バレンシア州パイポルタで、洪水被害の後、路上に積み上げられた瓦礫/Jose Jordan/AFP via Getty Images via CNN Newsource

(CNN)スペインを襲った鉄砲水の被害の全容が1日、明らかになり始めた。今回の嵐による死者は少なくとも205人に上り、地元救急当局の同日の発表によると、うち202人は最も深刻な被害を受けたバレンシア州で死亡した。

これはここ数十年のスペインを襲った自然災害で最悪の規模となる。

緊急要員は閉じ込められた人の救出や遺体の収容に奔走しており、死者数はさらに増えることが見込まれる。当局は1日、一部の地域では道路が崩壊し、緊急要員が現場入りできない状況だと警鐘を鳴らした。

スペインのトレス地域政策相は1日、軍がすでに4607人を救出したことを明らかにした。

行方不明者に関する情報をSNSで発信する団体「SOSデスパレシドス」によると、依然として安否不明な人が1300人以上いるとの報告が複数寄せられているという。

近年のスペインは大規模な秋の嵐に見舞われていたものの、ここ数日の壊滅的被害に匹敵するケースはなかった。

バレンシア州ではより詳しい情報が明らかになりつつあり、住民から深刻な被害や、急速な水位上昇に見舞われた恐ろしい体験が報告されている。州都バレンシア市では、裁判所が一時的に遺体安置所と化した。

水位が胸の辺りまで達したバレンシア市のラトーレ地域では、ボランティアが行方不明者の捜索を続けている。

スペインの公共放送RTVEが警察の話として伝えたところによると、救助隊は10月31日、ラトーレの地下駐車場で7人の遺体を発見した。

駐車場で亡くなった地元警官の父親はスペイン紙エルムンドの取材に、住民は車を移動させようとしたが、水位の上昇が予想よりも早く、水にのみ込まれたと証言した。駐車場まで流されてきて死亡した女性もいたという。

RTVEが「悲劇の震源地」と形容するバレンシア州パイポルタでは、少なくとも62人が死亡した。

パイポルタの被災者はRTVEに対し、助けを求める人を乗せた車が何台も目の前を流されていったと証言。ドライバーの多くは幹線道路で立ち往生しており、車に乗ったまま押し流されたという。道路は付近の川と一体化した格好になり、地域の橋は崩落した。