この記事をまとめると

■2025年5月21日に新型トヨタRAV4がワールドプレミアされた

■「CORE」「ADVENTURE」「GR SPORT」の3つのスタイルが用意された

■海外ではRAV4はタクシー車両としての需要も多い

新型RAV4は個性の異なる3つのスタイルを用意

 2025年5月21日、トヨタRAV4の新型が世界初公開された。「CORE」「ADVENTURE」「GR SPORT」という3つの顔をもつなど話題も盛りだくさんであり、2025年度中に日本国内で正式デビューとされているが、いまから実車に触れるのが楽しみである。

 RAV4は、1994年に初代がデビューしている。当初は3ドアのみとなり、全長3705✕全幅1695mmと、全長4m以内の5ナンバーサイズということで、当時は釣りなどで林道を走るお父さんが歓喜(こんなクルマを待っていた)の声をあげていたのを覚えている。1995年にホイールベースを延長させた5ドア「RAV4 ?」が追加されると人気が一気に爆発した。2代目からは3ナンバーサイズとなり、先日発表されたモデルが6代目となっている。

 世界市場における販売の中心はアメリカとなっており、2024暦年(1月から12月)締めでの年間販売台数は47万5193台となり、トヨタブランド車のなかでは、2位カムリに17万台近い差をつけトップの販売台数となっている(ちなみに日本では3万599台)。

 かつてアメリカでの乗用車販売トップ争いには、トヨタ・カムリ、ホンダ・アコード、日産アルティマが常連として名を連ねていた。しかし、トヨタブランドでの販売トップがRAV4になったように、日産ではローグ(日本名:エクストレイル/24万5724台)、ホンダではCR-V(40万2791台)と、いずれもカムリサイズともいえるクロスオーバーSUVが最量販車種となっている。

 カムリサイズのセダンは、日本でのカローラセダンにその立ち位置が相当すると考えるとわかりやすい。カローラ・セダンのようないわゆる大衆車的存在であり、燃費もよく、耐久性能も高いこともあり、とくに日系ブランドのセダンが重宝されていた。しかし、アメリカでも沿岸部を中心にクロスオーバーSUVの人気が高まり、カムリクラスセダンのニーズがそのままRAV4クラスのクロスオーバーSUVに移行したことも大きい。

 さらに、2列シート5名乗車のSUVは、アメリカではパーソナルユースが中心となり、そもそも初代RAV4は現地高校生の通学用のクルマとしても人気が高く、また2ドアクーペを好んで乗っていた女性も含めて、若い世代のニーズも取り込んだことで、各ブランドの最量販車種がRAV4サイズのクロスオーバーSUVになったと見ていいだろう。

 日本でもクロスオーバーSUVの人気は高いが、アメリカでは、フォードはマスタング以外にセダンやハッチバック、クーペのラインアップはなく、GM(ゼネラルモーターズ)やクライスラーもSUVやピックアップトラック以外はほぼラインアップしていない。クロスオーバーSUVがより普通のクルマとして使われているのである。

海外ではRAV4のタクシーも珍しくない

 そのようなこともあり、RAV4は2世代前ぐらいからニューヨークのイエローキャブ(タクシー)としても活躍している。かつてはアメリカンフルサイズセダンが当たり前だったイエローキャブだが、2代目プリウスが取って代わるようになった。ある日ジョン・F・ケネディ空港からマンハッタンまで2代目プリウスのイエローキャブに乗る機会があった。ドライバーの運転はアクセルをベタ踏みして加速し、停車するときは急制動という、およそエコドライブとは縁遠いものであったが、話を聞いてみると、以前乗っていたフルサイズセダンに比べるとはるかに燃費がよく、燃料代がセーブできると大いに喜んでいた。

 イエローキャブに使う車両は組合推奨車種があり、そこから選択することになるのだが、いまではその主役は日系も含めたHEV(ハイブリッド車)となっている。トヨタではカムリ・ハイブリッドが目立っていたのだが、フォード・エスケープ(SUV)のイエローキャブが走りだしたころには4代目RAV4のハイブリッドも走り出していた。コロナ禍後は残念ながらまだニューヨークには行っていないが、調べてみると、RAV4のイエローキャブがいまも多く走っていることを確認できた。

 RAV4タクシーといえば、台湾の台北市周辺もRAV4タクシーが目立っている。台湾のタクシーといえばかつては、トヨタ・ウィッシュばかりであった。一般乗用車としてもウィッシュは多く走り、「世界一ウィッシュが大好きなところ」と筆者は台湾を見ていた。

 その後台北のタクシーはウィッシュから2代目シエンタへと急速に入れ替えが進んだのだが、スライドドアに利用者が不慣れだったせいもあるのか、あっという間にシエンタタクシーは消えて、いまはRAV4タクシー、カローラ・アルティス(セダン)あたりが目立っているが、トヨタ以外のメーカー車のタクシーも多く、さながら「タクシー戦国時代」のようになっている。

 台北で常宿としているホテルで帰国時に空港までタクシーを頼むと、タクシーではなくリムジンサービスのようなところの車両を手配してくれるのだが、2025年4月に訪れた際の帰国時はRAV4(先代)だった(台湾到着時、空港からホテルへ行くときは下ろしたてのハンマーヘッドフェイスを採用した現行カムリだった)。

 ステーションワゴンというものが世界的に希少となるなか、積載性能も高いSUVがステーションワゴンに代わる形でタクシー車両としても注目されているのかもしれない。

 RAV4が今回3つの顔を用意した背景には、諸外国でまさにセダン代わりに日常生活の移動手段として使われていることや、タクシーやハイヤーサービスなどでも同クラスSUVが使われることなどもあって、より趣味性の高いふたつの顔を用意したのかもしれない。

 ランドクルーザーなどのフルサイズSUVは、すでに世界の富裕層の間では、それまでの例えばメルセデス・ベンツSクラスのような高級サルーンに変わる車両として使われるようになっている。このようなニーズがRAV4クラスでもいよいよ先鋭化してきているのかとも、新型RAV4を見て感じた。