記事のポイント
VFコーポレーションは成長と停滞が混在する3ブランドの再設計を2026年に向けて進めている
ザ・ノース・フェイスとティンバーランドは集中戦略で成長を維持し、差別化を強めている
不調のヴァンズは女性層や領域拡張でブランド再浮上を図っている


アパレルおよびアウトドアの大手であるVFコーポレーション(VF Corp)は、主力3ブランドであるザ・ノース・フェイス(The North Face)、ヴァンズ(Vans)、ティンバーランド(Timberland)について、成長戦略の詳細を明らかにしている。

同社は直近の第2四半期決算で売上高が前年同期比2%増となったと報告したが、2026年を迎えるにあたり、大きな岐路に立っていることを自覚している。

ザ・ノース・フェイスとティンバーランドの2ブランドは、一定の成長を維持することに成功している。一方で、かつてVFコーポレーションでもっとも業績のよかったブランドであるヴァンズは、需要の鈍化に苦しんでいる。

ポートフォリオの再編と2026年への決意



直近四半期では、ヴァンズの売上高は前年同期比9%減となった。これは過去の四半期と比べれば改善ではあるが、会社が望む水準には達していない。

またVFコーポレーションは、ディッキーズ(Dickies)を6億ドル(約900億円)で売却したばかりであり、この判断が株主価値の向上につながることを期待している。

2026年にはヴァンズとザ・ノース・フェイスの両ブランドが60周年を迎えるため、同社にとっては極めて重要なタイミングである。

「今後も各ブランド全体で価値創出に注力し、持続可能で収益性のある成長軌道へと会社を戻していく」と、VFコーポレーションのプレジデント兼CEOであるブラッケン・ダレル氏は、10月の声明で述べた。

1月11日から1月13日に開催されたNRFリテールズ・ビッグ・ショー(National Retail Federation Big Show)では、ザ・ノース・フェイス、ヴァンズ、ティンバーランドの幹部が、それぞれのブランドが2026年どのように成長をめざしているのかを語った。

ザ・ノース・フェイス:パフォーマンスとアスレチックへの集中



直近四半期で売上高が前年同期比4%増となったザ・ノース・フェイスでは、リーダーたちは「多くの進行中の課題を同時にこなすこと」を課せられていると、同ブランドのグローバル・ブランド・プレジデントであるキャロライン・ブラウン氏は語った。

「現在のビジネススピードにおいては、会社のあらゆるレベルを同時に変えていく必要がある」と、1月13日のステージ上で述べた。

ブラウン氏が2024年にザ・ノース・フェイスに加わった当時、同ブランドは「本来は事業として取り組むべきではなかったかもしれない領域に手を広げ、追いかけはじめていた」という。

ブランドには集中が必要であり、スノー、クライム、トレイルという3つのコアカテゴリーに立ち返ったと同氏は説明した。

これら3領域を軸に据えると同時に、ザ・ノース・フェイスはアスリート陣の存在も強調している。

同社は世界中で200人以上のアスリートと契約しており、そのなかにはドキュメンタリー映画「フリー・ソロ(Free Solo)」の主人公でもあるロッククライマーのアレックス・オノルド氏や、スキーヤーのジョニー・コリソン氏が含まれる。

コアな支持層と「民主的」な広がりの両立



「今の注力事項のひとつは、そのチームを前面に押し出し、社内と同じくらい消費者にもインスピレーションを感じてもらうことだ」とブラウン氏は述べた。

一方で、ザ・ノース・フェイスは、日常使いにも適した高品質な素材やテクノロジーを開発する「民主的」なブランドでありたいとも考えている。

「K2(アジアにある山)に登りたい? 我々がサポートする。自宅の庭で雪だるまを作りたい? それもサポートする」と同氏は語った。

「この幅広さを我々は誇りに思っているが、実はアウトドア業界では議論を呼ぶ点でもある。だが、パフォーマンスという基盤を強化し続けなければ、よりカジュアルな側面のビジネスを失ってしまう。それこそが、そもそも人々をザ・ノース・フェイスに引き寄せている要因なのだ」。

ティンバーランド:カルチャーを重視し、若年層に訴求



もうひとつのアウトドアブランドであるティンバーランドも、2026年での飛躍を狙っている。

直近四半期の売上高は前年同期比4%増で、米州事業は2桁成長となった。しかし、グローバルブランドプレジデントのニナ・フラッド氏が就任した2年前、同社はまったく異なる状況にあった。

「私が着任したとき、組織構造からリーダーシップチーム、GTMプロセス、計画プロセス、グローバルブランドアーキテクチャに至るまで、多くの要素が変革を必要としていると感じた」と、フラッド氏は1月13日のステージ上で語った。

「完全かつ根本的な意識改革が必要だった」。

ティンバーランドが取り組む必要があったことのひとつは、ブランドに再び「エネルギーを灯す」ことだった。

「常時稼働のアイコン」戦略と顧客体験の深化



もともとはニューイングランドの気候に適した建設用ブーツで知られていたが、ニューヨーク、ミラノ、東京といった都市で、日常の消費者の足元にも浸透するようになっていたとフラッド氏は説明する。

同氏は、ティンバーランドが特にライフスタイルやカルチャーの文脈で、「本来の用途を超越できる」ブランドであることに気づいたという。

その結果、ティンバーランドはフラッド氏が「常時稼働のアイコン(always-on icon)」と呼ぶ戦略を構築した。

スパイク・リー、ナオミ・キャンベル、テディ・スウィムズとマーケティングキャンペーンで組み、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やテルファー(Telfar)といったファッションブランドとも協業した。

また、ティモシー・シャラメ、ドージャ・キャット、ルイス・ハミルトン向けにカスタムフットウェアを開発した。

さらに、NBAドラフト指名選手向けのカスタマイズワークショップを開催したり、レーザー刻印や刺繍サービスを提供したりするなど、店舗体験のインタラクティブ化も進めている。

「どれほどブランディングを施しても、消費者とつながれていなければ勝てない」とフラッド氏は語った。

こうした変化を経て、ティンバーランドは「やや停滞していた局面から戻りつつある」と同氏は述べた。

「米国や欧州の主要市場でブランド検索数が増加している。人気のティンバーランド製品のリセール価格も高騰している。そして何より、若い消費者をより多くブランドに迎え入れている点が非常にエキサイティングだ。伝統に忠実でありながら、それを増幅させていくという考え方だ」。

ヴァンズ:カテゴリー拡張と女性層への訴求



姉妹ブランドと比べると、ヴァンズは「変革と立て直しの初期段階にある」と、グローバルブランドプレジデントのサン・チョイ氏は1月13日のステージで語った。

Modern Retailが報じてきたように、ヴァンズは長らく売上成長に苦戦しており、特にパンデミック期にはランニングシューズへの需要シフトの影響を受けた。

その後、コスト削減や負債圧縮では一定の進展を見せたものの、競争激化や関税による逆風には引き続き直面している。

直近四半期の売上高は前年同期比9%減で、2026年にかけても店舗数のさらなる「入れ替わり」が続くと見込まれている。

ライフスタイルブランドへの進化とイノベーション



2024年6月にヴァンズに加わったチョイ氏は、ブランドを再浮上させるため、「ヴァンズを立体的に捉える」複数の施策を打ち出したという。

顧客に対し、スケートボードやアクションスポーツという、ひとつの枠にとどまらず、より大きなライフスタイルブランドとして認識してもらうことをめざしている。

その一環として、シザ(SZA)やヴァレンティノ(Valentino)との協業、ミラノデザインウィークでの展開、かつてエモ・サブカルチャーの象徴だったワープド・ツアー(Warped Tour)の復活などを行ってきた。

また、プロダクトを「証明ポイント」と捉え、過度なデザインやSKU過多に陥らないよう注意しているとチョイ氏は述べた。

今後は、特にフットウェア分野において、イノベーションの捉え方を少し変えていく考えだという。

例として、スプレーペイントされたキャンバス地とピンが付属する2025年モデルのスーベニアシューズを挙げた。

さらにヴァンズは、アパレル分野への投資も継続する。

チョイ氏は、この事業を「中核カテゴリーから注意を逸らすもの」ではなく、足元から頭まで、消費者が何を身に着けているのかを理解するための「加速装置」だと捉えている。

最後に同氏は、購買力の高い女性や女の子層への訴求を強化したいと強調した。

「彼女のために、非常に意図的にデザインしている」と語った。

立て直しを進めるなかで、ヴァンズは組織全体の足並みを揃えることを重視しているとチョイ氏は述べる。同時に、レジリエンスも不可欠だという。

「これは決して生半可な覚悟でできることではない。意思決定のあと、成果が出るまでには時間差がある。だからこそ、自分たちの選択に自信を持ち、正しいことをしていると信じ、進むべき道を貫くことが重要なのだ」。

[原文:How The North Face, Vans and Timberland are trying to transform their businesses in 2026]

Julia Waldow(翻訳、編集:藏西隆介)