殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた須藤早貴被告

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“紀州のドン・ファン”の呼び名で知られ、メディア出演もしていた資産家、野崎幸助さん(享年77)が2018年5月に和歌山県田辺市にある自宅で死亡した事件。

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 殺人罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)の裁判員裁判が9月12日から和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれている。野崎さんの死因は急性覚醒剤中毒で、解剖の結果、覚醒剤を経口摂取した可能性が高いとみられる。

 須藤被告は初公判罪状認否で「私は社長を殺してません。覚醒剤を飲ませたこともないです」と否認し、無罪を主張している。しかし、公判で明らかになったのは、まるで“海外逃亡”も含めた犯行計画を示唆するような検索ワードの数々だった──。

 法廷に現れた須藤被告は、スリット入りの黒いノースリーブのワンピースという服装だった。つややかな黒髪は胸の下まで伸び、大きな白いマスクをしているものの、人目を引く華やかな雰囲気がただよっている。

 野崎さんが亡くなった2018年5月24日、家にいたのは野崎さんと家政婦、そして須藤被告の3人だけだった。家政婦は日中から20時過ぎまで外出しており、帰宅後は野崎さんのいる寝室に足を踏み入れていない。検察官は、須藤被告が事件当日の16時50分から20時までのどこかで野崎さんに覚醒剤を摂取させたと主張している。

 公判では、夫婦の出会いや犯行の詳細などを振り返るとともに、須藤被告が使用していたGoogleアカウントや携帯端末における事件前後の検索履歴などが証拠として読み上げられた。

明らかになった須藤被告の海外志向

 2018年1月、須藤被告は、「遺産目当てと言われた女たち5選」というタイトルの動画をYouTubeでチェックしていたようだ。司法担当記者が語る。
「この動画を閲覧したところ、60歳以上の年の差婚など“遺産目当て”と疑われるような結婚をした海外の女性たちについて紹介する動画でした。過去の事例を探していたのかもしれません。彼女は、ほかにも『完全犯罪』や『薬物』といったワードで検索しており、2018年の4月には密売サイトで覚せい剤を注文していたようです」

 事件直前の4月20日以降も「固定資産税 10億の家」、「遺産相続 専門家」、「相続税相談先」、「無効とならない正しい自筆証書遺言書の書き方」といった不穏な検索ワードが確認されている。「妻に全財産残したい場合の遺言書文例 遺言書」というワードで検索した形跡もあった。

 野崎さんが亡くなった日である5月24日は、「老人 頭がおかしい 理由」、「老人性うつってどんな病気 原因 認知症」、「頭おかしいと言われる場合のある精神疾患の種類」、事件直後には「インスタグラム 一括削除」といったワードで検索していた。また、5月27日には「警察 携帯履歴 盗聴」「通信傍受 要件」「通信傍受 インターネット検索」など、まるで警察を意識しているような検索ワードが並ぶ。

 須藤被告は、海外にも強い興味関心を抱いていたようだ。

「事件当日は、『税金のない国』、『税金のない国は存在する』、『ドバイ 税金』、『2018年よりドバイで税金導入開始』というワードでも検索していました。ほかにも須藤被告の使用していた携帯端末からロサンゼルス、ドバイ、パリ、ニューヨークの不動産販売情報を検索していたことがわかっています。1億円を超える都内のマンションも複数検索していました。何事も起きず、ドバイで暮らす将来を夢見ていたのかもしれませんね」(同前)

 物騒な検索ワードの数々に焦点が当たる一方、これらはあくまで捜査で積み上がった状況証拠で、須藤被告が夫を殺害したとする直接的な証拠はない。公判には覚醒剤の密売人を含む28人の証人が出廷する見込みだ。

 老齢の資産家の死をめぐる事件の真相は一体──。