きっかけはメダリストのウルフアロン先輩 「愛されキャラ」岡田綾太郎選手が柔道の名門・東海大学から初の角界入り 

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柔道の名門・東海大学から初の角界入りをする岡田綾太郎選手(21)。 
土俵を選んだきっかけは、五輪メダリストで先輩のウルフアロン。 
「青畳から土俵へ」“愛されキャラ”の未来予想図。 

多くの柔道家を生み出してきた東海大学柔道部から初の角界入り

山下泰裕・井上康生・塚田真希・田知本遥ら、五輪・世界選手権で活躍した多くの柔道家を生み出してきた大学屈指の強豪・東海大学柔道部。

1955年の創部以来、初めてとなる角界への挑戦者が現れた。
東海大学4年生、22歳の岡田綾太郎(りょうたろう)。
5歳から柔道を始めて、東海大学柔道部に進学。
体育学部武道学科4年生は、ことしの3月ごろに大相撲へ進むことを決意したという。
身長171cm、体重165kgの重心の低い典型的な“あんこ型”の体形は確かに相撲向きにも見えるが、相撲の経験はゼロだったという。 

東海大学4年・岡田綾太郎: 
相撲は、おじいちゃんと夕方、テレビで見るものでした。相撲を練習で経験したのは貴重でした。やってみてよかった。これまで柔道では相手を投げられないまま負けることが多かった。自分の技出しが遅かった。相撲は勝負が一瞬で白黒がはっきりつく。進む先は相撲だと思った。 

きっかけはウルフアロン先輩

角界入りのきっかけを作ったのは、五輪メダリストのウルフアロンだった。

母校の柔道研修で、岡田綾太郎のなんとも魅力的な体形にひかれたウルフ先輩が声をかけ、自身のYouTube撮影に誘ったのだった。 

五輪メダリスト・ウルフアロン(28):
最初の印象は“スゴイ体形”。話してみると面白い。実践練習では何回も押し出された。圧力がある。こっちがギックリ腰になるほど馬力がある。YouTube撮影で高田川部屋にお邪魔して、相撲体験を一緒にした。岡田は、柔道ではなかなか結果が出せなかったが、相撲ならもしかしたらとなった。角界入りは人生を変えるような決断、こんなトントン拍子に行くとは思わなかったけど、頑張ってほしい。 

現在、大相撲には44の部屋がある。
岡田が入門を決めたのは、角界で最も厳しいといわれる高田川部屋だった。
稽古、力士としての日常生活と厳しい規律が待っている。

師匠となる高田川親方は、元関脇・安芸乃島。
兄弟横綱・若乃花、貴乃花をはじめ、多くの三役を育成し隆盛を誇った藤島部屋、二子山部屋に在籍し、横綱を破った金星の数は最多の16個。
角界の「ジャイアントキラー」として知られていた。 

高田川親方(元関脇・安芸乃島):
自分も、小学生から中学生まで柔道少年。東海大学は柔道の頂点で憧れだった。東海大学柔道部の名に恥じぬようにやってほしいし、一緒に頑張っていきたい。22歳でも15歳でも、素直に努力をする子は伸びる。努力はウソをつかない。取口は相手の中に入って押して戦う形。努力をできれば大成できる。 

この後、岡田は高田川部屋で稽古を積み、11月10日からの九州場所で新弟子検査を受検。
合格すれば、前相撲を取る。
2025年3月の卒業までは、新弟子と大学生の二足のわらじとなる。 

東海大学柔道部・上水研一朗監督:
柔道の実力はあるが、決め手がなかった。最初は冗談かと思ったが、彼の特性を考えた相撲の道もあるかなと。強い決意を持って決めたこと、期待したい。性格としては負けを引きずらないし、落ち込まない。 

入門発表会見が行われたのは午後6時から、富士山が見下ろす神奈川・平塚市。
東海大学湘南キャンパスで夕暮れから始まった席上に並んだ、上水監督、高田川親方、仲介役となったウルフアロンと岡田綾太郎。

最後のフォトセッションで中央に立った岡田。
相撲未経験者の大いなる挑戦を、記者もカメラマンもほほ笑んで見守っていた。
自然に包み込むような空気を作り出すのは岡田の持つ天性の明るさ、“愛されキャラ”にあるようだ。 

五輪メダリスト・ウルフアロン:
コミュニケーション能力が高くて、誰とでもすぐに仲良くなれる。時にはそれが良かったり、悪かったりする。自分の体形を気にして、マヨネーズをハーフ&ハーフに変えたのに、ハーフを倍食べてしまい結局同じとか。その場を楽しくする。 

高田川部屋に入門する岡田綾太郎:
高田川部屋は稽古が厳しいのは知っていました。やるからには、一番厳しい部屋で強くなりたい。そして高田川部屋は、ちゃんこの味も、角界一・二を争うおいしさ。食べるのも稽古のうちですから。関取になって、ウルフさん、監督に恩返ししたいです。 

「恩返しとか考えず、まずは自分第一、やるのは自分、しっかりな」 

思わぬ形で相撲の道に進むこととなった後輩の肩にそっと手を乗せた先輩。
誰もやっていないことに挑むのは良いこと、とほほ笑んだ。 
(取材:産経映画社)