新しい リテールメディア ネットワークがスタート。 空港広告を再構築する英大手書店チェーンの取り組み

記事のポイント
英大手書店・文具チェーンのダブルエイチ・スミス・ノースアメリカが空港やリゾートでリテールメディアネットワークを展開。
デジタル広告やオフサイト施策で旅行者への訴求を強化。
長時間の待機を活用し、ブランドとの接触機会を創出する。
英大手書店・文具チェーンのダブルエイチ・スミス・ノースアメリカが空港やリゾートでリテールメディアネットワークを展開。
デジタル広告やオフサイト施策で旅行者への訴求を強化。
長時間の待機を活用し、ブランドとの接触機会を創出する。
最新のリテールメディアネットワークのひとつが、ブランドによる空港での長い待ち時間の活用方法を変えようとしている。
英大手書店・文具チェーンのダブルエイチ・スミス・ノースアメリカ(WHSmith North America)が、米国内の28州とカナダの2州で、空港、リゾートホテル、カジノ、鉄道の駅にある353の店舗向けにリテールメディアネットワーク「WHSメディア(WHS Media)」をスタートさせる。ここには、120のテックストアを展開するインモーション(InMotion)や、シャーパー・イメージ(The Sharper Image)やレゴ(Lego)などを含む、ニュース、ギフト、ライセンス、スペシャリティ、ファッションなどさまざまなブランドで223店舗を展開しているマーシャル・リテール・グループ(Marshall Retail Group)が含まれる。
ダブルエイチ・スミスも以前は、ブランド向けに広告機能を提供していた。しかし、リテールメディアは業界として拡大し、それらのブランドはより強固な機能、測定、顧客とやりとりする新しい方法を求めている、とダブルエイチ・スミス・ノースアメリカの最高商務責任者を務めるスチュアート・ミッシェル氏は言う。
より買い物客をターゲットにしたアプローチ
空港広告は目新しいものではなく、各ブランドは空港内の看板やTSA(運輸保安庁)の旅行用手荷物検査トレーなどを通じてマーケティングを行っているが、これは単にブランドの認知度を高めるだけでなく、より買い物客をターゲットにしたアプローチとなっている。
ミッシェル氏はEメールで、「ブランドは現在、貴重なリテールメディア予算をどこに配分するかを決定する際、多くの選択肢に直面している。これはまた、ブランドと買い物客の双方に明らかな価値を提供する提案を定義するという、小売業者にとっての課題も生み出している」と述べている。「この競争が激しい環境において、小売業者がリテールメディアを通じて際立った存在となり、独自の価値を提供するためには、差別化が不可欠だ」。
ダブルエイチ・スミスは店舗内に200のデジタルスクリーンネットワークを持っているが、SMGのマネージングディレクターであるショーン・クロフォード氏によれば、今後数カ月でこれを倍増させる計画だという。SMGは、ダブルエイチ・スミスと共同で広告事業を立ち上げ、アズダ(Asda)やブーツ(Boots)といった欧州の小売企業のリテールメディアネットワークも運営。キャンペーンでは、店内のオーディオや印刷された店舗内ディスプレイも用いられる。ダブルエイチ・スミスとSMGは、すでにペプシ(Pepsi)やボーズ(Bose)とのキャンペーンに着手している。
「旅行関連で店舗内市場を本気で狙っているところはほかにない」とクロフォード氏は語る。「膨大なオーディエンスが毎日米国の空港を通過しており、そのオーディエンスを獲得し、彼らがほかの場所に行くことができない瞬間に語りかける大きなチャンスがブランドにはある」。
リテールメディア×旅行の可能性
クロフォード氏によると、両社はザ・トレードデスク(The Trade Desk)やメタ(Meta)と協力し、オフサイトのディスプレイ広告やソーシャルフィード上で展開するキャンペーンも行っているという。たとえば、すでに空港にいる人を店に誘導してヘッドホンを購入させるといった広告を表示することが彼らにはできる。
「北米のリテールメディアは、これまでオンサイトに集中してきたが、それはAmazonとウォルマート(Walmart)が支配しているからだ。しかし、我々がここでやろうとしているのは、欧州から実際にいくつかの教訓を得ることで、それは、店舗を重視し、店舗での体験を確実なものにすることだ」とクロフォード氏は言う。
専用のネットワークを通じて、eコマースのウェブサイトや物理的な環境により多くの広告を導入することは、収益拡大のメカニズムとして小売業者にとっての優先事項となっている。リテールメディアのほかのリーダーたちは、リテールメディアを旅行中心のオーディエンスに適用することは特に可能性があると述べている。
「空港、駅など旅行の拠点となる施設には、『買い物したい気持ち』を持つ熱心なオーディエンスが多く、多くの場合、探索する時間もある」と語るのは、リテールテックプラットフォームであるスイフトリー(Swiftly)の共同創業者で最高イノベーション責任者を務めるショーン・ターナー氏だ。「このような空間でリテールメディアネットワークを利用することで、小売業者は旅行者をターゲットに、その旅に合わせた関連広告やプロモーションを行える」。
最大の利点は滞在時間の長さ
ウォルマート・コネクト(Walmart Connect)の元幹部で、リテールテックプラットフォーム、バンテージ(Vantage)で戦略部門を率いるドリュー・キャシュモア氏は、ダブルエイチ・スミスの動きは米国の小売業がどのように物理的スペースにおけるメディアアクティベーションを再考し、捕捉したオーディエンスを活用できるかという先例になると話す。
「この参入は、米国のリテールメディア戦略に新たな洗練されたレイヤーを導入するものだ。特に空港のような非伝統的な環境では、消費者の意図や購買パターンが通常の小売スペースとは異なる」。
ミッシェル氏は、ダブルエイチ・スミスのユニークなオーディエンス層が、ブランドにとってユニークな機会を提供することに同意している。その最大の利点のひとつは、旅行者が空港で体験する滞在時間の長さだ。
ミッシェル氏はこう述べる。「ここにある余った時間のおかげで、退屈な瞬間を魅力的で記憶に残るブランドとのインタラクションに変えることができる。旅行者は、よりエンゲージしやすいだけでなく、トラベルリテールという環境は、買い物客がこれまで考慮しなかったような商品やブランドの試用、さらには購入を促すような、インパクトのある体験をするのに最適な状況を提供する」。
[原文:How WHSmith’s new retail media network is recasting airport advertising]
Mitchell Parton(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:島田涼平)
