【独自】結婚プランが…元入居者家族が訴訟の動き 元職員も給与未払いなど提訴へ “見捨てられた”老人ホーム問題

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「イット!」が追跡取材を続けてきた“見捨てられた”老人ホーム問題に新展開があった。

同じ会社が運営していた全国4カ所の老人ホームで、給料の未払いをきっかけに職員が一斉退職、突然施設閉鎖を告げられ、転居先探しに奔走した入居者の家族が、訴訟へと動き出していた。

元入居者の家族が提訴に向け準備進める

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
敷金は返ってくるはずだとは思うんですけれど、そういう連絡も一切なく。

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
集団訴訟というのもちょっと考えていて。

提訴に向け準備を進めていたのは、90代の祖父を東京・足立区の「ドクターハウス ジャルダン入谷」に入居させていた20代のAさん。
この騒動に巻き込まれ、婚約者との結婚に向けたプランに影響が出ているという。

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
(老人ホーム問題が)もう最優先事項がそっちになってしまうので、ゆっくり(結婚関連の)書類の手続きをしたりとかやる予定だったものが、ちょっと総崩れになってしまった感じです。

同居していた祖父を問題の施設に入居させたのは、2024年4月のこと。

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
(祖父の)症状としては認知症、誰が誰か分からなくなっちゃったり、なんとかしてやっと条件の中で見つかった場所だったので、やっと介護が一段落したっていうのがあったんですけれど、まさか半年で、こんなことになっちゃうとは思いませんでした。

Aさんは、「介護が落ち着いたら…」と、婚約者との新たな生活を思い描いていたが…。

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
入籍がまだですね、婚約はしているけれど、妻(になる女性)の方は妊娠しているので、そういう状況で施設の退去とか荷物の移動とかしていたので、心身に負担はかかっていますよね。

今回、あまりにも急な退去勧告だったため、祖父の転居先が決まっていないのだという。

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
いったん、「ショートステイ」という3週間くらい利用できる場所があるので、そちらに1回預けて次の施設が決まるまで。(3週間を過ぎると)それまで介護保険とかで安く抑えられていた費用が、いわゆる自費になってしまう。そうなると、ちょっとこちらとして払うのが難しくなるというような状況です。

結婚後の将来設計にも不安が…。

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
(結婚の段取りが)まだ全然進められていない状況ですね。これからお金の問題があったり、もう1回施設に入所させないといけないので、そこが決まるのかどうか不安はあります。

資金や退去にかかった費用を取り戻したいと、Aさんは訴訟に向けた準備を始めていた。

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
こういう事例って、今までなかったと思うので、まずは消費者センターの方に、今問い合わせしている状況で。こちらに非があって対処させてというわけではないので、本来起こるはずのなかったことで、ショートステイの費用とかがかかってしまっているので、そのへんは請求したいなとは思っています。

入居者家族のつながりがないため、孤独な戦いだという。

「ドクターハウス ジャルダン入谷」元入居者の家族:
1人の力だけだとちょっと動きづらいところはあります。

元職員も給与未払いについて提訴の意向も金銭面に不安

一方、元職員にも訴訟への動きが出ていた。

「ジャルダン寒川」元職員:
お給料未払いというのは、本当に死活問題なので、そこはきちんと最低限でも訴訟でやっていきたいかなと思います。「働かせたなら金払え」ですよね。

しかしこちらも、裁判にかかる金銭面での不安が…。

「ジャルダン寒川」元職員:
お給料未払いだったので、実際生活していくのだけでもいっぱいいっぱいなので、そのへんの費用面とかっていうのが今、ちょっと一番ネックにはなっていますね。

裁判になった場合、入居者側そして職員の請求は認められるのか。
弁護士に見解を聞いた。

橋下綜合法律事務所・溝上宏司弁護士:
少なくとも裁判所の判決というベースで見ると、訴訟を行うのであれば、十分請求が認められるという可能性は高いんだろうなというふうに思います。

溝上弁護士によると、入居者側は引っ越しなどの費用負担についての請求が認められる可能性があり、職員側は退職金などの請求も認められる可能性があるとしている。

橋下綜合法律事務所・溝上宏司弁護士:
今会社と連絡がほとんどつかない。もう音信不通に近いような状態であれば、なるべく早い段階で訴訟提起を行って、判決を取ったうえで次の対応を考えていくという方がよろしいとは思います。
(「イット!」10月18日放送より)