでいい」と思えますし、正解はひとつではないと受け入れられたとき、満足できるようになる気がしています。
60代になった今、私はようやく、人生を「うまく生きよう」としなくてもいいと思えるようになりました。
次はなにをして楽しもうか。そんなことを考えながら日々を過ごせる今が、私にとっていちばん自分らしい時間です。
