九重親方

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 暴かれたのは「違法賭博」だけではない。20年ほど前、九重親方(元大関・千代大海)のタニマチとして知られていた不動産会社京和建物(09年に倒産)元代表の遠藤久人氏は九重親方に「総額で約1億円の大金を貸していた」と明かす。しかも「3500万円が未返済のまま」だと言うのだ。(前後編の後編)

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【写真】約20年前、九重親方と結婚間近と言われていた「懐かしの有名グラドル」と「告発者と九重親方のツーショット」

川村ひかると別れる時、「悔しいです」と泣いていた九重親方

 2003年頃遠藤氏は、川村ひかると交際し始めた九重親方のために新居も用意したという。

「二人が密会しやすいよう、地下駐車場のある芝公園の高級マンションの一室を借りてあげた。そこで一緒に1年以上は住んでいたと思います。03年の9月には二人をサイパン旅行にも連れて行きましたよ。帰国時に成田空港で待ち受けていた梨元勝レポーターを『しつこいんだよ』と払いのけたのも私です。川村が事務所を独立する際にも面倒を見たし、彼女のために会社名義でBMWを買って自由に使わせてあげた」

九重親方

(川村の事務所に問うと、「当時の具体的な出来事や詳細については時間が経ち過ぎており、また相手側の知人である為、川村からお答え出来る事はありません」と回答)

 九重親方と川村は2年余り交際し一時は結婚間近とも言われたが、05年に破局。その時の相談にも乗ったと振り返る。

「別れる時、大海は『アニキ、悔しいです』とボロボロ泣いていました。一人になってからも元赤坂にあったウチのマンションの最上階に住まわせました。わざわざ彼のためにトイレの改装までしてあげて」

 食事代、住居費、渡航費……。タニマチとして全ての費用を気前よく払ってきたと話す遠藤氏は「金を貸してもいた」と明かす。なんと九重親方はその借金の担保として「年寄株を入れていた」と言うのだ。

次第にカネばかり要求してくる大海に疲れてきた

「最初に金を貸したのは彼と付き合い始めて数カ月経った01年夏頃のことです。彼はまだ現役でしたが、小錦が所有していた『佐ノ山』の名跡を取得するために『7000万円貸してください』と言ってきた。大金でしたが必死にかき集めて現金で渡しましたよ。その代わりに彼は取得した証書を持ってきた。その証書はしばらく社長室の金庫で預かっていました」

 その後も1000万円単位の無心が2回ほどあったと言う。

「はっきり覚えているのは05年6月、彼が弁護士を伴って1000万円を借りに来たこと。その頃から、次第にカネばかり要求してくる大海に疲れてきた。結局、私がふみえ(註・遠藤氏の元妻でタレントの細川ふみえ)と結婚した07年頃に付き合いは途絶えてしまった。その間に年寄株を担保とした7000万円は返済してもらい証書は返しましたが、借金が3500万円残ったままなのは間違いありません」

 実は残債の“証拠”は「週刊新潮」2010年7月29日号ですでに取り上げている。前述した九重親方の違法賭博問題を追及した時の記事だ。記事では遠藤氏から複数の人物への貸付金をまとめた帳簿を掲載。当時、遠藤氏は取材を拒否したが、会社関係者から帳簿が流出したのだった。帳簿上の〈大海〉と書かれた欄には確かに〈3500万〉という数字があった。

貴闘力氏も「一緒にマンション麻雀をやった」と 証言

「これは間違いなく私が書いた字です。ただ私は大海にカネを返して欲しくてこんな話をしているんじゃない。今更返してきたって突き返します。彼に言いたいのは、オレたちはカネだけの関係じゃなかったろうということ。彼のためになると思って、ドラマ『スクール☆ウォーズ』のモデルである高校ラグビー部のドキュメンタリーを録画して見せたこともある。それを見て感極まった彼は泣きながら『優勝します』と誓っていた。私は心底彼を可愛がり、物心両面から支えていたつもりだった。周囲から私との付き合いを避けるよう言われたのかもしれない。だったら事情を話して詫びの電話一本くらい寄越すのが筋でしょう。そもそも、カネを借りたまま逃げ続けるなんて人としてあり得ない」

 許せない、いや忘れよう。およそ15年間、ずっと揺れていたと語る。

「2年前、共通の知人が『熱海まで詫びに連れて行く』と間に入ってくれたこともありました。その時、私は久々の再会を楽しみにしていた。これで大海へのモヤモヤした気持ちを断ち切れると思ったからです。けれど結局、彼がやってくることはなかった。今回、告発を決意したきっかけは昨年末、リキ(元関脇の貴闘力忠茂氏)と久しぶりに交わした電話でした。リキから彼が今ものうのうと協会で出世していると聞かされ怒りが収まらなくなった。本当はこんな暴露なんかしたくなかった。でもこうでもしないと彼に私の気持ちは伝わらないんじゃないかと思うに至ったのです」

 貴闘力氏はこう証言する。

「遠藤氏のマンションでの麻雀には、私も千代大海に誘われて10回くらい通いました。遠藤氏の告発で協会にとって最も問題があるのは年寄株を担保に金を借りていたことです。事実ならば絶対あってはならない不祥事。年寄株の売買は表向き禁止されながらも、今も裏で不透明な取引が続いており、一向に解決しない協会の闇です」

 当の九重親方はどう答えるか。初場所初日前日の11日、質問状を持って九重部屋を訪ねたが、女将が出てきて「協会を通してください」と言うのみ。

 結局、協会から回答はなかった。

「全部本当のこと。言い逃れできないから取材から逃げたのです」(遠藤氏)

 遠藤氏の“真意”は九重親方に伝わっただろうか。

前編【「1晩で300万円動く『マンション麻雀』の常連でした」元千代大海・九重親方のタニマチ社長が爆弾告発「人気グラドルとの交際で“隠蔽工作”にも協力した」】では、九重親方と一緒に闇カジノに通い、高レート麻雀にもよく興じたと明かす遠藤氏の証言を伝えている。

「週刊新潮」2025年1月23日号 掲載