「世帯年収500万円」で「地方に3000万円の分譲住宅」を購入。「30年」の住宅ローンを利用していますが、背伸びしていることになるのでしょうか?

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住宅購入は、人生のなかでも特に大きな買い物といわれます。ローンを組んで購入する方も多いですが、負担の大きい返済プランで住宅ローンを組んでしまうと後々返済できなくなってしまうかもしれません。 本記事では、実際には年収に対していくらの住宅を購入した方がよいのか、また住宅ローンの返済プランの立て方について解説します。

世帯年収500万円はどの位置づけ?

国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-」によれば、給与所得者の平均給与は457万6000円です。そのため、世帯年収500万円は平均よりも少し上の位置づけであるとうかがえます。
しかし、働き方や家族構成などで、かかる税金や生活費は異なる可能性があります。なるべく生活を圧迫しない範囲で住宅ローンを組むためには、実際の手取りや支出も踏まえて借りる金額や返済プランを検討することが大切です。
 

世帯年収に合わせた理想の金額や住宅ローン返済額はいくら?

住宅ローンの目安は「年収倍率」や「返済負担率」から計算できます。
「年収倍率」は物件価格が年収の何倍かを表す数値です。無理なく返済できる物件価格は年収倍率5~6倍といわれています。つまり、事例のように世帯年収が500万円であれば、無理のない返済額は2500~3000万円です。
「返済負担率」は、年収に対しての返済額がどのくらいの割合になるかを示すものです。一般的には返済負担率を手取り年収の25%以下におさえることで、無理なく返済できるといわれています。年収500万円の場合は、500万円×25%÷12ヶ月で約10万4000円までが無理なく返済できる金額です。
今回の事例の場合、2500~3000万円の物件を購入し、住宅ローンの返済額は10万4000円までにおさえる必要があります。さらに、国土交通省の「令和4年住宅市場動向調査報告書」によれば、分譲戸建住宅取得世帯の返済期間は35年以上が最も多い結果となっています。
以上を踏まえると、購入した住宅の金額は妥当と考えられ、ローン期間は一般より少し短いといえるでしょう。
 

住宅ローン以外の諸経費も含め無理のない金額設定が必要

住宅ローンの返済が難しくなった場合には、住宅を売却したり、生活費を削ったりしなくてはならなくなります。住宅の購入には、住宅ローンのほかにも以下のような費用がかかります。
 

・手付金
・頭金
・仲介手数料
・印紙税
・登録免許税
・不動産取得税

住宅購入の際には、これらも含めてシミュレーションをしておく必要があります。インターネットで「住宅ローンシミュレーション」と検索すると、住宅関連企業や銀行などが運営する自動計算を行えるサイトもあるため、活用を検討しましょう。
「年収倍率」や「返済負担率」から導き出される数字に加えて、日頃の家計を振り返り、無理のない内容で契約することをおすすめします。
また、住宅の内装や外装、設備などが壊れたときには修理が必要になる可能性もあるため、修繕費分も余裕を持っておくとよいでしょう。
 

世帯年収500万円であれば「3000万円の分譲住宅購入」「30年」の住宅ローンは妥当と考えられる

世帯年収より「年収倍率」や「返済負担率」を計算すると、事例の場合は妥当な金額であると考えられます。また、分譲住宅を購入している人の返済年数は35年が多いため、今回の例で比較すると一般よりも少し短いといえるでしょう。
しかし、住宅の購入には3000万円だけ支払えばよいわけではありません。住宅ローンにかかる利息や、頭金、修繕費など、諸経費がかかります。余裕を持った返済計画を立て、家計管理を行うことが大切です。
 

出典

国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
国土交通省 令和4年度住宅市場動向調査報告書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー