『惑星ラブソング』©2025『惑星ラブソング』製作委員会

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 曽田陵介が映画初主演を務める『惑星ラブソング』が2025年初夏に公開されることが決定した。

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 本作は、ひょんなことから謎めいたアメリカ人旅行者ジョンに広島の街を案内する若者モッチとアヤカ、そして夢の中で少女に戦前の広島を案内してもらう少年ユウヤを通して、平和というテーマへアプローチしたファンタジー。『彼女は夢で踊る』『鯉のはなシアター』『シネマの天使』などで知られ、広島に活動拠点を置く時川英之が監督・脚本を務め、広島でアナウンサーとしても活躍する横山雄二がプロデューサーを担った。

 時川監督は「平和をテーマにした映画というのは、どうしても教育的になったり、説教臭くなることがあります。もっと多くの人々に伝わるように、映画ならではの“物語”という手法で、ファンタジーの要素を組み込んで作りたいと思いました。今の広島の街を反映した不思議な話が交錯する平和の物語です。映画だからこそ、現在と過去、夢と幻が融合し、忘れていた感情が溢れ出し、宇宙から広島を見つめることができます。戦争を体験した人たちの、その後を継ぐ世代として、新しい時代に広島だからこそできる物語を世界へ発していきたいと思います」とメッセージを寄せた。

 さらに、日本アカデミー賞で最優秀美術賞2回を含む優秀美術賞を12回受賞した広島出身の部谷京子が美術を、映画、ドキュメンタリー、ミュージックビデオなどジャンルと国境を越えて活躍するアイバン・コバックが撮影を、『罪の声』で第44回日本アカデミー賞優秀編集賞を受賞した穂垣順之助が編集スーパバイザーをそれぞれ担当した。

 ノーベル平和賞受賞が決まった日本被団協代表委員の箕牧智之氏は、「世界が戦争をしている今、平和について考えさせるこの映画を 私たちはあたたかく見守りたいと思います」とコメントを寄せた。

 ある日、広島の若者モッチ(曽田陵介)とアヤカ(秋田汐梨)は、謎めいたアメリカ人旅行者、ジョン(チェイス・ジーグラー)に出会い、広島の街を案内することになる。ジョンには不思議な力があり、広島の街に何かを見つけていく。一方、小学校で広島の歴史を聞いて怖くなった少年ユウヤは不思議な夢を見る。夢の中の少女はユウヤを戦前の広島へと案内する。広島の街に起こる、過去と現代が交錯する不思議な物語によって、現実と幻が融合し始め、やがて一つの大きな渦になる。街の人々は未だ体験したことのないある出来事に遭遇し、忘れていたあの平和の歌が街に響く。

 本作で初めて映画主演を務めるのは、『笑うマトリョーシカ』(TBS系)などに出演し、広島とも縁のある曽田。そして、映画、ドラマ、舞台と多彩な活躍をみせる秋田汐梨がヒロインを演じる。そのほか、ロサンゼルスを拠点に俳優、作家、音楽プロデューサーとして活躍するチェイス・ジーグラー、『容疑者 室井慎次』では悪役ともいえる灰島弁護士を演じる八嶋智人が共演に名を連ねた。

 曽田は、「僕自身広島で学生時代を過ごしたのでどこか懐かしさを感じながら撮影期間を過ごしていました。そして今回は平和がテーマということでモッチを通して皆様に何か少しでも伝わるものがあれば嬉しいです」と今回の広島の物語への出演に込めた思いを明かしている。

 なお本作は、11月末に開催される広島国際映画祭で上映されることも決定した。

コメント時川英之(監督・脚本・プロデューサー)

広島には世界の誰もが知っている壮絶な歴史があります。だからこそ、この土地には沢山の愛があると思います。それは、過去を忘れないようにしようとするこの街の人々の気持ちや、静かな平和への祈りが、平和公園はもちろん、街のいたるところに、一見気づかないところや、人々の生活の中にあります。今では多くの外国人旅行者が広島を訪れ、大きな賑わいのあるこの街を見て何かを感じてくれています。広島平和記念資料館に多くの旅行者が列をなすのは、この街が今起きている戦争と無関係ではないからだと思います。戦後80年という大きな節目に今の広島の平和について映画で描いてみたいと思いました。しかし、平和をテーマにした映画というのは、どうしても教育的になったり、説教臭くなることがあります。それでは作品は見てもらえないので、もっと多くの人々に伝わるように、映画ならではの“物語”という手法で、ファンタジーの要素を組み込んで作りたいと思いました。今の広島の街を反映した不思議な話が交錯する平和の物語です。映画だからこそ、現在と過去、夢と幻が融合し、忘れていた感情が溢れ出し、宇宙からこの街を見つめることができます。戦争を体験した人たちの、その後を継ぐ世代として、新しい時代に広島だからこそできる物語を世界へ発していきたいと思います。

横山雄二(プロデューサー)

広島の尾道を舞台に『時をかける少女』や『転校生』といった数々の名作を作り上げた故・大林宣彦監督の言葉が好きだ。映画とは「嘘から出た実(まこと)」。そんな作品を、今の広島で作りたいと思った。 「青春映画」だけど「ファンタジー」そして「SF映画」の要素まで散りばめた「幸せ」にまつわる幕の内弁当のような作品。映画という作り話が、いつの間にか現実になり、時をかけて未来へバトンを渡す。そんな映画を広島に住む自分自身が観たいと思った。 笑って、泣いて、劇場を出るとき、ちょっとだけ背筋が伸びている。 『惑星ラブソング』は、これまでにない間違いなく新しい映画です。

曽田陵介(主人公・モッチ役)

僕が演じるモッチという役は、まだ自分の殻を破れず、将来に焦りを感じている中、様々な出会いがあり成長していきます。大学生役ということもあり、僕自身広島で学生時代を過ごしたのでどこか懐かしさを感じながら撮影期間を過ごしていました。そして今回は平和がテーマということでモッチを通して皆様に何か少しでも伝わるものがあれば嬉しいです。お楽しみに。

秋田汐梨(アヤカ役)

私が演じたアヤカは、怖いもの知らずでやりたいと思ったことにはとことん突き進む元気な女の子です!私自身初めての英語・広島弁のセリフにも挑戦しました。歴史の授業などでしか学んでこなかった原爆について撮影を通して深く知り、平和について考えるきっかけになったとても貴重な撮影期間でした。

八嶋智人(UFO博士役)

この映画はファンタジーです。平和を願い、模索するファンタジーです。でもそこには、広島という土地の記憶が事実として含まれています。だから語り継ぐ神話だと思って劇場から自分の世界に持ち帰って下さい。劇場で待っています。

チェイス・ジーグラー(ジョン役)

この映画に出演するチャンスをいただけたことへの感謝の気持ちは本当に言葉では言い表せません。最初にジョン役の概要を読み、アメリカからズームでオーディションを受けた時、この役は自分がやるべきだと感じました。今回、初めて日本を訪れ、広島で長い時間を過ごせたことは、私の心の中で特別なものになりました。広島で歴史の中を歩き、永遠の平和への祈りと精神を感じることができました。

箕牧智之(日本原水爆被害者団体協議会 代表委員)今、世界で戦争していることが本当に痛ましい。それはかつての広島の痛みと同じである。核戦争の危機は迫っている。この星の運命はこの星に住む人たちが握っている。本当にそう思います。 世界は平和でなければいけない。そのために自分たちに何ができるのか?もっと多くの若者に感じてもらいたい。 世界の平和について考えさせるこの映画を私たちはあたたかく見守りたいと思います。

佐久間邦彦(広島県原爆被害者団体協議会 理事長)映画の物語がどう展開するのかを興味を持って観させていただきました。我々が今までやってきた平和活動はストレートな方法で、被爆被害の現実を訴えて平和が大事だと伝えてきた。でも、この映画は全く新しい方法で平和を訴えている。もっと広く市民社会の中で平和を訴えるために、今後新しい世代にどう伝えていくか? ということを考える時に、こういう映画は非常に大事だと思いました。この物語はいろんな意味で考えてもらえるところがある。大きな視点で地球全体のことも考えられる。若者たちがこの物語を観てどう受け取るのかを聞いてみたい。なんとかしなくちゃいけない、これからは自分たちがやるんだということを感じてほしい。平和に向けて粘り強く進んでほしい。(文=リアルサウンド編集部)