「痛風の原因」になりやすい食べ物はご存知ですか?対策が期待できる食べ物も解説!

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痛風は中年男性に発症しやすい病気です。身近な方が痛風になり、痛かったとは聞くものの、何が原因で発症するのかは知らない方もいるのではないでしょうか。

一方、何の症状もないのに健康診断で尿酸値が高いと指摘される方もいます。痛風に気を付けるよう指導されても、何をすればよいのか不安に感じている方もいるでしょう。

今回は、痛風の原因や予防法・治療法などについて解説します。ご自身やご家族の健康維持にお役立てください。

≫「痛風の初期症状」はご存知ですか?治療法や予防法も解説!【医師監修】

監修医師:
眞鍋 憲正(医師)

信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

痛風の症状と治療法

痛風の症状を教えてください

ある日突然、足の親指の付け根の関節が赤く腫れて、激しい痛みを生じる病気です。足の親指の付け根以外に足の甲・膝関節・手首の関節などに激痛が起こる場合もあります。風が吹いても痛いと例えられる、この激痛が痛風発作です。痛みは1週間から10日程度で自然に軽快します。痛風発作を繰り返すうちに発作の間隔が短くなり、腎結石・尿管結石を併発することもある病気です。痛風発作を経験している患者さんのなかには、発作の前兆を感じる方もいます。

痛風の痛みが発生するメカニズムは?

血液中の尿酸の濃度が上昇して飽和溶解度を超えると、関節内に結晶となって溜まります。結晶に対して防御機構である白血球が反応して、炎症を起こした状態が痛風発作です。尿酸は体内に一定量存在する物質で、血液に溶けて体内を循環し、尿や便として排泄されます。血液中の尿酸濃度が上昇する原因には、尿酸が体内で過剰に産生されている、もしくは尿酸の排泄が悪くなっている状態が考えられます。なお、血液中の尿酸値をさらに上昇させ、痛風発作を発症しやすい状況は、食べすぎ・飲みすぎ・脱水時です。エネルギーの過剰摂取や脂肪の蓄積が続くと遊離脂肪酸が増加し、関節内にたまった尿酸結晶の炎症が起こりやすくなります。尿酸の結晶が腎臓にたまる病気が痛風腎です。痛風腎になると蛋白尿や血尿が出て、腎臓の機能が低下します。

痛風の治療法は?

痛風の治療には、痛風発作時の治療と血中尿酸値をコントロールする治療があります。痛風発作が起こったときの応急処置は、患部の安静と冷却です。応急処置をしながら医療機関を受診し、薬物による治療を受けましょう。痛風発作時の主な治療薬は、非ステロイド抗炎症薬やコルヒチン、ステロイド薬です。痛風発作の前兆を感じたときには、医師から指示された量のコルヒチンを使用すると、痛風発作を抑える効果が期待できるとされています。血中尿酸値の管理には、まず生活習慣の改善が基本です。腎障害・尿路結石・高血圧などの合併症がある患者さんは、血液中の尿酸値が1デシリットルあたり8mg以上になると薬物治療の対象となります。合併症のない患者さんは、1デシリットルあたり9mg以上が薬物治療の対象です。

痛風の原因

痛風と高尿酸血症に関係はありますか?

血液中の尿酸値が1デシリットルあたり7.0mg以上になると、高尿酸血症と診断されます。高尿酸血症は遺伝要因と環境要因が積み重なり、発症に至ると考えられている生活習慣病のひとつです。高尿酸血症の患者さんは肥満や脂質異常症、糖代謝障害を合併している方が少なくありません。高尿酸血症が持続すると、関節内に尿酸の結晶が溜まります。溜まった結晶に対する炎症反応が痛風発作です。ただし、高尿酸血症の患者さん全員に痛風発作が起こるわけではありません。痛風発作が起きていない高尿酸血症の患者さんは、痛風発作を起こす前に生活習慣を改善して血液中の尿酸値を下げましょう。

痛風の原因になりやすい食べ物は?

尿酸は、肝臓で代謝されたプリン体の老廃物です。プリン体は、細胞に存在する核酸の主成分であり、ほとんどの食品に含まれています。痛風の原因になりやすい食べ物は、プリン体を多く含む食品です。食品100gあたり200mg以上のプリン体を含む食品を高プリン食と呼びます。代表的な高プリン食は、以下のとおりです。

レバー

魚の干物

白子

あんこうの肝

カツオ

大正エビ

肉や魚の内臓のように細胞数の多く、細胞分裂の盛んな組織を含む食品にはプリン体が多くなる傾向があります。複数の研究により、プリン体を多く含む食品を好んで摂取する食生活が、痛風を発症するリスクを高めることがわかっています。

アルコールは痛風の原因になりますか?

アルコールの摂取は、体内の尿酸値の上昇に関連しています。痛風患者さんの生活習慣の改善には、飲酒制限が必須です。アルコールを摂取するとエネルギーの貯蔵・利用に関わるATPの分解が進み、プリン体が増加します。つまり、アルコール自体のプリン体の有無に関わらず、アルコールを代謝する過程で尿酸値を上げる働きがあるのです。アルコールの摂取量が増える程、痛風を発症するリスクは高まります。アルコールの摂取は1日に日本酒1合、ビールは350~500ミリリットルとし、ウィスキー60ミリリットルまでにしましょう。

痛風発症にストレスは関係していますか?

ストレスは、尿酸値を上昇させる要因の1つです。ストレス状態では交感神経が興奮し、サイトカインという物質の働きが活発になります。サイトカインは免疫細胞を活性化させ、関節内に溜まっている尿酸結晶の炎症を誘発すると考えられている物質です。痛風発作を起こす前の患者さんの行動を調査した研究では、ストレスから解放された休みの日に発作を起こす患者さんがいることがわかっています。普段からストレスを抱え込まない工夫も大切です。

痛風と年齢は関係がありますか?

痛風の発症年齢は、ピークが50歳代であるとされてきました。近年は若年化し、発症年齢のピークは30歳代から40歳代です。一方、症例数は少ないものの10歳代で発症する患者さんもいます。痛風は、男性と閉経後の女性に高い頻度で発症します。これは、女性ホルモンに尿酸を排泄する作用があり、女性は男性よりも尿酸値が低い傾向があるためです。

痛風の予防法

痛風対策が期待できる食べ物は?

痛風の予防には、バランスのよい食生活が大切です。特に、野菜や果物、豆類などを積極的に摂取しましょう。野菜類全般・乳製品・きのこ類はプリン体が極めて少ない食品類です。痛風の発症リスクを低減すると報告されている食品や栄養成分は、以下のとおりです。

コーヒー

チェリー

ビタミンC

乳製品

食物繊維

また、血液中の尿酸値を低下させる食生活として注目されているのが、DASH食と地中海食です。DASH食では食塩・甘味飲料・肉類の摂取を減らし、以下の食品を多くとります。

果物

野菜

ナッツ

低脂肪乳製品

全粒穀物

さや豆類

地中海食は肉類・甘味・菓子類の摂取量が少なく、以下の食品を毎日摂取する食生活です。

果物

野菜

ナッツ

豆類

全粒穀物

乳製品

加えて、地中海食では魚を週2回程度食べます。

食生活以外で痛風対策が期待できる生活習慣を教えてください

血液中の尿酸値を低下させるためには、有酸素運動が効果的です。ウォーキングやサイクリング、社交ダンスなど脈が少し速くなる程度の有酸素性運動をしましょう。少なくとも10分以上の有酸素運動を合計1日30分以上、60分程度行うことが推奨されています。しかし運動の種類によっては関節への負担がかかり、痛風発作を誘発するおそれがあります。全身の状態を考慮し、運動強度は主治医の先生と相談して決めましょう。一方、短距離走や筋力トレーニングなどの無酸素運動は尿酸値を一時的に上昇させるため、注意が必要です。また、脱水状態になると、痛風発作を発症しやすくなります。水分を十分に補給することを心がけましょう。

編集部まとめ


痛風は高尿酸血症が持続した結果、発症に至る生活習慣病です。血液中の尿酸値を低下させる治療は、生活習慣の改善が基本となります。

飽和状態となった血液中の尿酸が関節内に結晶として溜まり、炎症を起こした状態が痛風発作です。激痛を生じる痛風発作時は薬物による治療を行います。

痛風の予防にはプリン体を多く含む食品とアルコールの摂取を控え、野菜や果物、豆類などを積極的に摂取しましょう。有酸素運動の継続も、血液中の尿酸値を低下させる効果があるとされています。

参考文献

アルコールと高尿酸血症・痛風(厚生労働省)

高尿酸血症(厚生労働省)

痛風(日本整形外科学会)

痛風(日本リウマチ学会)