次の出勤日に店長と2人になり、直球で「奥さんいるの?」と聞くと、申し訳なさそうな表情で「そうなんだよ、ごめん。ちゃんと言おうとは思ってたんだけど(苦笑)」とあっさり謝罪されたそう。

「お店を辞めちゃうか、きっぱり男女の関係を断つかすればよかったんですけど、かなり好きになっていたんでどちらも選べなくて、それからもズルズルと不倫関係が続きました。でもある日、いつものようにカウンターの裏で愛し合っていたら、店長がスマホを見て焦っていて。奥さんからのLINEで、『近くにいるからちょっとお店に顔出すね』って入ってきたみたい。私と店長は慌てて服を着て、そのすぐ後に奥さんが来てギリギリセーフだったんですけど……」

◆奥さんが古着屋に来店、敗北感を覚えた意外な理由

 ナツメさんは奥さんに直接会った際、「負けた」と敗北を実感したと言います。

「奥さんは店長より年上なんですけど、実はお店の先代店長だったらしいんですよ。奥さんが店長だった頃に彼がバイトで入って、結婚することになって奥さんが退社して彼が店長職を引き継いだらしいです。来店した奥さんは自分用に古着を買われて、私がレジを担当したんですけど、そのときに姉御キャラの奥さんに、『アイツ(店長)にセクハラされてない(笑)? 何かあったら私に言ってね!』って余裕の笑顔で言われて。なぜか私は心の中で『ああ、ダメだ、負けた〜』って痛感しました。それと店長は奥さんに頭が上がらずにヘコヘコしていて、『情けないな』って思って、一気に幻滅していく自分にも気づきましたね」

◆奥さんが帰ってすぐにまた抱かれ…関係を切る決意

 奥さんが帰ると、性懲りもなく店長はナツメさんの身体を触ってきて……。

「店長の手を振り払って拒否ればよかったんですけど、私って気まずい空気になるのが耐えられないタイプだから、求めてきた店長をまた受け入れちゃったんです。だけど、奥さんが帰ったすぐ後にまたカウンターの裏で抱かれながら、さすがにもうこのままズルズル関係を続けるのはダメだと思って。その日帰宅してから店長に辞めるという連絡をして。店長のLINEとかの連絡先を全部ブロックして関係を断ちました」

 奥さんがいなくなってすぐにまた行為を再開したことに罪悪感が募ったのでしょうが、それ以上に店長の器の小ささが見え隠れしたことが、ナツメさんが一気に冷めるきっかけになったようです。

 ナツメさんのように、最初は既婚者と知らずに関係が始まり、相手に奥さんがいると気づいたときにはもう後戻りができなくなっているという不倫パターンは意外と多いもの。独身者だと偽って女性に近づくとは、まさにゲスの極みの所業と言えるでしょう。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi