記事のポイント
インスタグラムは15周年を迎え、日本市場発の機能がグローバル展開を支えてきたことを強調した。
リールとDMが成長を牽引し、AIによるレコメンドや広告最適化、クリエイティブツールを今後の柱に据える。
フリューとのコラボで「プリントシール×インスタ」文化を再解釈し、Z世代の「つながり重視」なSNS利用を浮き彫りにした。


Metaの日本法人であるFacebook Japanは10月7日、前日(10月6日)にローンチから15周年を迎えたインスタグラムの節目にあわせ、AIを中核とした次世代成長戦略を打ち出した。成長を牽引するリールとDMの利用拡大を背景に、UI刷新とAI広告の最適化を進める一方、日本発の機能やプリントシールとのコラボレーションを通じて、利用スタイルが変化するZ世代の取り込みを再び強めている。

日本発機能がグローバルを動かした



同社は10月7日、インスタグラムの15周年を記念したメディア向けラウンドテーブルを開催し、これまでの歩みと今後の戦略を発表した。

2010年のローンチ以来、インスタグラムは「誰もが創造性を発揮できる場」として進化を続け、現在ではグローバルで月間アクティブアカウント数30億を超える世界最大級のソーシャルプラットフォームへと成長した。

代表取締役の味澤将宏氏は、写真共有アプリから始まったインスタグラムが動画、メッセージ、ショッピング、AIへと進化してきた歩みを振り返り、「日本市場は新機能開発の起点として重要な役割を果たしてきた」と強調。プロフィールにQRコードを表示してリアルなつながりを促す「QRコード機能」や、近隣の人気スポットを探せる「地図検索」など、日本の利用者インサイトから生まれた機能が世界展開され、グローバルなユーザー体験を支える基盤となっている。

味澤氏は「日本のユーザーはSNSを通じてリアルなコミュニケーションを重視する。その行動様式がプロダクト開発に新たな視点をもたらしてきた」と述べた。

現在のインスタグラム成長を支えているのは「リール(Reels)」と「DM」だ。利用時間のうちリールが占める割合はすでに50%を超え、リールの視聴時間は年率20%で伸び続けている。また、リールをDMで共有する行動も急増しており、1日のシェア回数はグローバルで45億回に達するという。

こうした利用動向を踏まえ、同社は9月にiPad専用アプリをリール中心のUIで刷新。モバイルアプリでも、ホームとDMの配置見直しを含む新デザインのテストを数週間以内に開始する予定だという。

AIが成長戦略の柱に



また味澤氏は「インスタグラムの今後の成長戦略の柱はAIだ」と強調する。メタが投資するLLM(大規模言語モデル)「Llama」や「Meta AI」をベースに、?「AIによるレコメンデーション」?「広告効果の改善」?「クリエイティブ関連ツール」--の3つの領域で機能を強化する。


AIによる最適化の結果、Meta広告全体では平均ROASが3.71ドルに達しており、AI自動配信「Advantage+」活用したキャンペーンではCPAが9%改善しているという。



そのほか、画像・動画の質感をワンタップで変える「リスタイル」や、英語の発話をスペイン語に翻訳しつつ声質と唇の動きを自然に変換する「ボイストランスレーション」など、クリエイティブAIツールの展開も進んでいる。まだ日本では使えないが、日本からこの機能を使って翻訳された動画の視聴は可能だ。

プリントシールとインスタグラムに見るティーントレンドの変遷



さらに、15周年を記念し、Z世代に人気のフリュー社のプリントシール機「EVERFILM(エバーフィルム)」とのコラボレーションを発表。10月6日から2026年1月5日まで、全国のアミューズメント施設で限定デザインを展開する。イラストレーターREDFISHによる特別デザインで、撮影時の映像演出もコラボレーション限定のデザインで楽しめる。

イベント後半では、フリュー 代表取締役社長の榎本雅仁氏を迎え、インスタグラムとプリントシール文化の関係をテーマにしたトークセッションを行った。

榎本氏によると、2015年頃から「プリントシールをインスタグラムに投稿する」行動が急増し、ユーザー要望に応えるかたちで「白フチ加工」機能などを導入。2017年の「インスタ映え」ブーム以降は、SNS投稿を意識したプリントシール機を本格化させた。「『インスタグラムにアップするためにプリントシールを撮る』という声が出るほど、プリントシールはインスタグラムとともに進化してきた」と話す。

さらに、最新機種「Meidy(メイディー)」ではストーリーズでの共有を前提に、9:16の縦型コラージュや「あえて盛りを抑えた」加工など、Z世代の使い方に最適化。

榎本氏は「プリントシールを撮ったユーザーの約8割がストーリーズにアップするが、その多くが親しい友達限定などクローズドな共有に変化している」と述べ、ティーンエイジャーのSNS利用はつながり重視へと進化していると分析した。

こうした発言を受けて、インスタグラム広報の市村怜子氏は「インスタグラムが15年間大切にしてきた『自己表現』と『つながり』という価値が、プリントシールの文化の変化にも表れている」と述べ、15周年という節目にあらためてその価値を振り返った。

写真・文:坂本凪沙