自分で歩けるカニのような多脚にモーターを内蔵し、天板の上にあるものを揺らさずスムーズに歩いて移動できるコーヒーテーブル「Carpentopod(カーペントポッド)」を自作した過程を、アクションRPG「Horizo​​n: Zero Dawn」などの開発に携わったというゲーム制作者のギリアム・ド・カーペンティエ氏が公開しました。

Carpentopod: A walking table project

https://www.decarpentier.nl/carpentopod

以下の動画を再生すると、ド・カーペンティエ氏が作ったカーペントポッドが実際に動作する様子を見ることができます。

The Carpentopod table being put to use! - YouTube

カーペントポッドがカタカタと歩いてきます。天板にはビールの瓶とおつまみの皿が乗っていますが、スムーズに移動しているおかげで瓶が揺れて倒れそうになることはありません。



手前に近づくと、右側の脚部だけ動かして旋回し、向きを調節しました。



カーペントポッドが手元に到着。



役目を終えたカーペントポッドは定位置に帰っていきました。



カーペントポッドの原点は、制作者であるド・カーペンティエ氏が2008年に趣味で作った歩行機構の生成ソフトウェアです。その後木工と電子工学のスキルを身につけたド・カーペンティエ氏は、それをひとつに統合してワイヤレス制御で歩行するコーヒーテーブルを作り上げました。

三角形の足先を持つ脚部の形状は、彫刻家のテオ・ヤンセン氏の有名な作品「ストランドビースト」を想起させます。しかし、カーペントポッドの脚部はストランドビーストとは部品の比率が異なっているほか、ストランドビーストよりも多くの関節と丸みを帯びた足先によりさらにコンパクトで足の滑りも少ない形状が実現しているとのこと。

脚部の基本構造は、遺伝的アルゴリズムを用いたシミュレーションにより最適化され、最も優れた足運びができる脚部のパーツの形状とその組み合わせが選ばれました。



こうして設計した部品と、内部に組み込んだマイコンボード、そしてマイコンボードとBluetoothで接続したコントローラーにより、カーペントポッドは自在に歩行することが可能です。



なお、カーペントポッドの名前は古典ラテン語の「carpentum(乗り物)」と「pod(脚)」を組み合わせたものとのこと。また、ド・カーペンティエ氏が意識したかはわかりませんが、「carpentum」は荷車や木工職人を語源とする同氏の名前の「Carpentier」とも関係があり、まさにド・カーペンティエ氏が発明した木製の自走式テーブルにぴったりなネーミングとなっています。