後半19分、ヘッドで決勝点を決めた山形・ディサロ(右)

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◆明治安田J2リーグ第37節 山形3―1水戸(3日・Ksスタ)

 モンテディオ山形は水戸を3―1で下し、クラブ新記録となる8連勝。1―1の後半19分にFWディサロ燦(あきら)シルヴァーノ(28)が頭で決勝点を挙げ、MF高江麗央(26)が1得点2アシストと躍動した。暫定5位に浮上し、10日の最終節(対千葉・NDスタ)で引き分け以上ならJ1昇格プレーオフ進出が決まる。

 ディサロの決勝弾には、ストライカーの意地と嗅(きゅう)覚が詰まっていた。後半19分、右サイドから高江がクロスを上げた瞬間、ボールは照りつける太陽と重なってほとんど見えなかった。「弾道からしてニアじゃない」。瞬時にファーサイドでポジションを取り、飛び出した相手GKの背後で待ち構えた。ヘッドで無人のゴールへたたき込むとゴール裏へ走り、熱狂するサポーターと喜びを分かち合った。

 後半13分に追いつかれた直後、大声援が聞こえた。「重い空気が流れた時、キツい時にサポーターの声がより大きくなった。すぐに(点を)取り返せた」と胸を張った。6月20日にJ1湘南から完全移籍で加入すると、すぐにセンターFWに定着し13試合で7ゴール。得点した7試合は全勝と不敗神話も継続中だ。

 この日はJ2記録の通算577試合出場を誇る水戸GK本間幸司の“引退試合”とあって、敵地にはクラブ新の1万488人が来場。周辺道路は大渋滞し、山形のチームバスの競技場入りが30分近く遅れるハプニングもあった。ホームに負けじとゴール裏のビジター席は早々に完売し、約3000人のサポーターがメインスタンドの半分近くをジャックした。渡辺晋監督は「ものすごいホーム感を作ってくれた。間違いなくクラブ全体でつかんだ勝ち点3です」と感謝した。

 プレーオフを争う千葉が敗れたため、既に約1万枚のチケットが売れている最終節で引き分け以上なら進出が決定。初戦をホームで開催できる4位も見えてきたが、星勘定や他チームの情報は全く気にしない。渡辺監督とディサロは、くしくも同じ言葉を残した。「勝つだけです」。9連勝で締めくくり、11連勝でJ1昇格をつかむことしか頭にない。(岩崎 敦)

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〇…高江は前半22分、CKからMF土居聖真が中央に送ったパスを決め先制点をゲット。ディサロのV弾に加え、後半33分にはFW高橋潤哉のダメ押し弾もアシストし「1点目はデザインしていました。(土居)聖真君から易しい落としが来て、しっかり打てた」と喜んだ。ボランチとして攻守に存在感を示し、渡辺監督も「中心的な働きをしてくれた。賢さを評価したい」とたたえた。