日本シリーズに勝ち上がるのは?(上段左から)巨人・阿部監督、DeNA・三浦監督(下段左から)ソフトバンク・小久保監督、日本ハム・新庄監督

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 セ・パ両リーグは16日にCSファイナルSが開幕する。先に4勝したチームが日本シリーズに駒を進める6試合制(優勝チームに1勝のアドバンテージ)。セ・リーグは3位のDeNAが2位の阪神に連勝して巨人への挑戦権をつかみ、パ・リーグは2位の日本ハムが初戦負けからの連勝で、ソフトバンクが待つ博多行きのチケットを手にした。巨人−DeNA、ソフトバンク−日本ハム。日本シリーズに駆け上がるのは、どこの球団になるのだろうか。

 今季の巨人−DeNAは、16勝8敗1分けと巨人が圧倒した。加えて、DeNAは阪神に連勝したとはいえ、東、ジャクソンが先発しており、しかもエース左腕は12日の阪神戦で左ハムストリングに違和感を訴えたことで翌13日に出場選手登録を抹消。ファイナルSでの登板は不可能になった。また、ジャクソンはレギュラーシーズンで中4日の登板経験がなく、経験のある中5日で登板したとしても4戦目の19日となるなど、苦戦は避けられないように思われる。

 阪神OBの中田良弘氏は「日程面を考えると巨人が有利かな。試合勘を心配する声もあるけど、そんなの関係ない。素人じゃないんだし、プロだからね。それにアドバンテージの1勝もある。戸郷、菅野もこの期間で少しは疲れが取れただろうし、ほぼ万全の状態で臨めるんじゃないかな」と巨人有利を唱えた。

 DeNAにチャンスはないのか。中田氏は「舞台が東京ドーム。DeNA打線はどこからでも点が取れるほど調子がいいし、何よりも失うものがないという捨て身の戦いが何よりの武器になる。ここが巨人が一番気をつけなければいけないポイントじゃないのかな」と指摘した。

 一方、ソフトバンク−日本ハムの対決となったパ・リーグ。今季の両者の対決は12勝12敗1分けの五分。最終盤には日本ハムが直接対決7連勝を飾り、ロッテとのファーストSでは初戦を落としながら2試合連続の逆転勝ちでファイナルSに進出してきた勢いは侮れない。

 ファーストSが3戦目までもつれ込んだことで、加藤貴、金村、北山と先発3枚を投入することにはなったが、今季14勝を挙げて最多勝を獲得し、ソフトバンク戦4勝1敗、防御率2・63と好相性を誇るエース・伊藤をファイナル初戦先発に向けて温存した。また、同じくソフトバンク戦3勝1敗の山崎福も2戦目に3イニングを投げたが、ファイナル2戦目の登板に支障はない。

 中田氏は「ソフトバンクは近藤が出場できるかは微妙だけど、柳田が帰ってくるのは大きい。圧倒的な力でパ・リーグを制しただけに、心配点を挙げるとすれば、守りの姿勢に入らないことかな。常に攻めの姿勢でいることが大切」との見方を示した。

 日本ハムについては「伊藤をファイナルに向けて温存するという選択をした新庄監督の勇気は素晴らしい。しかも、2試合連続逆転勝ちと勢いに乗っている。初戦を取って、1勝1敗にすることができたら、シーズン終盤の直接対決の結果もあるように、流れを一気に引き寄せる可能性もあるね」と解説した。

 07年から始まったCSの歴史を紐解けば、セ・リーグ1位球団のファイナルS突破率(20年はコロナ禍のため開催なし)は16分の13で約81%、パ・リーグは17分の14の約82%。リーグ制覇したチームの強さプラス、アドバンテージの1勝が優位性を保つ材料になっていることを数字が如実に示している。

 セ・リーグは優勝チームが3年連続、パ・リーグは4年連続で日本シリーズに進んでおり、優勝チーム同士の対戦となったのは、過去17年で11回の確率65%。王者がシーズン同様の強さを見せるのか、それとも勢いに乗ってファイナルSに駒を進めたチームが下克上を果たすのか。戦いの火ぶたが切って落とされる。(デイリースポーツ・鈴木健一)