こうした呼びかけの言葉の発達経緯を見ると、日本社会が個よりも家族構成を重んじてきた考え方が反映されているのだと思わされます。

◆見知らぬ人に呼びかけるときの“最適解”は

坂井さんは今回の一連のポストで、30代から40代の女性を呼ぶときの最適解について「赤の他人に対して家族構成の言葉を呼ぶ行為が合わない時代になってきているので、相手が嫌がる可能性を考慮していく社会になるといい。見知らぬ人に道などを聞く際には『すみません』、『もしもし』など親族名詞以外の丁寧語を使うのが誰も傷つけないし、嫌な思いもさせない呼び方なのかなとも思います」と締めくくっていました。

既婚か独身か、子どもがいるのかいないのか、自分より年上か年下かという観点で見知らぬ人への呼び方が変わる日本語。特に女性に対しては、自分が相手からどれくらいの年齢に見えているのか、独身で子どもいないのに「奥さん」や「ママ」など世帯状況を決めつけられることなど、さまざまな「そんな呼び方やめてよ」を孕(はら)むリスクがうかがえました。

ただ「おばさん」と呼ばれることが今なおネガティブな要素を含んでいる現代では、坂井さんの言うように偏見のない新しい言葉が生まれることも、この問題においては重要なのかもしれません。

<文/エタノール純子>

【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中