シャープ「新型ミニバン」世界初公開! 自動車業界「新勢力」がクルマの未来を変えそう!? 「開発スピードは2倍に」「今のEVは高すぎる」異例の大プロジェクトが加速中
電気機器メーカーが本格参入!?
電気機器メーカー大手のシャープが、いよいよ自動車業界に参入か……!? そんな期待も抱かせるEVコンセプトカーが、同社の技術展示イベント「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」で世界初公開されました。
既存のクルマのイメージをくつがえす「LDK+(エルディーケープラス)」ですが、その開発背景も異例のものだったようです。
LDK+の開発体制は、2016年にシャープを買収した「鴻海科技集団(フォックスコン)」との提携で、EV周辺サービスを広く手がける「フォロフライ」が協力しています。
【画像】超カッコいい!? これがシャープ「新型ミニバン」の全貌です(30枚以上)
外観は「デバイス感」を意識してシンプルさと機能性を追求しながら、力強さも感じられます。また生活家電を広く展開するシャープらしく、インテリアはまさに「室内」といった空間に仕上がっています。液晶シャッターを採用してプライベートな空間を実現し、180度回転可能な後部座席や65インチ大型ディスプレイなど、随所に居住性が意識されています。
ボディサイズは全長5m弱×全幅約2m×全高約2mと、大きめのミニバンサイズ。参考までに、トヨタの人気高級ミニバン「アルファード」は「全長4995mm×全幅1850mm×全高1935mm」ですから、こちらを少し幅広めにしたサイズ感と言えます。
開発スピードは「従来の2倍」新プロジェクトへの「気合」とは
なぜ自動車メーカーではないシャープが、今回EVコンセプトカーの開発・発表に打って出たのでしょうか。
このプロジェクトの位置づけは、同社が今年5月に発表した中期経営計画で、「新プロジェクト“I-Pro”を活用した全社横断での新規事業立上げ、技術開発の加速」と打ち出された方針によるものです。
開発担当者は「2023年の夏頃から下準備が始まり、実際に部門が発足したのが今年の5月になります。そこから急ピッチで、まずはコンセプトを打ち出そうという形で、LDK+が誕生しました」と話します。
なんと、夏前にコンセプトが決まったばかりで、そこから今回のコンセプトカー発表という、異例のハイペースです。しかし、それくらいでハイペースとは言っていられないようです。
「台湾企業である鴻海の事業ペースの速さに合わせるためには、悠長なことはできない。今まで自動車メーカーさんだと3年、そういったスパンでの開発になってきますが、それを半分にしようというのが今回のコンセプトに盛り込まれ、私たちは必死についていきました」(同)
開発は基本的にシャープが主体です。とはいえ、コンセプトを打ち出すうえで「あまりにも現実離れしたクルマになっていないか」を懸念し、フォックスコンのメンバーと企画会議を重ねたといいます。
LDK+のベースになったのは、フォックスコンが持つプラットフォーム「モデルC」で、そこにシャープのデザインと装備が加わって完成しています。ただ、この「モデルC」やプラットフォーム活用ありきというわけではなく、今後プロジェクトのなかでそこも試行錯誤していきたいとしています。
なお、バッテリーやモーターの規格は現段階でまだ固まっておらず、今回発表のLDK+も自走はできません。まずは「上物」が先行発表された形です。
こうしてハイペースに着々と仕上がっていく「シャープのミニバン」ですが、気になる「市販化」の時期はいつ頃になりそうなのでしょうか。同担当者は「数年後を目処にお客様や市場に出していきたい」という目標を掲げていると話します。
販売価格についても「現状のEVよりも安く、お求めやすいような価格を目指して頑張っていきたいと思います」と、意欲を見せるシャープ。
「やはり今のEVのネックとして、価格が高く、一部のユーザーに手が届くというのが現状です。カーボンニュートラルに広く貢献するためには、やはりEVも広く復旧するというのが重要なのかなと考えております」