【ワシントン時事】米大統領選で勝利を確実にしたトランプ前大統領は、復権すれば自分を起訴したスミス特別検察官を「2秒で首にする」と公言していた。

 起訴の取り下げを目指すとみられているが、4件の刑事事件の行方はどうなるのか。

 トランプ氏は2023年以降、(1)不倫相手への口止め料を巡るビジネス記録改ざん(2)国防機密不正保管(3)20年大統領選の結果を覆そうと企図(4)同選挙でジョージア州の結果を覆そうと企図―の4件で、連邦や州当局に起訴された。大統領経験者の刑事訴追は史上初だった。

 これに対し、トランプ氏は「バイデン政権による司法の武器化だ」として徹底抗戦。多額の資金を投入して弁護団を結成し、裁判の遅延を図った。現時点で評決が下ったのは有罪となった不倫口止め料事件だけで、それ以外は公判開始にすら至っていない。

 不倫口止め料事件は26日に、ニューヨーク州地裁が量刑を宣告する。米メディアによると、トランプ氏は初犯だが、度重なるかん口令違反を踏まえ、実刑が言い渡される可能性も指摘される。

 一方、トランプ氏は大統領に返り咲けば、連邦法違反の事件で仮に有罪となっても自身を「恩赦」することが可能だ。同氏はこれまでにも、21年1月の連邦議会襲撃事件で刑事訴追された支持者らを恩赦すると表明している。

 機密文書の不正保管事件は、南部フロリダ州の連邦判事が訴えを退け、検察側が控訴。選挙結果を覆そうとした事件では、大統領在職中の公的行為は免責対象とした最高裁判断を受けて起訴内容が改めて精査されている。ジョージア州の選挙介入事件も、担当検事の適格性を巡る法廷闘争が続き、公判開始の見通しは立っていない。